ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックの制作実況(23)

ちゃなです。

遂に完成、新作ゲームブック

……と言うのはまだ早くて。

隠しエンディング2種類を執筆して、製本して、そして地獄のバグチェックが待っていますよ。。

長編だとこの校正作業だけで1ヶ月くらいかかりますからね。

 

サッカバートエンド完成。

オデッサが先にアバーティッサに触れ、サッカバート二院銅を渡すというエンディングにしてみました。

うーん、消化不良になるかなあ。普通にEVILエンドでも良いような……。

でも、それだと当初の予定通りそれが真エンドの方が作品としてまとまるように思うんですよね。

サッカバートにとってはバッドエンドっぽくしておいた方が、真エンドに向けてのモチベーションが上がるんじゃないかと。

まあ、全部書き上げてから変更することも可能なので、とりあえず書き進めてみます。

 

エンディングって、作品で一番重要な箇所であるにも関わらず、ゲームブック制作においては最も自由度が高い部分なんですよ。

なにせ、何を書いてもチャートに影響を与えないから、やりたい放題なんです。

このことを知っているからこそ、バッドエンドの描写こそゲームブックの神髄と考えている作家さんも多いんじゃないかしら。

ちゃな自身は、バッドエンドは割とさらっと書く方なんですけど、先に紹介した「デレクの選んだ魔法」でヒロインに手を握られながら正気を失っていくエンドなんかはお気に入りだったりします。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

では、遂に最後のパラグラフ、エピローグですね。

 

……書き上がりました!

全員の運命に一応の決着をつけ、みんなが笑って帰途につくという……少々ご都合主義過ぎますが、まあ悲劇的なエンドが多かったので、最後くらい良いでしょう。マリウスに殺された偽マリーは浮かばれないけどな。。。

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Flowchart15

うん、どうにかそれなりにちゃならしい作品に仕上がったような気がします。

 

問題点は、自由度が低いことですね。主人公を選ぶ時点でルートはほぼ決まるので、読者の選択の余地があまりないんですよね。100パラだから仕方ないといえばそれまでですが、不満に思う読者もいるかもしれません。そういう構造なのだけどそう思わせないようなテキストとか、もう一工夫できるのかなあ。。

 

とにかく、あとは校正です。これがかなり地獄です。。

あとタイトル!タイトルが決まらないんだよー!

アバーティッサの抱擁→抱擁してないなあ。。

アバーティッサ復活→真エンドで復活させようと思ったけど、結局止めたしなあ。

・豊穣の種→文字数少なくて良いのだけど、ちょっと唐突かなあ。あとちょっと卑猥。英語にするとSeed of Fertilityでモロ精子やん。

・豊穣の魔神→それっぽいけど、ちょっと画数が多いかなあ。まあ、多いのは「穣」なんですけど。

・豊穣の迷宮→今までの合わせ技。とりあえずこれで。英名はHarvest Mazeかな。

 

さて、ここまででPlayground Flowでの作業は終わりです。

前にも述べましたが、本ツールはソーサリアンTEXTの制作用ウェブアプリで、作者のRioさんのご厚意により汎用ゲームブックも作成可能な仕様や機能が次々に追加されています。まだまだ開発中で不具合もあるのですが、報告すると光の速さで対応してくださるのでとても助かっています。

今回はHTML出力を選びます。すると、自動的に縦書きのHTMLファイルが作成されます。パラグラフはランダムに再配置されます。当然選択肢にはすべてリンクが貼ってあります。これが手動だと面倒だし間違えるしなので、自動処理してもらえるのがゲームブック作成ツール最大の長所といっても過言ではありません。

 

特にこだわりがなければこれでもうKindleプレビューアでMobi変換すればアマゾンで売れるものができあがるのですが、今回はまだまだ編集作業が残っています。

(1)パラグラフ順を整備:スタートをパラグラフ1に、真エンドをパラグラフ100に変更します。ちゃなはエンディングセクションを末尾のパラグラフにまとめたりするのですが、本作はどうしようかなー。もともと主人公も違うし、ランダムのままでも良いかもですね。

(2)綺麗でない飛び先を変更:例えばパラグラフ31の選択肢にパラグラフ30がは入ってるとか、選択肢にパラグラフ14とパラグラフ15が並んでるとか、そういう「美しくない」飛び先を変更します。経験上、100パラゲームブックでランダム変換すると、必ず1~2カ所はこういうところができます。まあ、どこまでこだわるかは微妙ですけどね。。

(3)パラグラフジャンプを設置:本作ではパラグラフジャンプがあるので、そこはランダムに配置された飛び先から手動で直します。また、指定されているリンクも手動で削除します。

