ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

「魔力の杖」チャート解析 その2

どうも、ちゃなです。

「魔法の王国」三部作の一巻目「魔力の杖」。チャートを細かく見ていきましょう。

 

序盤は小手調べですが、バッドエンドが結構あります。

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主人公の母が死に、カー・デリングは旅立ちを余儀なくされます。叔父ベルドンを頼ってフリートンに向かいます。パラグラフ102で主人公はハーフエルフのゼインと出会います。

 

次のパートはゼインに師事するかベルドンのもとに向かうかの大きな分かれ道です。

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ゼインと親交を深め、パラグラフ159で彼に師事することを選ぶと、ゼインルートに分岐します。ゼインを信用せず、ベルドンに会って話を聞こうとすると、右側のベルドンルートに入ることになります。

ベルドンルートでは必ずアカデミーに入学することになります。入学早々、上級生との小競り合いがあり、技術点を減らされる局面も出てきます。

 

ベルドンルートの続きを見てみましょう。

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ベルドンルートでは選択によって、「いたずら」、「弱い魔術」、「強い魔術」のいずれかのカテゴリーを学ぶことになります。

ばか正直に初級コースを希望すると「いたずら」を二つしか学べず、これらは物語ではまったく役に立ちません。ブーコッドの錫杖についてゼインから聞いたことを正直に話すと「弱い魔術」のコースに分岐します。「羽毛落下」と「壁登り」があるので最も有用性が高いですが、羽毛落下の習得判定に失敗すると即死します。ブーコッドの錫杖のことを黙っている場合、「強い魔術」を学ぶことができ、さらにいきなり父の私室への侵入にチャレンジする機会もあります。ただし、強い魔術はいずれも攻略にほとんど役立ちません。

 

魔術習得のフェーズが終わると、主人公は侵入者を発見します。ヒロインの吟遊詩人ダーリスです。彼女は本来は味方なのですが、「皆殺し」や「炎の手」で挑んだり、判定に失敗したりすると、弁解する間もなく即死します。ここでは「眠り」を使うのが唯一確実な方法です。

ダーリスとともに主人公は父の私室への侵入を試みます。判定に失敗すると壁から落ちて命を落とすことになりますが、「壁登り」や「羽毛落下」があれば、それぞれ判定のチャンスが増えます。なお、パラグラフ28の飛び先は判定成功で179、失敗で10となっていますが、これはエラッタで逆でしょうね。

 

魔術を学ぶ前に父の私室にベルドンとともに侵入しようとするルートもあるのですが、ここにもエラッタがあります。パラグラフ160で部屋を調べてみる選択肢の飛び先は241となっていますが、これはおそらく105の間違いです。うまく侵入して父の巻物を手に入れ、さらに判定に成功してベルドンを欺ければ、物語は一気に終盤に向かいます。

一カ所エラッタがあり、ベルドンの名前が主人公の父になっています。

 

一方こちらはゼインルートです。

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ゼインに自分の不信感を正直に告白した場合、「強い魔術」を教えてもらえます。隠した場合は「弱い魔術」になります。しかし実際に役に立つのは「弱い魔術」の方です。

いずれも3つの魔術の習得を試みるのですが、一つも判定に成功しなかった場合はバッドエンドになります。ベルドンルートに比べると習得失敗時のペナルティが厳しくなく、また「羽毛落下」は判定に失敗しても習得できます。

 

ゼインルート終盤です。 

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ゼインルートではなぜかここに難所があります。ブーコッドの錫杖を取り戻そうとするミッションに怖じ気づいたり、錫杖より父の魔術書を優先しようとしたりすると、ゼインに記憶を消されます。この人、本当に味方なのでしょうか?

 

ゼインルートの場合はダーリスとともにアカデミーに侵入します。ベルドンルートの場合は侵入してきたダーリスと合流します。ここで主人公があっさりダーリスの言うことを信じて寝返ってしまうのが、ちゃな的にはちょっと違和感でした。

 

チャートは次で最後です。

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主人公は父の私室から巻物を手に入れます。展開によっては一冊入手し損ねますが、何の問題もありません。ニセドラゴンのラファエルという頼りになる従者を手に入れます。

 

最後は、錫杖を守る「暗き者」とベルドンの挟み撃ちに遭います。緊迫の一瞬ですが、ゲーム的には既にエンディングが約束されています。

 

いかがだったでしょうか?

