どうも、ちゃなです。
今回解説するのは、「悪夢の幽霊都市」。
初出は1986年ですが、最近キンドルで再版されました。
本作は鳥井架南子先生の「悪夢シリーズ」三部作の最終巻に当たります。
三部作と言ってもストーリー上のつながりはありません。いずれも単体で完結しています。主人公はいずれも「君」ですが、多分別々でしょう。妖怪村の主人公は怖いもの見たさに廃村に忍び込む好奇心旺盛な人物ですが、二作めの主人公は失恋したてのナイーブな少年です。
私は以前にも書きましたが、この二作目「悪夢のマンダラ郷」が一番好きですね。
さて、このシリーズは、主人公がふとしたことから不思議な世界に迷い込んでしまい、現世に戻る道を探すという物語になっています。いずれも300パラグラフと短めですが、デッドエンドが多く、またパラグラフジャンプを駆使しなければエンディングに辿り着けないため、難易度は高めになっています。
ゲーム開始時に「運命数」と「バイオリズム数」を決めるのが特徴です。運命数はランダムな1~9の数字で、バイオリズム数は運命数にその日の日付を足した数ということになっています。この二つの数字は、そこかしこで成功判定に用いられることになります。
したがって、運命数やプレイする日にちによって、行けるはずの道が通れなかったり、攻略ルートが微妙に変わってくるんですね。
その特徴が顕著なのが、今回紹介する「悪夢の幽霊都市」で、運命数によって3パターンの脱出路のうちどこを辿るべきかが変わってきます。
さて、この「悪夢シリーズ」。システムは同一ですが、舞台を包む雰囲気がそれぞれ異なっていて、どれも絶妙な味わいを出しています。
妖怪村はまさしくゲゲゲの鬼太郎の世界。怖い妖怪もいればとぼけた奴もいたりします。
マンダラ郷では、ありとあらゆる時代の怪物が登場します。原始人と決闘したり、仙人の弟子になったり、スフィンクスの謎かけに挑んだりと、破天荒な冒険が待っています。エンディングのカタルシスが一番大きいのもこの作品だと思います。
そして、幽霊都市は、一見普通の町並みですが、危険がいっぱいです。消灯したビルか地下鉄の駅に閉じ込められたような恐怖を味わえます。一番現実味があるのもこの作品で、本当に夢に出てきそうです。
「悪夢の幽霊都市」には、デッドエンドといえるパラグラフが全部で40以上あります。400パラグラフのファイティングファンタジーシリーズでもデッドエンドは十数箇所の作品が主ですから、これはべらぼうに多いといえます。
なお本作では、バッドエンドには三段階あり、「死」はスタート地点に戻されるだけで最もペナルティが軽いとされています。アイテムはすべて失いますが、道中に手に入れたヒント(パラグラフジャンプの方法も!)は持ち越せますので、完全なやり直しではありません。
次に、「永遠の罠」というのがいくつかあり、例えばエレベーターがいつまでも下り続けて出られない、という悲惨な目に遭います。これにはまってしまうと、お助けアイテムがなければゲーム終了です。そのお助けアイテムは序盤で手に入るのですが、入手できるかどうかは運次第。例えば、運命数が1の読者は、このアイテムを手に入れることはできません。
そして、幽霊都市に囚われてしまったり、異世界で生涯を終えることになる、言わば真のバッドエンドもたくさんあり、ここでは無条件でゲーム終了となっています。
さて、そんな凶悪な本作は、実は双方向になっています。主人公は地下鉄やバスを乗り継いで都市の中を行ったり来たりしながら脱出路を探すのです。確かに、その方が都市っぽいですよね。
以下にチャートをお示しします。
こんな感じです。
黄色のパラグラフは完全なバッドエンド、赤いパラグラフは「永遠の罠」です。紫のパラグラフは「死」で、パラグラフ208に飛ばされるのですが、簡略化するためにその道筋は省いています。
本作は現在でもキンドルで入手可能なので、興を削がないようにチャートの細かい説明は省いておきます。我こそはという方は、是非挑戦してみてください。
ちなみに、今回チャートを作っていて改めて思ったのですが、やはりパラグラフジャンプの多い作品は紙の方が読みやすいですね。最初はPCに両手で打ち込むためにキンドル版を参照していました。しかし、パラグラフジャンプの飛び先を確認する作業は、紙の本の方がずっと速かったです。