(4)パラグラフトリックを設置:本作では「パラグラフがゾロ目の場合」といったパラグラフ番号自体に意味を持たせるギミックがありますので、そこも手動で直します。

(5)記載ぶりの修正:ちゃなの他作品に合わせて平仄を修正します。例えばリンクテキストは選択肢全体になっていますが、これをパラグラフ番号だけに直します。

こんなところでしょうか。結構大変です。。算用数字が漢数字に直されているのは有り難い限りですね。

 

ちなみにこれらの編集作業、私は一太郎で行うことが多いです。HTMLと相性が良く、最新バージョンだと一太郎から直接キンドルのMobiファイル出力ができるのが便利なんです。

なお、Playground FlowのHTMLを一太郎で普通に読み込むと文字化けします。ファイルを開く際にプロパティの詳細を選択肢、テキストをUTF-8と見做して読み込むよう指示したらうまくいきました。

しかし、HTMLファイルにした時点で、改行が反映されていませんね。改行って結構ガンで、The Gamebook Authoring Toolでも散々悩まされています。推敲がてら全文改行し直す作業にも、もう慣れてきましたね。。

……と思ったら、ダメみたい。リンク先が一太郎のファイル内でなくてダウンロードしたばかりのファイルにつながってました。この辺の構造、私はいくらやっても理解できないんですよね。。文書内リンクを手動で貼るならMS Wordの方が慣れてるので、やっぱりWordで出力しましょうか。

 

んー、パラグラフ100が出力されていない?

まあ、いいでしょう。Playground Flowのファイルからテキストをコピペします。

……と思ったら、パラグラフ13がエピローグでした。

えーと、なんか一パラグラフ減っているような。。あとで検証しないとですね。

 

ひとたびワープロソフトに執筆の場を移すと、もうゲームブック制作ツールに戻ることはできません。行ったり来たりしているとぐちゃぐちゃになってしまうし、新たにエクスポートしてもワープロソフトで編集した時間が無駄になるだけです。ですから、ゲームブック制作ツールの段階で極力、最終完成形に近い形にまで持ち込んでからファイルをエクスポートするのがコツです。

本当はゲームブック制作ツールネイティブで完成にこぎ着ければ最高なんですけどね。ちなみにThe Gamebook Authoring Toolは、太字も改行もインデントも反映されないので、ワープロでかなりの編集作業が必要になります。今後Playground Flowがどこまで迫れるか、楽しみです。

 

校正しながら、思いつく限り表記揺れもチェックしていきます。プロの編集者ではないのでどうしても限界がありますけどね。「只」は「ただ」に統一。「言う」は、実際に誰かの発言を指すもの以外は「いう」で統一。毎回迷うのが「達」なんですよねー。今回は漢字で統一しました。漢字が多いと読みづらい印象になるのですけど、ワープロがとかく漢字変換したがるので。。

 

とりあえず改行だけ直しました。100パラでも1時間以上かかりますね。単純作業なのですが、流し読みしながら結構文章に手を入れていますので、実は推敲の第一段階として重要な意味を持っています。

改行した分、字数も増えて70000字を超えました。

 

……消えたパラグラフの謎がわかりました。

Playground Flowを参照したところ、パラグラフ87が欠けていたのです。それでHTML二変換したときシャッフルされて99パラグラフに詰められたのですね。。

これから展開を追加するのもアレなので、エンディング後のフラグ解禁に一パラグラフ使うことにします。

 

パラグラフトリックのためいくつかのパラグラフを再配置。ちょっと悩む。

ホッブスの持つオデッサ探知機は、当初、ゾロ目のパラグラフに来たら3で割ったあまりによって進むべき道がわかる仕様にしていたのですが、最初の三叉路を選択するパラグラフが、最初と相談後と様子見後と一旦戻ったあとの4種類あるんです。ゾロ目を3の倍数で割り振ると3つずつしかないので足りません。。。

ゾロ目に向かって進むようにしましょうかね。

あと、近くに人がたくさんいると誤作動するとか。。

 

ソロンの方もパラグラフトリックを仕掛けようとしましたが、どうにもうまくいきません。そもそも彼は最初の三叉路を左に入ればほぼゴールなので、この選択にヒントを与えるのは簡単すぎる気もします。結局、パラグラフトリックは消すことにしました。

 

パラグラフの繋がりを調整する作業は非常にマニュアルで感覚的なものです。

60→61みたいな繋がりは論外として、60→34または35とかもよろしくない。ただこれが、60→59なら直すけど、60→62はどうするか。全部直してたらキリがないし、100パラだとどんなに直してもどっかしら不自然な繋がりができてしまうんですよね。