チャートだけ見てしまうとあまり面白みがなく、また山場である魔法習得の機会をいくつにも分離させているのは、パラグラフ的に勿体ないように思います。その一方で、おそらく正伝と思われるベルドンルートのほかに、比較的安全に魔術を学べるイージーモードとしてのゼインルートが用意されているというのは、なかなか面白い試みと言えます。

(追記:続編「魔術師の宝冠」によると、ゼインルートの方が正史になっていました。)

 

前回お伝えした通り、本編の妙は描写にありますので、もし機会があれば是非手にとって読んでみてください。主人公と一体となって魔法を次々と学んでいくような気持ちになれること請け合いです。

いま構想中のゲームブック

どうも、ちゃなです。

このエントリーは、個人的な備忘録みたいなものなので、まあそんな感じに読んでください。

 

現在、私は新作ゲームブックの執筆で大わらわです。5月連休前に出したかったのですが、さすがに無理でした。初夏の発刊を目指します。

他にも、アイデアはいくつも温めているんですよね-。

 

「骨太な作品」

タイトルは一応伏せておきますが、私がゲームブックとしていずれなんとかして完成させたいのがこれです。元ネタはテーブルトークRPG用のオリジナルシナリオです。舞台はファンタジー、キャッチフレーズは「世界破滅の危機を2時間で召し上がれ」。マルチPCシステムを実装予定で、主人公は50人!双方向で、1000パラグラフくらいになるかと思います。

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「オカルトもの」

こちらもTRPGから。昔「サウンドノベルツクール」でアドベンチャーゲームとして制作したこともあります。システムは「ナイトメアハンター」、シナリオは「女神転生」に近いです。そのままシナリオとして公刊するかもしれませんが、主人公が固定なので、どちらかというとソロプレイに向いているかな?500パラグラフくらいの単方向になると思います。

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「最後の推理」

推理ものです。出だしとオチだけが決まっています。シングルプロットでガチなテイストです。仕上げるにはもう少し構想力と文章力が必要かな。。。

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「メタもの」

100パラグラフのゲームブック2冊組みで、1冊は主人公が作者で、もう1冊のバグだらけの作品を修正しながらゴールを目指す、なんてのはどうでしょうか?

 

「戦隊もの」

主人公が5人のザッピングものも考えてますよー。問題は私がほとんど戦隊ものを観たことがないということ。勉強しなくちゃ。。。

 

倒叙もの」

ゲームブックって二人称小説ですから、語り手が読者に嘘をつくのはある意味禁じ手ではあります。でも、二重人格とか、記憶喪失とか、意図せずミスリードになってたとか、色々作れそうですよね。既にどなたかが制作されてるかもしれません。「展覧会の絵」がイメージ的には近いかな。一発ネタなので100パラグラフでも良さそうです。

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

 

 

「マルチプロット、マルチエンディング」

箱庭的な舞台を作って、自由に遊んでもらうのも良いですね。複数主人公にして、それぞれの思惑が交錯するオムニバス作品も作ってみたいです。分冊にしても良いかも知れません。「サソリ沼の迷路」とか、「ゴーレムナイトと巨人戦争」みたいな雰囲気になるかな?

ゲームブック ゴーレムナイトと巨人戦争 FT書房

ゲームブック ゴーレムナイトと巨人戦争 FT書房

 

 

あと、今の作品を仕上げたら、次はちょっと企画ものっぽい小粒の作品を作ってみたいと思っています。

 

やらなきゃいけない作業に追われているときって、やらなくても良い作業がどんどんはかどりますよねー。

今回は雑記帳でした。ではまた。

「人狼村からの脱出」DVDとゲームブック

どうも、ちゃなです。

今日は、リアル脱出ゲーム「人狼村からの脱出」イベントに参加してきました。

実は、リアル脱出ゲームへの参加は初めてです(出不精なので……)

 

人狼村からの脱出」は、いわゆる人狼ゲームを元ネタにしたリアル脱出ゲームです。初回公演はかれこれ10年くらい前になると思いますが、今でもリバイバル公演が行われている人気作品です。

