どうも、ちゃなです。
幻想迷宮書店さんから期待の新刊、「Domino ナゾトキブック」が発売されました!
本作は、ゲームブックの体裁をとっていますが、いわゆる脱出ゲーム的な色彩の強い作品です。
読者は主人公になりかわって、出題される謎を解きながら、先に進んでいきます。
途中で選択による分岐も若干出てきて、ストーリー展開が大幅に変わることもあります。
作者はニチョ謎さんです。
謎解きがメインということで、ストーリー性はあまり強くありません。導入は、お金に釣られて訳のわからない実験に参加させられるという、定番のものです。
でも、後半に入ると、主人公と深いつながりのある登場人物が何人か出てきて、助けるか見捨てるかの選択を迫られたり、お互いの裏事情が明かされたりと、わくわくさせられる要素もあります。謎に比べて強くないというだけで、決してとってつけたようなストーリーではありません。全編通じて、タイトルである「ドミノ」の意味を考えさせられるようになっています。
そして謎解きですが、本書では「検索システム」を用いて答え合わせをしています。
読者は謎を解いたら、「正解はセイカイ」といったような形で電子書籍リーダーで検索をかけます。当たっていれば、続きのストーリーのページがヒットするという仕組みです。
従来のゲームブックでいう(隠された)パラグラフジャンプに似た仕組みですね。パラグラフジャンプだと、解答を数字にしなければなりませんが、検索システムではあらゆる単語が解答にできるので、より柔軟に謎を設定できます。そして、それぞれの謎の答えも、非常に意味深なものになっていて、雰囲気によくマッチしています。
もちろん、全編通読すれば正解は判明しますし、解説セクションもきちんと収載されています。
謎の数は、あまり多くありません。しかし、最終問題では度肝を抜かれます。最近ではこういうギミックもたまに見かけるようになりましたけど、すべての謎に意味があり、かつ表だけでは真実が見えてこないという、この最終問題の完成度の高さはハンパないです。
ただ、本作はやっぱり紙の本で読みたかったかなー、と思います。コピーを取ったり書き込んだりして試行錯誤するタイプの謎は、どうしても紙の方が扱いやすいんですよね。
私は最終問題以外は紙とペンなしで解きましたが、最終問題はとても無理でした。(というか、実は最終問題は紙とペンを使っても結局解けず、正解を読んでしまいましたが……)
電子書籍で謎解きというジャンルに挑戦し、検索システムを活用するところは非常に斬新でしたが、謎の性質も電子書籍に合わせていたら、もっと良かったのではないかと思います。
あと、本書はマルチエンディングになっています。個々の謎が解けなかったときのバッドエンドも、結構凝っています。ノーマルエンドだけ見て読み終えた気になっていたら、本書の三分の一も楽しめていませんよ?
キンドルで謎解きゲームブックというジャンルに大胆に挑戦した意欲作でした。
主人公たちには幸せになってほしいなあと思います。