あと、現在、パラグラフ75はカルバドールがイシスとマリーどちらを狙うかを選ぶシーンなんですが、次のパラグラフ76が「あなたはマリウス。帝国のエージェントだ」ってめっちゃネタバレしてる。これもこだわるとキリがないんですけどねえ。ゲームブックはすべての記述が見えるメディアなので、ばれたらばれたでそういうものだと割り切るのもありだとは思います。ばらしたくなければアプリで作ればいいんだし、偶然ばれちゃうのも味でしょう。ダミーパラグラフを使ったギミックも面白いですね。ただ、本編の場合は放置するのもどうかと思うので、ちょっと調整することにします。

 

……結局、最低限の校正だけで5時間くらいかかりましたが、遂に完成しました!

あとはもう、キンドル実機でバグと誤植チェックですね。。。

ゲームブックの制作実況(22)

こんにちわ、ちゃなです。

ゲームブックの制作を実況するこの企画、遂に4週間目を迎えてしまいました。果たして1ヶ月で完成に至るのか?(もともと2週間の予定だったけど)

 

轟音の道のイベント、実はまだ具体的に考えてませんでした!

マリー主人公でイシスを伴う場合、闇の道に進まないということはバッドエンドなので、二人の能力では抜けられない障害を……と思ってたのだけど、イシスは魔法と探索、マリーは戦闘と探索持ちなので、この二人のチームって穴がないんですよね。色々考えたのですが、こういうロジカル分岐はやめて、読者に選ばせることにします。イシスを助ける場合は共倒れ、見捨てれば先には進めるけれど単独で最深部に進みンドルフの罠に倒れる、という結末ですね。

ということはかなり強い敵を出しておけばいい、と。

せっかくの轟音ですから、アイアンゴーレムみたいな奴にしましょうか。いや、むしろ「音」そのものを敵にしてしまうのもありかな。

 

……書いてるうちにちょっと変わりました。イシスと一緒に攻撃した場合はイシス死亡。お約束としてポロリが出てきますけど、傷だらけなので悪趣味かなあ。リョナ的な。イシスのサポートを受けて一人で戦った場合は魔法が無効化されるのが災いしてマリー死亡。こっちも悪趣味な展開ですね。。

 

いよいよ最終決戦、の前に、中央ルートがまだ片付いてなかった!

中央の敵を複数で倒した後はもう一度三叉路があって、一つは毒の道、一つはオデッサがいるのですが、もう一本の道をまだ決めてなかったんですよね。

うーん、このルートは冗長だから、フレーバー的に面白いイベントを起こしたいけれど。。。なんか情報でも盛りましょうかねえ。

 

書斎にすることにしました。ここでアバーティッサが単なる豊穣の神でないことが語られます。

ただ、このシーンって死亡フラグなんですよねえ。この情報を現世で役立てることはないんです。こういうのって、卑怯でしょうか。それともメタ視点では役に立てていいと考えるのでしょうか。難しいところですね。

ところで、中央の道をみんなで歩き、さらに仲間と共に左の道を進むと、一切判定なしで最深部まで行かれます。つまりノアでも進めちゃうんですね。

これはまずい。最深部で全員分の分岐を書くと、見た瞬間8人目の主人公の存在がばれてしまいますから。

ノアは一人では進めないようにしましょう。

パラグラフの余分が心細いなあ。

汎用殺されるバッドエンドにしちゃおうかしら。。

うーん、それもさすがに乱暴ですねえ。

ノアが一人で迷宮に潜るというのが無謀に過ぎるんですよね。無謀に対するペナルティとして殺す分には一応名分が立つかな。そもそも、本編では分岐は2~3回しか出てこないけど、それはあくまでダイジェストであって本当はもっと複雑な迷宮ということになってるのですから。。

なんとか1パラグラフ融通しましょう。

 

最深部に複数で辿り着くルートは実は一つしかありません。最初の分岐を中央へ。仲間に敵を倒してもらって、次の分岐も金魚の糞でついていくと書庫へ。これなら能力判定もなく、ノアでも最深部までたどれます。

ところがそこで起きる事態が、ンドルフかマリーに皆殺しにされるのだから、救われませんね。。

その裏返しとして、ンドルフクリア後に開かれる真エンドもこのルート上に設置することにします。

ノアで複数到達すると、生け贄に。手を下すのはサッカバートですが、彼の名は明示しません。ただ、「教祖」という事実上の種明かしワードを入れておきます。同行者も明示しないのですが、鍵開けが可能で、サッカバートに素直に従ってるということは、ターナー辺りでしょうね。他のメンバーはサッカバートの真意を知ったらはいそうですかとは言わなそうです。