本作は、DVD版が発売されています。今回のイベントはこのDVDを使って行われました。

 

会場では、ゲームを制作したスクラップの方がファシリテーターを務められ、ゲームを盛り上げてくださいました。

www.scrapmagazine.com

 

プレイヤーは数人でチームを組んで、様々なナゾトキにチャレンジします。16人の謎めいた村人たちの中から、3匹の人狼を探し当てなければなりません。解いた謎に基づくキーワードを集めていくうちに、人狼の正体と脱出の方法がわかる仕掛けになっています。

 

人狼村からの脱出」DVD版の特徴は、このDVDさえ流しておけば、ゲームマスター無しで楽しめることです。ネタバレしていないお友達同士でまる1時間、がっつりチャレンジすることができます。

また、DVD版の謎は、回答編にすべての正解が収録されています。これは、この手の作品にしてはちょっと珍しい仕様といえます。おそらく、本作をイベントで使用する時などで主催者がトラブルに対応できるようにするための心配りでしょう。

 

ナゾトキの難易度はそれほどでもないのですが、とにかく時間制限がきついです。DVDの上映中に次々とヒントが出てくるので、謎を解く係、ヒントを捕まえる係、人狼をあぶり出す係、そして連絡調整やヘルパー役と、役割分担がとても重要です。

 

幸い、私のチームのメンバーは皆さん強者揃いで、特に相談もせず片っ端から謎を解いていき、ついに無事脱出することができました!

私は、ひとつふたつのナゾトキを手伝ったくらいで、ほとんど何もしなかったです。。。

詳しくは書けませんが、最終問題から脱出に至るまでの過程は非常に芸術的でした!

 

ところで、「人狼村からの脱出」には、ゲームブック版というものもあります。

人狼村からの脱出 狼を見つけないと、殺される (脱出ゲームブック)

人狼村からの脱出 狼を見つけないと、殺される (脱出ゲームブック)

 

こちらは、ゲームブックの体裁を取っていますが、中には様々な謎が詰まっていて、プレーヤーは幾多の謎を解きながら人狼村の秘密に迫っていくという体裁になっています。

DVD版とはストーリーラインこそ同じですが、まったく別物ですので、どちらも新鮮な気持ちでプレイすることができます。

 

それではどちらが面白いかというと、完成度という点ではゲームブック版の方が遙かに上です。

謎の種類も豊富ですし、ストーリーも凝っていて、次々と村人が殺されていく緊迫感にぞくぞくさせられます。ゲームブックですので、選択を誤ってデッドエンドに至ることもあります。そして、終盤からラストにかけてのナゾトキの美しさは、スクラップさんの真骨頂と言えるものです。

DVD版の方は時間制限とパーティプレイという要素をわいわいがやがや楽しむのに対し、ゲームブック版は一人でじっくり時間をかけて攻略するためのものです。

私は3日ほどでエンディングに辿り着きました。正味15時間くらいでしょうか?公式サイトのヒントにかなり頼りましたけど。。。

ゲームブックにおけるデッドエンドについて

どうも、ちゃなです。

 

ゲームブックというのは、読者が主人公になって、自分で次の行動を決めながら読み進めていく物語です。

当然、選択を間違えて意に沿わない結果に終わることもあります。

そのとき、あなただったらどうしますか?

 

私は、こっそり前のパラグラフに戻って、やり直しちゃいます(笑

 

前回まで連載していた、ゲームブック実況中継でも、唐突なデッドエンドでは、見なかったことにして、別の選択肢を選んでしまうことがありました。

まあ、ズルをしてるわけですけど、これって結構みんなやってることなんじゃないかなあ、と思うわけです。

(意地でも選び直さない、必ずキャラクターメイクからやり直す、と言っている人もいます。本気でゲームブックを愛してくださっている方なのでしょう。

とはいえ、楽しみ方は読者それぞれです。私なんか、選択肢なんか無視してパラグラフ1から順に最後まで通して読むのが結構好きですしね。。。)

 

それでは、選択を誤ったことによるデッドエンド、いわゆる「即詰み」を、どのように用いるのが良いのか、考えてみます。

 

ゲームブックが選択によるドキドキをもたらすものである以上、スパイスとしてのデッドエンドは、ゲームを通じてある程度必要かな、と私は思います。

 

