ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックの制作実況(23)

ちゃなです。

遂に完成、新作ゲームブック

……と言うのはまだ早くて。

隠しエンディング2種類を執筆して、製本して、そして地獄のバグチェックが待っていますよ。。

長編だとこの校正作業だけで1ヶ月くらいかかりますからね。

 

サッカバートエンド完成。

オデッサが先にアバーティッサに触れ、サッカバート二院銅を渡すというエンディングにしてみました。

うーん、消化不良になるかなあ。普通にEVILエンドでも良いような……。

でも、それだと当初の予定通りそれが真エンドの方が作品としてまとまるように思うんですよね。

サッカバートにとってはバッドエンドっぽくしておいた方が、真エンドに向けてのモチベーションが上がるんじゃないかと。

まあ、全部書き上げてから変更することも可能なので、とりあえず書き進めてみます。

 

エンディングって、作品で一番重要な箇所であるにも関わらず、ゲームブック制作においては最も自由度が高い部分なんですよ。

なにせ、何を書いてもチャートに影響を与えないから、やりたい放題なんです。

このことを知っているからこそ、バッドエンドの描写こそゲームブックの神髄と考えている作家さんも多いんじゃないかしら。

ちゃな自身は、バッドエンドは割とさらっと書く方なんですけど、先に紹介した「デレクの選んだ魔法」でヒロインに手を握られながら正気を失っていくエンドなんかはお気に入りだったりします。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

では、遂に最後のパラグラフ、エピローグですね。

 

……書き上がりました!

全員の運命に一応の決着をつけ、みんなが笑って帰途につくという……少々ご都合主義過ぎますが、まあ悲劇的なエンドが多かったので、最後くらい良いでしょう。マリウスに殺された偽マリーは浮かばれないけどな。。。

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Flowchart15

うん、どうにかそれなりにちゃならしい作品に仕上がったような気がします。

 

問題点は、自由度が低いことですね。主人公を選ぶ時点でルートはほぼ決まるので、読者の選択の余地があまりないんですよね。100パラだから仕方ないといえばそれまでですが、不満に思う読者もいるかもしれません。そういう構造なのだけどそう思わせないようなテキストとか、もう一工夫できるのかなあ。。

 

とにかく、あとは校正です。これがかなり地獄です。。

あとタイトル!タイトルが決まらないんだよー!

アバーティッサの抱擁→抱擁してないなあ。。

アバーティッサ復活→真エンドで復活させようと思ったけど、結局止めたしなあ。

・豊穣の種→文字数少なくて良いのだけど、ちょっと唐突かなあ。あとちょっと卑猥。英語にするとSeed of Fertilityでモロ精子やん。

・豊穣の魔神→それっぽいけど、ちょっと画数が多いかなあ。まあ、多いのは「穣」なんですけど。

・豊穣の迷宮→今までの合わせ技。とりあえずこれで。英名はHarvest Mazeかな。

 

さて、ここまででPlayground Flowでの作業は終わりです。

前にも述べましたが、本ツールはソーサリアンTEXTの制作用ウェブアプリで、作者のRioさんのご厚意により汎用ゲームブックも作成可能な仕様や機能が次々に追加されています。まだまだ開発中で不具合もあるのですが、報告すると光の速さで対応してくださるのでとても助かっています。

今回はHTML出力を選びます。すると、自動的に縦書きのHTMLファイルが作成されます。パラグラフはランダムに再配置されます。当然選択肢にはすべてリンクが貼ってあります。これが手動だと面倒だし間違えるしなので、自動処理してもらえるのがゲームブック作成ツール最大の長所といっても過言ではありません。

 

特にこだわりがなければこれでもうKindleプレビューアでMobi変換すればアマゾンで売れるものができあがるのですが、今回はまだまだ編集作業が残っています。

(1)パラグラフ順を整備:スタートをパラグラフ1に、真エンドをパラグラフ100に変更します。ちゃなはエンディングセクションを末尾のパラグラフにまとめたりするのですが、本作はどうしようかなー。もともと主人公も違うし、ランダムのままでも良いかもですね。