 

マリーは最深部で正体を現して信者を血祭りに上げます。誰が同行しているかは確定しないので具体的な描写はできません。一人殺したところで今度はサッカバートが正体を現しマリーを討ち取ります。ここでもサッカバートの名前は出しませんが、マリーのプロローグで解説されてるので自明でしょう。

一方、ンドフルが複数で来た場合は、逆にマリーの反撃を許すことになります。ンドルフでクリアするためには、マリーを途中で殺しておかねばなりません。その場合、必然的に単独ルートを通ることになるのです。ちなみにこのバッドエンドは他の主人公と共有です。ンドルフの存在を明かさないために。ただし、最後に「七つの死体」と書いておくことで、本作の主人公がマリー含めて8人であることを暗示しておきます。

 

複数で最深部に辿り着いた場合、サッカバートエンドでもらったフラグに基づいてパラグラフジャンプすれば真エンドへ。主人公全員の真意が明かされます。

ただ、本作は「サッカバート以外、主人公は本編で喋らない」というお約束なので、全員がべらべら喋るシーンは望ましくない。誰が主人公でも真エンドに辿り着ける仕様にしたいですしね。なので、みんなで喋るのはエピローグ部分ということにします。

そうすると、その前段階ではサッカバート以外誰も喋れない(誰が主人公か確定しないので)。それはそれでさみしいので、オデッサを登場させて少し喋らせます。

私は、個人的に、場面に合った台詞を言わせるためにNPCを活用させることが多いです。

まあ、別に主人公が喋ったって構わないんですけどね。これはもう私のゲームブック作家としての趣味です。ドラクエの主人公が喋らないのと一緒ですね。「主義」と言うほどのこだわりはなく、多分主人公が喋った方が望ましい作品を書くときは普通に喋らせるでしょう。

 

マリーのエンディングは最深部でサッカバートと相打ちしてイシスに後を託すというもの。

彼はちゃなの一番お気に入りのキャラになりました。30男の女装というだけでもぐっとくるものがありますが、彼は幼少期にも帝国エージェント時代にも自分の意志というものがなくて、ただ「役割」を与えられてそれが自分の意志だと思い込んでいたんですよね。イシスのために非合理な行動を取ったことで、初めてマリーは自分に出会えたんです。ある意味、最高の死に方ですよ。

 

これで主要7人のエンディングを書き終えました。どいつもこいつもろくな終わりかたしませんけどねー。ターナーやソロン辺りが一番ハッピーなのかなあ。

善玉ほど悲惨なエンディングで、悪玉はハッピーエンドだけどそれが故にプレイヤーは鬱になるという、タイトー社の超能力バトルゲーム「サイキックフォース」「サイキックフォース2012」がそんな感じです。

いよいよンドルフ周りを仕上げれば完成です!

 

あ、いい加減この呼び方止めようかな。彼の本名はサックスといいます。

 

サッカバート編に進めるようになるフラグをどこに設置するか、ちょっと悩みます。

一度バッドエンドを経ないとハッピーエンドへの道が開かれないという仕様がいいのかどうなのか。

バッドエンドからだとすると、サッカバートの存在がわかるのは、複数で挑んだノアのバッドエンドと、サッカバートに返り討ちにされるマリーの二人。ただ、マリーは最初からサッカバートがラスボスだとわかっているんですよね。彼がチームの一員だという事実は伏せられていますけど。。

ノアのバッドエンドからつなごうかしら。彼のグッドエンドは脱出するだけで、物足りないですからね。そしたら、これも一応エンディングということにしておきましょうか。

 

ずっと保留にしていたサッカバートのプロローグが遂に完成。

さらっと書くつもりでしたが、やっぱり筆が走ってしまい、なんと5000字に。

 

逆に、フラグが立ってサッカバートが不意打ちでチームを皆殺しにするところの描写は、実にあっさりと。こんな残酷描写書いてても面白くありませんし、もうパーティ全滅は予定調和ですからね。

 

しかし、サッカバートのエンディングをどうしようかなー。

当初は本当に魔神を復活させるEVILエンドにするつもりでしたけど。。

読者的にはどうなんでしょうかね。胸くそ悪いのもそれでそれで味わっていただければと思いますけど。

イシスパートでも種一つしか出なかったから、ここでもどんでん返しの方がおもしろいかな。

オデッサに何かさせるとか。

 

というところで、とうとうあと2パラグラフ。明日は遂に完成です!