特に序盤では、無鉄砲な選択肢を選ぶとすぐデッドエンドになってしまうようにしておくと、読者に対して「この物語はガチですよ」という警告というかメッセージを送ることになります。

一方で、真面目な読者からすると、終盤で理不尽なデッドエンドにぶつかると、ちょっとむかついてしまうかもしれませんよね。

なので、こういうデッドエンドは、序盤ほど数を多めにするのがひとつのセオリーになるのではないかと思います。

 

次に、ゲームブックのテイストによって、デッドエンドの質や量は変わってきます。

ナンセンスな死に様を楽しむような作風であれば、デッドエンドだらけでも笑って許されるでしょう。むしろいかに変わった死に際をみせるか、作者の表現力が試されるものがあります。

他方で、推理ものなど、読者と作者の知恵比べの要素が強い作品では、唐突なデッドエンドは興を削ぐものがあります。

 

私の作品だと、「ネイキッドウォリアー」なんかは、マルチエンディングで複数回プレイを前提としているので、がんがんデッドエンドを入れています。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

一方、「ネイキッドチェイサー」の方は、同じ100パラグラフでも、前半は館の探索、後半は敵地への侵入と、プロットが長く、また後半は主人公が十分に準備して冒険に挑んでいる前提なので、安易なデッドエンドは避けています。バッドエンドにおいては詰まるべくして詰まるようになっています。

ネイキッドチェイサー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドチェイサー (ちゃなのゲームブック)

 

 

主人公がパラグラフ間を行ったり来たりできる双方向作品では、原則としてデッドエンドを入れるべきではありません。コンピュータRPGで、主人公がある程度成長したのに、デッドエンドになって最初からやり直しになってしまったら、納得いかないでしょう?

そんなわけで拙著「ネイキッドサバイバー」は、いわゆるバッドエンドを廃しています。

ネイキッドサバイバー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドサバイバー (ちゃなのゲームブック)

 

 

以前、ゲームブックの難易度について、バッドエンドの数に触れたことがあります。当然、バッドエンドが多いほどクリアが難しいことになるのですが、実は誤選択によるデッドエンドは、体感的な難易度にはあまり影響しません。多くの読者は単に選択肢を選び直すので、してやられた感はあっても、悩まされた感は出ないんですよね。

他方で、アイテム不足による詰みの場合は、ちょっと前からやり直すだけでは解決しませんので、難易度はぐっと上がります。

目に見えないデッドエンドが多いほど、攻略は難しくなるのです。

 

あ、上記の例外として、「最終選択」としてのデッドエンドもありますね。

最後に二択又は三択を迫り、正解すればエンディング、間違えたらバッドエンドという展開です。

言わばラスボス的な緊張感を味わわせるためのものです。

リビングストン氏の「盗賊都市」なんかが印象に残っています。ザンバー・ボーンを倒した後、とどめを刺すためにどのアイテムを組み合わせるかを選ばされるのです。ノーヒントなので、ちょっとアンフェアな感じがしますけどね。。。

City of Thieves (Fighting Fantasy)

City of Thieves (Fighting Fantasy)

 

 

まとめると、私の考え方は次のようになります。

(1)デッドエンドは難易度を上げる仕組みというよりスパイスとして考える

(2)デッドエンドを楽しめる作風か否かを考える

(3)デッドエンドは序盤に多く、終盤に少なくする

(4)双方向作品では、安易なデッドエンドは控える

(5)最終選択としてのデッドエンドもあり?

 

以上、ゲームブックにおけるデッドエンドの考え方でした。

「ドラゴンの目」実況中継 その10(終)

どうも、ちゃなです。

長かった「ドラゴンの目」探索の旅もいよいよラストです。

 

怒りにまかせてシャークルに襲いかかったハンナ。ダンジョンで何度も死ぬほどの目に遭ってきた彼女にとって、こんな卑怯で回りくどい手を使うようなシャークルなど、もはや敵ではありませんでした。一太刀浴びせると、シャークルは真っ赤に染まった自分の胸元を見て震え出しました。

 

ハンナはリトルビッグの元に駆け寄ります。まだ、息がある!わらをもつかむ思いでシャークルの荷物を漁ったハンナは、そこに一瓶の治療薬を見い出しました。おそらくこれが、ハンナが飲まされた遅効毒への解毒剤でしょう。

