どうも、ちゃなです。
新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」の宣伝を兼ねて、その制作の舞台裏を紹介していきます。
本作には、全部で12種類の魔術が登場します。
以前に書きましたが、一つのゲームブックで扱える魔術の数は、12種類が限界に近いと思っています。
「バルサスの要塞」も「サソリ沼の迷路」も12種類、「ソーサリー!」は4部作で全48種類。奇妙な符合ですね。
そこで、12種類というのは決めておいて、あらゆる魔術的現象を12種類に分別するにはどうしたら良いかを考えていきました。
まず、すべての事象を操るとなると、「時間」と「空間」は外せません。なにしろ「ネイキッドチェイサー」ではサー・デレク自ら空間の術を操っています。
それから、物理法則へ干渉する魔術体系があります。攻撃呪文として絵的にも魅力のある「火炎」と「氷結」。もう一つ、「ネイキッドウォリアー」でサー・デレクが稲妻を放つシーンがあるので、「稲妻」もやっぱり入れないといけません。
あとは、人間の欲望を考えた場合、「治療」は必ず魔術のテーマになります。その反対属性として「衰弱」も採用しました。
それから、空を飛んだり、手に触れずにものを動かしたりと、色々楽しめるということで、「念動」も欲しいところです。
ネイキッドシリーズでは、異界の悪魔が召喚されて大騒動を引き起こすというテンプレートがあります。したがって、「召喚」も必要です。
残りは少々迷いました。「思念」はファンタジーのみならずサイキックものでも定番の超能力ですが、効果が強すぎるとこれ一つで何でもできてしまいます。「幻影」もファンタジーゲームでは採用率の高い魔法の一つです。
「召喚」の反対属性として「解除」を考えたのですが、カウンタースペルというのはゲームブックでは結構使いづらいんですよね。主人公が魔術の使い手と対峙する機会はそうそうありませんし、出たら出たで解除を使えないとデッドエンドになりがちです。本編の制作過程でも、解除の術を使えるシチュエーションをどう調整するかが大きな課題でした。
最後まで迷ったのは、予知とかお告げの類です。読者が判断に迷う局面でヒントを差し上げるという点で非常に使いやすいのは確かなのですが、現実に影響を及ぼさない魔術のために1枠を割くというのはちょっと勿体ない気がして、結局採用を見合わせました。
こんなわけで、12種類の魔術は、ちゃなの感性というよりはむしろ論理的に決めていったのです。
続いて、この魔術同士の関係性を考察する作業に入りました。この過程は、「デレクの選んだ魔法」のプロットの根幹に関わる部分です。ここが決まると同時に、魔術の習得方法やダンジョンの構造など、幾つかの大事な要素が連鎖的に決まっていきました。
さらに次回に続きます。