ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックの三要素

どうも、ちゃなです。

今回はちょっと制作理論のお話。

 

世の中、なんでもとりあえず3つの要素に分けて考えるっていうやり方がありますよね。真善美とか、心技体とか。

例えば映画だと、シナリオ、役者、演出の三要素が大切です。どれが欠けても名作にはなりません。

アニメなら、キャラ、ストーリー、声優の三要素になるのかな?

アナログゲームはどうでしょうか。私なら、ルール、テーマ、コンポーネントの三要素を挙げたいと思います。もちろんルールが一番大切ですが、「ラングフィンガー」と「グリムリーパー」、「ラー」と「ラッツィア」なんかは、それぞれルールはほぼ一緒ですが設定が違うのでプレイ感覚は結構異なります。コンポーネントが紙か木か金属かでも、全然印象が変わってきますよね。

 

さて、ゲームブックの三要素ってなんでしょうか?

 

少し前から考えていたのですが、今のところちゃなの答えは、

フローチャート

・システム

・テキスト

です。

 

ゲームブックは分岐小説とも言われるように、フローチャートで記述が可能なメディアです。フローチャートこそゲームブックゲームブック足らしめている本質です(単純にチャート化できない作品や、「ひぐらしのなく頃に」みたいな例外もありますが)。

 

対して、ゲームブックのゲーム性をフローチャート以外のところに求めれば、それがシステムということになります。

多くの作品では、冒険記録紙などを使ってフラグ管理を行いますし、戦闘システムが実装されている作品も多いです。トンネルズ&トロールズのソロアドベンチャーでは、システムがメインでチャートはむしろフレーバーだったりすることもあります。

 

そして、ゲームブックが小説の形態をとっている以上、テキストを要素から外すわけにはいきません。

 

ゲームブックを制作する際には、多かれ少なかれ、これら三要素を意識して、そのバランスに気を配ることになります。

そして、どの要素を重視するかによって、作品の個性も変わってくるのです。このバランスは、また執筆スタイルとも関わってきます。

 

私の場合、大抵はフローチャートを作ることから始めます。そして、ストーリーラインに沿って必要なシステムを構築しつつ、チャートを見直してバランスを取っていきます。

多分、フローチャート作成は漫画家さんの「ネーム」に当たるんですね。テキストを書き起こす作業は「ペン入れ」みたいなものです。

私は、チャート作成の段階ではシーンの細部までは決めていません。例えば、戦うか逃げるかの選択肢を設けるとだけ決めておいて、いざ執筆の段階で、この敵は挑発してくるのか、それとも隙を見せているのか、それまでの展開も踏まえて書き込みます。

 

小説メインの作家さんなら、メインのストーリーラインを完全に決めてから、分岐を付け足していくスタイルを取ることもあるでしょう。

 

拙作「魔皇を継ぐ者」は変わっていて、最初にフラグワードシステムを思いついたものですから、その仕組みが機能するようにチャートを作るという、珍しい工程を辿りました。

魔皇を継ぐ者 (ちゃなのゲームブック)
 

 

次回作「ファントムドミネーション」では、逆にテキストが肝になります。独特のテキストを活かせるようにチャートをこしらえているところです。

どうぞご期待ください!