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Flowchart14

もっとも、ゲームブックはここからが大変なですけどね。パラグラフを再配置して、パラグラフジャンプの調整。あと本作ではパラグラフトリックもあるし。それから推敲とデバッグ。。。

ゲームブックの制作実況(21)

ちゃなです。

ああ、遂に三週間。三週間になってしまいました。

まあ、まだ三週間とも言いますけどね。一ヶ月で100パラ書けたらそこそこ早い方です。

 

これまでほったらかしにしていた魔法陣ルート。当初はここでオデッサが出る予定でしたが、ホッブスは別の道になったので、イベントが空いていました。普通の敵を出すことにします。とはいっても迷宮の中ですからただの生き物は生存できません。迷宮の魔力を食らって生きながらえる人造モンスターにします。こいつは魔力を吸うので魔法では倒せません。戦闘ができるのはカルバドール、マリー、ホッブス、ンドルフの4人。うち、最初の魔法トラップを単独で抜けられるのはホッブスとンドルフだけですから、ここで2人に絞り込めます。

まだパラグラフが余ってるので、ここでさらに一つイベントを追加して絞り込みをします。最後の扉は盗賊技が必要なことにしましょう。これでホッブスが脱落し、このルートを攻略できるのはンドルフただ一人ということになります。同時に、ンドルフがここに来た場合には、扉に罠を仕掛けることができるようにします。パラグラフジャンプの出番です。

ほかのメンバーがほかのルートできた場合、ンドルフに先を越されていて罠で命を落とすという展開ですね。ノアは生け贄なので死んではいけませんが、ノアは単独で最深部まで来ることができないので、ンドルフがノアを殺してしまうという矛盾は防ぐことができます。

 

表紙と一緒にキャラ紹介のページを作ったのですが、ホッブスが一番イメージに合わないんですよねー。彼はサッカバートと同い年(サッカバートの方が時空の部屋のせいで老けてますが)で最年長なのですが、フィギアではかなり若く見えます。鎧を着た魔術師キャラがアイコンセットの中にあまりいないんですよね。(当たり前か)

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Characters

こういう場合、最後の手段として、イラストに合わせてキャラ設定や描写を変更することもあります。本作は複数主人公なのでもともと各キャラクターの造形について触れるシーンはあまりないんで、修正は楽なんですよね。。

 

ンドルフが単独で最深部に辿り着くと、扉に罠を仕掛けることができます。後続のメンバーは次々と倒れていくという寸法です。死体をどうするかは後で考えるとして。この分岐はパラグラフジャンプを使うつもりだったのですが、よく考えるとンドルフが最深部に到着してから他の主人公と共有するパラグラフって存在しませんね。パラグラフジャンプを仕込む余地はなさそうです。

……いや、マリーの存在がありましたね。ンドルフは戦闘も魔法も探索もできるので、どんな行動を取っても単独で最深部まで辿り着けます。そういえば本作は、「間違った選択による即詰み」は存在しないんですよね。あくまでその主人公の適性がない局面でゲームオーバーになるだけです。しかし、それだとンドルフ編が簡単に過ぎるように思います。まあ最強の隠しキャラだから簡単でもいいっちゃいいんですけどね。ンドルフの勝利を阻止する役回りはマリーに課されています。なので、道中でマリーを始末しておくことがルドルフルートの勝利条件になるというのはどうでしょうか。そうすることで、カルバドール以外まったく意味のない仲間殺しに第二の意義を持たせることもできます。

ただ、マリー殺しのルートはホッブスでも可能だし、よしんばホッブスを排除したとしてもその後もしばらく探索が続きますので、それらすべてをンドルフ専用ルートにするわけにもいきません。いかなくもないけど、パラグラフなり記述なりが冗長になります。なので、ここはマリー死亡フラグをパラグラフジャンプで仕込むことにします。

ただ、そうすると先ほど作った魔法罠+ローパー+最後の鍵というルドルフ専用ルートがデッドエンドになってしまいますけどね。。

あと、イシスのエンディングは単独行でないと果たされない予定でしたが、その場合ンドルフの最後の妨害をどう食い止めるか。

イシスは遅れて到着したことにしましょうか。そしてンドルフやらマリーやらが相打ちで倒れている、と。

イシスではマリーに襲いかかる選択肢は選べないので、誰かの死を目撃することはありません。なので詳細に描写しても大丈夫。

 

とはいっても、この段階でンドルフの存在をばらすこともありません。

教祖が死んだ、と書いてしまうと「は?教祖はチームを送り込んだだけで、自分は地上にいるんじゃないの?」となってしまうので、「教団が壊滅した」という書き方にしておきます。勘の良い読者なら「は?教祖が死んだわけでもないのになぜ壊滅?」と、ちょうど良い疑念を持ってくれるでしょう。

さらに大ヒントとして、死体が7つということも示しておきます。

ちなみにこの局面、ンドルフが真意を明かしてホッブスに反抗されたのか、マリーが使命を果たすために自爆攻撃を仕掛けたか、いずれの可能性も排除はされません。ちゃなとしては後者を想定していますけれどね。

イシスのエンディングではアバーティッサ復活ではなく、戦果は種一つ。報われないながらもわずかな希望の見える、パンドラの箱エンドとなっています。

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Text7

あとは轟音の道と、中央ルートの一部ですね。

あー、まだ最終盤じゃないんだなあ。。。

ゲームブックの制作実況(20)

ちゃなです。

ゲームブックの制作実況も本日で20日目。明日でお約束の2週間を5割オーバー!

