どうも、ちゃなです。
芸術って、人の心を揺さぶるものですよね。美しい写真を見て心をときめかせたり、悲しいドラマに涙したり、悪逆非道なヴィランの振る舞いに怒りを覚えたり。優れた作品であればあるほど、受け手は感情移入してしまうものではないでしょうか。
ゲームブックはエンターテインメントであると同時に芸術作品でもあります。そのうえ、ゲームブックでは読者が作中人物になるわけですから、没入感は普通の小説や映画以上のはず!
……と思ったら、ゲームブックで感情を揺さぶられたことって、いざ思い返してみると意外に少ないかなあ。映画とかだとすぐ泣いちゃうんですけどね。。
なんでなんだろうと考えたのですが、私の場合、主人公に感情移入するよりも、パズル性に注意が向いてしまうのかもしれません。「私だったらこうする!」という選択ではなく「きっとこの選択肢がベストエンドだ!」というメタ的視点が入ってしまうんですね。
皆さんはどうでしょうか?
さて、今回は私が体験したゲームブックの中から「喜怒哀楽」各々について、一番こころを揺さぶられた作品をご紹介します。
「喜」モンスターの逆襲
モンスターの逆襲 (現代教養文庫―アドベンチャーゲームブック)
- 作者: 山本弘
- 出版社/メーカー: 社会思想社
- 発売日: 1988/04/01
- メディア: 文庫
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グループSNEの山本弘先生の名作。氏の作風はずばり「モンスター視点」と「エロ」。本作は人間のパーティに殺されたモンスター一家の生き残りの復習譚。なので前半は怒りにまかせて進んでいくのですが、終盤にどんでん返しが待っています。とあるルートを通ってエンディングに進むと、人間とモンスターが殺し合わずに済む未来を垣間見ることができるのです。このカタルシスはなかなかのものでした。もちろんサービスシーンもありますよ(笑
「怒」Eye of the Dragon
イアン・リビングストン氏によるファイティングファンタジーシリーズの一冊で、以前リプレイを書きましたね。同名の作品をデイヴ・モーリス氏も書かれているのでお間違いなきよう。本作のラスボスには本当にむかついた!チンケな陰謀を企てていくつもの命を奪おうとする小悪党で、しかも弱い。。。倒した後の爽快感もひとしおでした。氏の作品の敵キャラは憎めないのが多い気がするので、ちょっと新鮮でしたね。
「哀」竜の血を継ぐ者
以前もご紹介しましたが、本作は古川尚美先生がナムコのアーケードゲームをゲームブック化した「ドラゴンバスター」を中川竜都先生がさらに翻案したものです。主人公を女性に変更して、ロマンスあり裏切りありのドラマティックな展開が繰り広げられます。マルチエンディングの一つはとても切なくて、今でも涙なしには読めません。
「楽」ふたご島からの脱出
ふたご島からの脱出 少年は戻りたいと思った。少女は救いたいと願った。 (脱出ゲームブック)
- 作者: SCRAP
- 出版社/メーカー: 立東舎
- 発売日: 2013/02/25
- メディア: 単行本
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SCRAPさんの脱出ゲームものの中からこちらをチョイス。とにかく謎がいっぱいで、一つ解くたびにストーリーが進んでいくのが純粋に楽しくて、時間を忘れてしまいます。ただの謎解きではなく、クロスオーバーする二人の主人公の行動を見極めるのがまた楽しい!他作品と違ってホラー要素があまりなく、怖いのが苦手な人も安心です。
他にも感情を揺さぶられるゲームブックといえば、「展覧会の絵」と「送り雛は瑠璃色の」は外せません。喜怒哀楽に当てはめるのは難しいのですが……前者はとにかくエンディングに感動、後者は名状しがたき気持ちを引き起こされました。
今回は感情を揺さぶられるゲームブックでした。ではまた。