ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

制作したゲームブックをキンドルで読めるようにする方法

どうも、ちゃなです。

ゲームブック作家を始めて1年強。これまで短編3本、長編1本をキンドル個人出版しています。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

ソーサリアンTEXTに投稿した「災厄の夜 -テンペスト・ナイト-」もよろしくです。

www.web-deli.com

 

キンドルゲームブックとの相性については色々と言われています。

 

メリットはなんと言っても、パラグラフリンクが貼ってあれば、ワンタップで次の飛び先に移れることですね。

専用端末やスマホキンドルアプリを使って、電車の中でも片手で読めるのも嬉しいところです。

 

他方、冒険記録紙やサイコロといった、多くのゲームブックで必須のデバイスキンドルには標準装備されていないのが辛いところです。

また、パラグラフジャンプ(本文中に指示されていないパラグラフへの遷移)を行う際には、電子書籍でページを検索するよりも、紙媒体でのパラパラめくりの方が早かったりします。

 

私の作品では、これらの点を考慮して、パラグラフジャンプは極力避け、サイコロや筆記用具無しで楽しめる作品を上梓してきました。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

ところで、ゲームブックを作った後でキンドルで読めるようにする方法、ご存じですか?

リエーター目線では、これ、結構重大な問題だったりします。

 

キンドルの標準フォーマットはMobiファイルです。

このMobiファイルを作るには、アマゾンさんが無償提供している「Kindle Gen」「Kindle Previewer」を使うのが一般的です。

kdp.amazon.co.jp

 (※2018/9/22 リンク先を変更しました。)

 

ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、Modiファイルに変換し、プレビューもできるという、シンプルなツールです。

 

一方、ゲームブック本体を作る際には、The GameBook Authoring Toolなどの専用ソフトを使って、フローチャートを確認しながら執筆するのが、やはりやりやすいです。

www.crumblyheadgames.co.uk

GBATは非常にシンプルで使いやすいのですが、以前紹介した通り、幾つかの欠点もあります。

chanagame.hateblo.jp

 

GBATは作品をパラグラフリンク付きのHTMLで出力してくれます。

ですから、これをそのままKindle Previewerで変換すれば、取りあえず出版の準備は整います。

ただ、正直ちょっと見栄えが悪いんですよねー。こんな感じです。

f:id:chanagame:20180118080152j:plain

上の画像は、拙作「ネイキッドサバイバー」の制作途上のファイルをそのまま変換してみたものです。

ネイキッドサバイバー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドサバイバー (ちゃなのゲームブック)

 

 

個人的に一番気になるのは、パラグラフ番号が算用数字であること。

 

そもそも、多くのゲームブック作品は、縦書きで提供されています。

これは既存作からの刷り込みかもしれませんが、数字がたくさん出てくる作品でなければ、縦書きの方がしっくりくるように思います。

そうすると、パラグラフはやっぱり算用数字でなくて漢数字の方がそれらしいですよね。

 

ところが、漢数字でパラグラフリンクを自動生成してくれるゲームブック作成ツールはほとんどありません。

私の知る限りでは、「GameBookCompiler」だけです。

www.vector.co.jp

(※2018/9/22現在、ダウンロードできなくなっています。)

 

こちらは日本発のゲームブック作成ソフトで、テキストデータを入れると、自動でパラグラフリンクを貼ってくれます。その際にパラグラフ番号を複数の書式から選択できるのが特長です。

 

ただ、このアプリは極めてシンプルな作りで、扱えるのはテキストファイルのみ、出力は原則としてHTMLです。

 

なので、私の場合、GBATで作ったパラグラフリンク付きHTMLファイルをわざわざメモ帳にペーストして、すべてのパラグラフを手作業で【】で囲み、それをGameBookCompilerでもう一度HTMLに直すという、ちょっと面倒くさい作業をやっています。

また、GemeBookCompilerはパラグラフシャッフル機能を標準装備しているのですが、この段階でシャッフルしてしまうと、GBATのファイルと内容がずれてしまい、後で内容を修正することが困難になりますので、この機能は無効にしておきます。(パラグラフシャッフルはGBATでも可能です。)

 

そうすることで、漢数字パラグラフのリンク付きHTMLファイルが完成します。

 

ここでもう一工夫。縦書きにしたり、イラストを入れたりする作業を行います。

さらに、最終的にKindle PreviewerでMobiに変換するには、電子書籍の標準フォーマットであるEpubを用いるのが一番相性が良いようです。

この作業を、私は一太郎で行っています。

一太郎2017 通常版

一太郎2017 通常版

 

特に一太郎でなければダメというわけではないのですが、最近の一太郎Epub関連の機能がかなり充実してきています。Kindle Direct Publishingでは目次の生成を推奨していますので、私はまだ試したことがありませんが、その点でも一太郎は使いやすそうです。 

sites.google.com

 

というわけで、ちゃな流のキンドルゲームブックができるまで。

(1)The GameBook Authoring Toolでゲームブックを制作し、HTMLで出力する。

(2)テキストデータに直して各パラグラフに【】を付し、GameBookCompilerでもう一度HTMLに置換する。

(3)一太郎で編集してイラストを付け、Epubで出力する。

(4)Kindle PreviewerでMobiファイルに変換して完成!

 

うーん、かなり非効率ですよね。。。

どこかの工程を飛ばせても良さそうなものですが。。

 

問題なのは、いざ出版した後で誤植などが発覚した場合です。

オリジナル原稿はGBATなのですが、GBATファイルをGameBookCompilier用のテキストに変える時に、かなり手を入れていますので、改訂のたびにその作業をするのはあまりにも大変です。なので、私は改訂のたびに、GBATファイルとGameBookCompiler用テキストファイル、そして一太郎Epubファイルのすべてを別個に修正するようにしています。

修正内容が軽微なものであれば、一太郎からの作業だけで改訂が可能ですが、リンクミスなどがあれば、GameBookCompilerでの変換作業からやり直しになります。

ちなみに、総パラグラフ数600の「デレクの選んだ魔法」では、この変換作業に3時間くらいかかります。パソコンがフリーズしたかと心配になるレベルです。

 

というわけで、編集者さんって大変なんだなあ、という話でした。