やばい、気合いを入れないと。。

しかし、パラグラフは結構余ってるんですよね。分岐を増やすほどではないので、主人公ごとのイベントを一つ二つ増やしましょうか。

 

宝部屋は、ターナーにとっては目的地、盗賊技を使えない主人公にとってはデッドエンドですが、マリーとイシスで進む場合、また別の意味を持ちます。ここで宝に見向きもしないイシスの信仰心に、マリーは心を動かされるのです。

これがフラグとなり、マリーのエンディングへと続くわけですが、一旦分岐を収束させてしまうと、フラグ管理のためパラグラフジャンプが必要になります。

本作では主人公以外にフラグ管理はしないと銘打っているので、あんまりバシバシジャンプが出てくるのは望ましくありません。

ただ、パラグラフを開いてしまうと、読者としては発見した感覚がなくてただ読み進める感じになってしまうんですよね。護国記みたいにもともとパラグラフを開いた作風なら良いのですが。

……あ、パラグラフを閉じる、開く、というのは、フローチャートの上で一旦別々に別れたルートが後で合流するか開きっぱなしかを示す、ちゃな用語です。

 

【パラグラフを閉じる例】

1 右に進むなら2へ 左なら3へ

2 剣を手に入れた。剣を使うなら2つ先のパラグラフへ進むこと。今は4へ

3 何も手に入らない。4へ

4 敵が現れた。5へ

5 負けた。BAD END

6 剣で敵を倒した。HAPPY END

 

【パラグラフを開く例】

1 右に進むなら2へ 左なら3へ

2 剣を手に入れた。6へ

3 何も手に入らない。4へ

4 敵が現れた。5へ

5 負けた。BAD END

6 敵が現れた。剣を持ってるぜ!7へ

7 剣で敵を倒した。HAPPY END

 

こんな感じですね。

パラグラフを開く利点は、余計なフラグ管理を読者にさせないで済むこと、同じシーンでもそれまでの展開によって描写を微調整できることです。

欠点は、パラグラフ数がいたずらに増えること。複数のパラグラフで同じシーンが出てくるので、推敲の際に矛盾ができるリスクが増えることですね。

パラグラフを閉じる方が、分岐がわかりやすいので、ゲーム的には見通しが良くなるのは、前述の通りです。

 

余談が過ぎました。

基本的に短編ではパラグラフを開いている余裕はありません。あっという間に制限を超えてしまいます。本作でパラグラフを開こうと考えるくらいなら、本来はもっとイベント密度を上げるべきなのかもしれません。

 

宝に見向きもせず自説を語るイシスを見て、マリーは自分の意志で彼女を助ける道があることを悟ります。「あなたは今、その選択肢をはっきりと意識していた」という表現は、もちろんゲームブックの選択肢と掛けているわけです。そして読者にこの選択肢を「意識」してもらうため、あえてパラグラフジャンプの指示を提示します。パラグラフジャンプって、普通に選択肢を選ぶのに比べて、「ジャンプのタイミングを見逃さずに見つける」「飛び先を計算する」「(電子書籍では)リンクをワンクリックではなく、ページをめくる手間を掛けて飛び先を探す」といった作業を読者に課してるんですよ。ですから乱用は慎むべきであると同時に、ここぞというときに使うと、読者に「今運命を動かしている」という実感を持ってもらう効果があるのかな、と思っています。

 

うん、ここに来てようやく興が乗ってきました。それぞれの主人公が走り出して、イメージが鮮明になってきた感じです。

イシスのフラグが立っていないと、闇の道でイシスがパニックになってゲームオーバー。

イシスは暗闇が苦手というのは、プロローグ部分でちょこっと入れておきましょうかね。まあ、恐怖症レベルだと、なんで地下迷宮探索に来たんだよって話になってしまうので、ほどほどにですけど。

このゲームオーバー、「デレクの選んだ魔法」でも、ちょっと気になる相手と一緒に最期を迎えるというパターンは、バッドエンドながらもいくらかの慰めがあって、ちゃな的にはツボです。

ちゃな自身はご免ですけどね。自分としては、大事な人の最期をちゃんと看取ってから、最期は独りで逝く方がいいな。。。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

マリーの励ましで闇のトラウマを克服したイシスは呪文で闇を払います。そこで思わず地声を出したうえ抱き合ってしまい、正体がばれるマリー。観念して全てを話した彼女をイシスは受け入れます。

あとはマリーエンドに一直線。なのだけど、マリウスは本物のマリーを殺してますからね。このエンディングでは自己犠牲で終わってもらおうかなー?