「お願いだ、そいつを俺に飲ませてくれ!」

シャークルの恥知らずな言葉を尻目に、ハンナはリトルビッグの傍らにしゃがみ込みました。

「それは、お前さんのものだろう……」

リトルビッグがか細い声を振り絞ります。しかし、そのスプーン1杯ほども残っていない治療薬を誰が飲むべきか、ハンナに迷いはありませんでした。彼女はリトルビッグの口をこじ開け、液体を流し込みました。

 

リトルビッグの頬に少しずつ赤みが差してきました。起き上がった彼は、しばしばつが悪そうにうつむいています。

「シャークルは……逝ったようだな」

そこでリトルビッグは我に返り、力強く言い放ちます。

「こうしておれん。お前をストーンブリッジに連れて行こう。俺の村には強力な治療者がいる。なんとしてもお前を死なせるものか!」

 

2日後、ストーンブリッジはGillibran王の誕生祝いで賑わっていました。宴席には偉大なる魔術師ヤズトロモの姿も見えます。リトルビッグはヤズトロモにすべてを報告し、助けを求めました。

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「ほう、毒に犯されたとな?」

ヤズトロモはハンナをしげしげと眺めて、ゆっくりと言いました。

「遅効性の毒と言ったな。もしそれが本当ならお主はもはや瀕死のはず。間違いない、お主は毒など飲んでおらんよ。シャークルはお主に一杯食わせたのだ」

あなたとリトルビッグはぽかんと口を開けてしまいました。

「忘れるがいい。嫌なことはすべて忘れて、楽しもうぞ」

その通り。良き友と、計り知れない価値のある黄金のドラゴン像を得て、誰が楽しまずにいられましょうか。ハンナは心ゆくまで宴を味わうことにしました。新たなる旅立ちまで、つかの間の休息とともに……。

 

はい、お付き合いいただき有り難うございました。

終わってみれば、スタンダードなハックアンドスラッシュでしたね。とにかく敵が強い!しかし、「真の道」を通れば、主人公の技術点もどんどん上がっていきます。もとの能力値が高ければ、ドラゴンスレイヤーも夢ではありません。

必須アイテムは穴穿つスクロールくらいで、難易度という点ではさほどでもありません。リトルビッグは本当にいい奴でしたねー。ただ、使いどころのないアイテムが多いのはなんともはや。。。

 

ところで、ヘンリーが最初に行っていた「双頭のトロール」は実在します。ハンナはたまたま出会いませんでしたが。それに、サイクロプスメデューサなんかも出ます。あと、おへそを出したお姉さんもね。

プレイしているうちに、だいたいフローチャートが想像ついてしまいましたが、時間があればまた解析してみたいと思います。

久々のファイティングファンタジー、堪能しました。

本作は気のせいか、英語がかなり読みやすいです。iPad版Sorcery!なんかにくらべると、非常に平易に感じました。文章量も多くないので、楽しみながら英語の勉強するにも良いかもしれません。

蛇足ですが、本作は全407パラグラフですが、グッドエンドは400パラグラフにあります。7パラグラフ分くらい圧縮できそうでしたけどね。。

「ドラゴンの目」実況中継 その9

どうも、ちゃなです。

今回はネタバレ上等、本作の真相まで一気に行きますよ!

 

「ドラゴンの目」、最初からやり直したのですが、2回目の挑戦は散々でした。

なんとなく洞窟をショートカットしてしまったようで、必要なアイテムが全然手に入らず、地獄魔人からは逃げ出し、スクロールがないので「ドラゴンの目」のある隠し部屋はスルー。初回は5つも見つけた鍵は2つしか手に入らず、と良いところがありません。

 

唯一学んだのは、オークとの戦いでは傭兵に助けを求めないのが吉ということです。何しろこの傭兵、ハンナがお金をくれないと知るやそっぽを向いてしまい、そこを後ろからオークに襲われて即死。そのオークにさらにハンナがとどめを刺して、傭兵が持っていたキーアイテムである真鍮の鐘を奪取、という謎展開だったのです。

……書いててちょっと自信がなくなってきました。誤読してたらごめんなさい。

 

コンティニューを繰り返してついに黄金のドラゴンに辿り着いたのですが、結局ドラゴンの目の片割れは手に入らないまま。目をセットせず像に触ったら死んでしまうと話したら、リトルビッグはぶち切れました。

「ここまで来て引き返せってのか?俺たちはこのダンジョンを隅々まで探したろう。きっと目は最初から1つしかなかったのさ」

リトルビッグがそこまで言うのならと、二人で像を持ち上げてみます。1、2の3!

