どうも、ちゃなです。
今回のテーマは、ゲームブックの難易度についての考え方です。
ほとんどのゲームブックはエンディングのパラグラフまでたどり着くのが目的ですから、なかなかエンディングにたどり着けないゲームブックは難しいゲームブックということになります。
ゲームブックの難易度の高さは、おおよそ次の7つの要素から成ります。
1.パラグラフ数が多い
単純に、400パラグラフのゲームブックは、100パラグラフの作品よりも長く、故に難しいです。
現在、最長と思われる作品の一つが「ネバーランドのリンゴ」。なんと1000パラグラフ!しかも双方向なので、クリアまでにどっぷりと時間を使います。
ネバーランドのリンゴ (創元推理文庫―スーパーアドベンチャーゲーム)
- 作者: 林友彦
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1986/07
- メディア: 文庫
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2.バッドエンドが多い
選択を間違えるとすぐバッドエンドになってしまう作品は、どの選択肢を選んでもエンディングにたどり着ける作品に比べて、より難しいといえます。
「釘責めの迷宮」は、FT書房さんのシリーズの中ではなかなか手強い作品です。100パラグラフ中12個がバッドエンドになっています。これら以外に、アイテムがないと先に進めないパラグラフもあるので、より難しさを感じます。
3.「真の道」が見つけにくい
バッドエンドの数が多くても、何度もチャレンジしていればいずれはクリアできるはず。そう思っても、なかなかうまくはいきません。
エンディングに安全に辿り着ける「真の道」が、パラグラフジャンプなどで巧妙に隠されていたり、一見正解に見えるルートが複雑に分岐してすべてバッドエンドで終わっていたりと、意地悪な構造を持っている作品もあります。
「モンスター誕生」がその典型です。序盤にあるヒントを得ておかないと、途中までは進めてもいずれ詰まってしまうようになっています。
4.戦闘バランスが厳しい
サイコロで戦闘の決着をつけるシステムを採用しているゲームブックはたくさんあります。ほとんどの作品では、主人公の初期能力値が低くても「真の道」を通れば容易にクリアできるようになっています。
しかし、例えば「バルサスの要塞」で、魔法を一切使わずにクリアしようとすると、技術点12、体力点18のラスボスを傷ついた状態で倒さなければなりません。これは理論上はほぼ不可能です。
バルサスの要塞―ファイティング・ファンタジーシリーズ (〈ファイティング・ファンタジー〉シリーズ)
- 作者: スティーブジャクソン,Steve Jackson,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 扶桑社
- 発売日: 2005/06
- メディア: 文庫
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スティーブ・ジャクソン氏の作品の中では易しい方に入る「シャムタンティの丘を越えて」ですが、技術点が最低の戦士では、クリアは相当難しいです。
シャムタンティの丘を越えて (Adventure game novel―ソーサリー)
- 作者: スティーブ・ジャクソン,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 創土社
- 発売日: 2003/07
- メディア: 単行本
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5.謎が難しい
特定の謎を解けないと詰まってしまうタイプのゲームブックもあります。
「魔の罠の都」では、4行の呪文をすべて見つけないとクリアできない上に、呪文の言葉を手に入れるためには謎解きに挑まねばならないものもあります。
魔の罠の都―ソーサリー〈02〉 (Adventure Game Novel)
- 作者: スティーブジャクソン,Steve Jackson,浅羽莢子
- 出版社/メーカー: 創土社
- 発売日: 2003/12
- メディア: 単行本
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6.エンディングまでの道のりが長い
パラグラフ数が少なくても、迷路やループなどで、なかなか前に進めない作品もあります。
ピラミッドゲームブックシリーズは、先に進むことの難しさを楽しむのがコンセプトになっていて、無類の難易度を誇ります。
7.シナリオが難解
クリア自体はたやすくても、一回エンディングにたどり着いただけでは、ストーリーの理解が難しい作品というのもあります。
「送り雛は瑠璃色の」なんかはゲームブックとしてより文学作品として難解といえます。
このように、ゲームブックの難易度を構成する要素は様々です。
作者側からすると、難易度を上げるのは簡単なことです。しかしそれでは単なる独りよがりな作品になってしまいます。歯ごたえが あって挑戦欲をかき立てられる作品を作るためには、単にバッドエンドを仕込んだり敵を強くしたりするのではなく、パラグラフ構成にひねりを加えて、ゲームブックとしての完成度にこだわるのが王道といえそうです。
ちなみに、今回参考に数えてみたところ、「ネイキッドウォリアー」にはバッドエンドのパラグラフがなんと20個以上ありました。難しかったでしょうか……?