 

遂に最深部近くまで清書が進んできましたが。さて。

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Flowchart13

余計な分岐を削ったら、いつの間にかチャートが分離していた。。

あと一つ二つ、いや三つイベントがあります。結構多いなー。ちゃなはダンジョンのイベントを作るのが苦手です。どうも現実的に考えてしまって、突拍子もないキャラとか仕掛けが発想できないんですよね。。

あと、最深部に単独で辿り着くルートはそれなりにあるのだけど、全部バッドエンドにしてしまって良いものか。ここでエンディングを迎えるのはイシスだけの予定なんですよね。また、真エンドは全員生存ルートですから、道中でイシスとマリーを殺してる可能性のある単独ルートは当然使えない。

やれやれ、もう一踏ん張り必要なようですね。

ゲームブックの制作実況(19)

こんにちわ、ちゃなです。

この連載も19回目になってしまいました。全20回で終わらせたいなあ。。

 

戦闘描写をちょっと修正。

本作は8人の主人公が思い思いの武装で迷宮に挑むので、戦闘描写がすごくやっかいです。

武器はほとんど剣に統一しています。でもイシスはメイスなんですけどね。ソロンは武器を使いませんし、ノアは子供なので戦力にならない。暗殺の際は短剣を使います。エクスフィアでは僧侶が刃物を持てないという設定はないし、そもそも僧侶というクラス概念がない。魔術師でも筋力と鍛錬の裏付けがあればグレートソードとプレートメールが装備可能です。なので、ホッブスは鎧を着ています。

そんな感じで、主人公の攻撃姿勢とか、鎧で刃先が止まった描写とかが、共有パラグラフではやりづらいんですよね。。とりあえず、イシスの可能性のあるパラグラフは「剣」ではなく「得物」にします。メイスだから、突き刺すという表現は用いないようにしないといけません。

余談ですが、鋭意制作中の「オクトシャードサーガ」でも、装備可能な武器が剣、槍、鞭、棍とバラエティに富むので、戦闘パラグラフの描写にえらい苦労しています。

 

……移動中、唐突に思いつきました。

やっぱり真エンディングを入れましょう。主人公全員が幸せになれる結末を。

ンドルフエンドのところにパラグラフジャンプのヒントを入れます。

その後、誰でも良いので全員生存で最深部に到達することが条件。

うむ、美しい。。。

 

……と言ってるそばからバグ発見。最初の分岐を右に行った後は階段の下に宝部屋があるのに、イシス単独ではそこに行き着けない。単方向のゲームブックだと、この辺の道筋をすっ飛ばしてしまう作品が結構ありますけど、一応マップは整合的でありたいですよね。

 

直してたら、かなりパラグラフが減ってしまいました。あと7つくらい余っています。

ついでに書き終えたパラグラフの表題に■をつけてわかりやすくしてみました。

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Flowchart13

あれ、まだ30%以上残ってるなあ。。。

これで今週末終わるのでしょうか……?

ゲームブックの制作実況(18)

ちゃなです。

 

今日はホッブスのエンディングから。本作一番のエモ場ですね。

私はストーリーテリングを行うとき、「死よりも泣けること」ってなんだろう、と考えます。世界には無数の泣ける話がありますが、その多くが人の死を扱っています。もちろん私もお涙頂戴のために作中人物を殺すことが多々ありますが、人が死んで悲しいのは当たり前。誰も死なせずに読者を泣かせるのって、結構ハードルが高いんですよね。悲しみにせよ、うれし涙にせよ。