 

……ハンナは5本、リトルビッグは9本の毒矢に貫かれました。

「おい……今度は、ムーンストーン鉱山にあると言われるダイヤの箱を、二人で探しに行こうぜ……」

ああ、リトルビッグは、最後まで良い人でした。。。

 

……まあ、ここまでくると、ハンナはともかく、ちゃなの方はかなり経験値が貯まっています。

気を取り直して初めから再チャレンジします!

 

最初の画家には無慈悲に襲いかかり、鉄の腕輪をゲットします。これで技術点が1上がります。

商人からは銀の短剣を購入。金貨がまるまる10枚残っているので他にもいろいろ買ってみました。

 

魔法の鎧の部屋では鉄鎧を選ぶのが正解。これでまた技術点が上がります。

 

本作では技術点の上がるイベントが多いです。敵も相応に強力なので、薬などで上昇する分も原技術点を超えていいと解釈して良いのかもしれません。ルールには、特に明示されていない限り原技術点を超えることはできないと書かれていますが、武器を入手した際にも原技術点を超えていいという記述は見当たりませんでしたから。

なにしろ、ハンナの原技術点はたったの8点。腕輪と鎧、骨砕きの剣を装備しても、ガイガンティスには敵いません。技術点12、体力点12、一回に4ダメージ与えてくるこの化け物とは、ドラゴンの目を入手すると必ず戦うことになります。ドーピングしまくってようやく互角といったところでしょうか。

 

真鍮の鐘かロックピックがあれば、落とし戸を開けて上に進むことができます。その後の分かれ道にもデストラップが仕掛けてありますが、道中入手したヒントに従えば、さほど苦労はありません。エルフのブーツを入手してさらに技術点が1増えます。

 

ここまでくると気分はハンナ無双……と思いきや、ドッペルゲンガーはハンナの技術点を2下げてきますし、運が悪ければブラックドラゴン(技術点14に加えて毒の息まで吐いてきます!)と戦う羽目になります。最後まで油断はなりません。道中で技術点を減らされる機会も、他のファイティングファンタジーに比べると多めです。

 

今回は鍵を5本ともゲットしていたので、黄金のドラゴンまでは楽勝でした。ちなみに、この5本の鍵の使い方がちょっと変わっています。「火吹き山の魔法使い」では必要な鍵を取りそびれるとゲームオーバー、逆に偽の鍵は無用の長物ですが、本作ではそのあたりうまくできていて、入手本数が多いほど確実に突破できる仕組みになっています。

 

ドラゴンの両目をはめて、リトルビッグと二人で像を運び出したハンナ。いよいよ地上に戻ります。そこに待っていたのはなんと、クロスボウを構えたヘンリーでした。

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(まあ、読んでいるうちに幾度となくこの挿絵を目にしていたので、展開はなんとなく予想してましたけど……)

 

その顔を見てリトルビッグは叫びます。「お前はシャークル!」

なんと、ヘンリーこそがリトルビッグをひどい目に遭わせた張本人だというのです。

「ご名答。で、それがなにか?」ヘンリーことシャークルは無慈悲にクロスボウでリトルビッグの胸を打ち抜きます。

「お前はあの場で殺しておいても良かったんだが、生かしておけば次の冒険者を案内してくれるかと思ってな」

 

……ええっ?シャークルがダンジョンを離れてからハンナがリトルビッグを解放するまで、1週間以上経ってるんですが。飲まず食わずで縛られたまま腹を抉られ、よく死ななかったものですね。ドワーフの頑健さにあらためて感心したハンナでした。

 

「さあ、ドラゴンの像を渡せ。引き替えに解毒剤をやろう。それがフェアな取引ってものだ」

どの口が言うか。ハンナは怒りに身を震わせ、全力でシャークルに襲いかかります。

 