本作は短編ですし、安直ですが、永遠に生きる悲しみと、愛する人にそれを与えてしまった悲しみを扱ってみました。

しかしこのエンディングはひどいなあ。。。

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Flowchart12

執筆があとちょっとというところで、気晴らしに表紙の作成を進めてみます。

私は絵がからっきしなので、自分でイラストをつける場合は市販の素材を活用することになります。

そのために実はこれまでもいくつかアイコンの素材集を買ったり、背景になりそうな写真を撮りだめしていたりしたのですが、今回は先日Kickstarterでバックさせていただいたプロジェクトの成果物を使ってみることにしました。

www.kickstarter.com

こちらの100体の中から、登場人物のイメージに合いそうなものをピックアップしてみます。ちょっと苦しい人もいますけど、なんとか全員揃いそうです。

組み合わせてみました。タイトルは仮題です。

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TitlePage

うーん、ただ文字と絵を配置するだけなのに……この表紙、なんか素人くさい印象ですねー。

プロのデザイナーさんだったら同じ素材でも全然垢抜けた仕上がりになるんでしょうね。。

まあとりあえずこれで。

 

フローチャートの方は、途中で一部改変したり、そもそも完成してないルートがあったりしたので、一旦整理中です。

単独ルートを上手に分岐させてンドルフだけの展開を作りたいのですけど。。

最初の三分岐がどの道でも単独と複数の両方の展開があるからやりづらいんですよね。

やっぱり当初の予定通り、魔法の道は複数で行ったら即死にしましょうかね。。

 

マリーとイシスの関係は複雑で、イシスは当初マリーを好んでいなかったのに、同行するうちに好きになってしまいます。(一応、性的な意味ではありません。その辺は明示しませんけど)

他方、マリーはイシスの真心に触れて宗旨替えするのがエンディングへの道のりです。

しかし、この二人の運命が交わるのは、あくまでマリーを主人公に選んだ場合のみ。マリーはエンディングまで同行するほか、イシスを敢えて見逃す選択も出来ます。

一方、イシスが主人公の場合は、マリーに近づきすぎると、任務に徹することを決意したマリーに斬られます。マリーを先にプレイした読者にとってはちょっとしたトラップですね。

 

宝部屋はターナーのエンディング。他の人は罠解除がなければ閉じ込められてゲームオーバー。マリー&イシス組が訪れる可能性もあります。ちょっと描写で遊べそうですね。。

今日はここまで。進捗70%くらい。

ゲームブックの制作実況(17)

ちゃなです。

タイトル未定(いい加減決めないとね。。)の100パラゲームブック、清書ももうすぐ半分を超えるところです。

 

今日はカルバドールのエンディングから。マリーとイシスのどちらが裏切り者か。イシスを選べばゲームオーバーです。というか、裏切り者は男だと言われてるのに女性二人についていったカルバドールって何者なんだか。他の展開で男を襲う選択肢も作らないとバランスが悪いかなあ。。バッドエンドを増やせるほどパラグラフ数に余裕ないんですけどね。

イシスを襲って失敗した場合、一応裏切り者の正体はそのパラグラフでは伏せておくことにします。二択だからマリーしかいないし、ほとんどの読者が指セーブしてやり直すとは思いますが。まあ、偶然このパラグラフをチラ見してネタバレしてしまう可能性もありますしね。

 

カルバドールエンディング完了。任務を達成したらさっさと引き上げ。渋いですねー。信者ならご神体復活まで付き合わんかい、という突っ込みもありそうですが、そもそもこの探索行にはサッカバートが参加してるので、カルバドールはあくまで別動隊なんです。その辺、細かすぎて伝わらないとは思いますが、ちょっとだけ臭わせる記述をしておきます。

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Flowchart11

スクショ撮ってから気付きましたが、テキストで「あとは」が続いて美しくない箇所がありますね。修正しておきます。

今日はノートPCで作業をしているので、画面が小さめです。チャートを縮小するとシーンサマリーが消える仕様なんですね。

 

魔法生物を出す予定だったところをオデッサ登場のシーンと入れ替えました。彼女は先の探索で迷宮に侵入し、ビヨンデスとなって信者たちを待ち構えています。ビヨンデスとはbeyond deathで、いわゆるリッチですね。リッチはD&D発のモンスターで、行為の魔術師が自らアンデッドになったものです。ソードワールドRPGではノーライフキング、「バスタード!」ではエデ・イーなどと称されていますね。そこで私はビヨンデス。こういう英語でもありそうな造熟語、使ってみたかったんですよー。ちなみに「ファイナルファンタジー5」のエクスデスも、ex-deathの意味らしいです。

 

……あ、そういえば、エクスフィアには基本的に死後の世界が存在しないんだった。。 「魔皇を継ぐ者」では魔皇の亡霊が出てきますけど、あれは生前の魔力が強すぎた故に残留思念が残っただけで、死後の世界から来たわけではないんですよね。リザレクションの魔法は存在しないんです。ビヨンデス、世界観になじむかなあ。。

魔皇を継ぐ者 (ちゃなのゲームブック)

魔皇を継ぐ者 (ちゃなのゲームブック)

 

 今日はこの辺で。