ハンナベラ

技術点14/8、体力点11/20、運点8/12

金貨57枚

銀貨3枚

食料4食

剣、柄の壊れた斧、鉄の腕輪(技術+1)、銀の短剣、スカンクの油、蝋燭、木彫りのアヒル、ニンニク、ブリキの呼び子、小さな銀の箱、クリスタルのダガー、盾、青銅の鍵(85)、ダガー、金の指輪、幸運のペンダント、ガラス玉、壊れたダガー、鉄の鍵(34)、両端のとがった短い棒、鉄鎧(技術+1)、革のポーチ、銀の鍵(14)、エメラルド、金の鍵(325)、轟きの杖、銅の鍵(192)、青銅の盾(技術+1)、穴穿つスクロール、釣り針3本、真鍮の鐘、銅のボタン3個、銀の腕輪、ムーンストーンのブローチ、ゾンビ支配の指輪、クリスナイフ、銀の十字架2つ、見猿の彫像、金のオーブ、ピックロック、パチンコ、骨砕きの剣(技術+1)、骨のお守り、ドラゴンの目、エルフのブーツ(技術+1)、ドラゴンの金貨、黄金のドラゴン像

「ドラゴンの目」実況中継 その8

ハンナです。既に3回死んでます。

 

めげずにコンティニューして先に進んでいくと、落とし扉がありました。

下りた先には謎の怪物が待ち構えています。こいつの名はヴァーミンスポーン、体中にウジ虫やシラミを住まわせているというおぞましい生き物です。精神攻撃を仕掛けてきて戦意を喪失させるというのですが、こんな奴を目の当たりにしたら誰だってやる気を失いますよね。。。

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ハンナが嫌々ながら骨砕きの剣を抜くと、なぜか急に勇気が湧いてきました。いつぞやの青汁といい、隠し効果のあるアイテムが多いです……。

ヴァーミンスポーンは技術点10の強敵ですが、魔法の剣と盾で武装したハンナもひけは取りません。また、この戦いではリトルビッグも加勢してくれます。なんとか勝利を収めることができました。

 

臭いに堪えかねながら部屋の奥の頑丈な扉を開けてみます。そこには骨の首飾りがありました。

リトルビッグに緑のガラス玉を調べさせたところ、入ってきた扉が閉まってしまったではありませんか。さらに両側の壁がせり出してきます!頑丈な扉というので気づくべきでした。

ここは一発、スクロールに書いてあった壁を破る呪文を使いましょう。

横の壁に大穴を開けて二人は難を逃れました。と、割れたガラス玉の中には、エメラルドが入っていたようです。もしかしてこれは……?

 

やりました!ヘンリーの託してくれた宝石とまったく同一です。こんなところにドラゴンの目があったなんて!

 

しかし喜んだのもつかの間、二人は巨大なモンスターに襲われます。その名もガイガンティス!技術点12で一度に4ダメージを与えてくる化け物です。

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リトルビッグの加勢も焼け石に水、これは勝ち目がありません。

……と思ったら、リトルビッグのダイス目が走り、ガイガンティスにどんどん手傷を負わせます。なんと、すんでのところで勝利してしまいました。

リトルビッグの技術点はたった8なのに、まさか勝てるとは……本当ですよ!

 

その後も二人の旅は続きます。地上に出なければなりません。ハンナは入り組んだ通路を進んでいきます。途中で出くわしたゾンビの群れに対しては指輪が最大限の効力を発揮しました。

 

しかし、再三挫折しながらここまで来たハンナも、遂に限界を迎えました。

唯一の出口には鍵がかかっていて、ここまで何本も拾ってきた鍵はいずれも役に立たなかったのです。失意のうちにハンナは倒れ、永い眠りについたのでした……

 

うーん、手強いですね。右か左かという単純な選択の中で、重要なアイテムを取り逃がしてしまったようです。即詰みではありませんので、これはいよいよリトライが必要かな……?

あと、本作は基本的に敵が強いです。魔女蛇とか地獄魔人とかガイガンティスとか、ラスボスクラスの敵がわんさか出てきます。お助けアイテムもそれなりに出るのですが、原技術点8ではちょっと厳しいかもしれませんね。。。