(2)綺麗でない飛び先を変更:例えばパラグラフ31の選択肢にパラグラフ30がは入ってるとか、選択肢にパラグラフ14とパラグラフ15が並んでるとか、そういう「美しくない」飛び先を変更します。経験上、100パラゲームブックでランダム変換すると、必ず1~2カ所はこういうところができます。まあ、どこまでこだわるかは微妙ですけどね。。

(3)パラグラフジャンプを設置:本作ではパラグラフジャンプがあるので、そこはランダムに配置された飛び先から手動で直します。また、指定されているリンクも手動で削除します。

(4)パラグラフトリックを設置:本作では「パラグラフがゾロ目の場合」といったパラグラフ番号自体に意味を持たせるギミックがありますので、そこも手動で直します。

(5)記載ぶりの修正:ちゃなの他作品に合わせて平仄を修正します。例えばリンクテキストは選択肢全体になっていますが、これをパラグラフ番号だけに直します。

こんなところでしょうか。結構大変です。。算用数字が漢数字に直されているのは有り難い限りですね。

 

ちなみにこれらの編集作業、私は一太郎で行うことが多いです。HTMLと相性が良く、最新バージョンだと一太郎から直接キンドルのMobiファイル出力ができるのが便利なんです。

なお、Playground FlowのHTMLを一太郎で普通に読み込むと文字化けします。ファイルを開く際にプロパティの詳細を選択肢、テキストをUTF-8と見做して読み込むよう指示したらうまくいきました。

しかし、HTMLファイルにした時点で、改行が反映されていませんね。改行って結構ガンで、The Gamebook Authoring Toolでも散々悩まされています。推敲がてら全文改行し直す作業にも、もう慣れてきましたね。。

……と思ったら、ダメみたい。リンク先が一太郎のファイル内でなくてダウンロードしたばかりのファイルにつながってました。この辺の構造、私はいくらやっても理解できないんですよね。。文書内リンクを手動で貼るならMS Wordの方が慣れてるので、やっぱりWordで出力しましょうか。

 

んー、パラグラフ100が出力されていない?

まあ、いいでしょう。Playground Flowのファイルからテキストをコピペします。

……と思ったら、パラグラフ13がエピローグでした。

えーと、なんか一パラグラフ減っているような。。あとで検証しないとですね。

 

ひとたびワープロソフトに執筆の場を移すと、もうゲームブック制作ツールに戻ることはできません。行ったり来たりしているとぐちゃぐちゃになってしまうし、新たにエクスポートしてもワープロソフトで編集した時間が無駄になるだけです。ですから、ゲームブック制作ツールの段階で極力、最終完成形に近い形にまで持ち込んでからファイルをエクスポートするのがコツです。

本当はゲームブック制作ツールネイティブで完成にこぎ着ければ最高なんですけどね。ちなみにThe Gamebook Authoring Toolは、太字も改行もインデントも反映されないので、ワープロでかなりの編集作業が必要になります。今後Playground Flowがどこまで迫れるか、楽しみです。

 

校正しながら、思いつく限り表記揺れもチェックしていきます。プロの編集者ではないのでどうしても限界がありますけどね。「只」は「ただ」に統一。「言う」は、実際に誰かの発言を指すもの以外は「いう」で統一。毎回迷うのが「達」なんですよねー。今回は漢字で統一しました。漢字が多いと読みづらい印象になるのですけど、ワープロがとかく漢字変換したがるので。。

 

とりあえず改行だけ直しました。100パラでも1時間以上かかりますね。単純作業なのですが、流し読みしながら結構文章に手を入れていますので、実は推敲の第一段階として重要な意味を持っています。

改行した分、字数も増えて70000字を超えました。

 

……消えたパラグラフの謎がわかりました。

Playground Flowを参照したところ、パラグラフ87が欠けていたのです。それでHTML二変換したときシャッフルされて99パラグラフに詰められたのですね。。

これから展開を追加するのもアレなので、エンディング後のフラグ解禁に一パラグラフ使うことにします。

 

パラグラフトリックのためいくつかのパラグラフを再配置。ちょっと悩む。

ホッブスの持つオデッサ探知機は、当初、ゾロ目のパラグラフに来たら3で割ったあまりによって進むべき道がわかる仕様にしていたのですが、最初の三叉路を選択するパラグラフが、最初と相談後と様子見後と一旦戻ったあとの4種類あるんです。ゾロ目を3の倍数で割り振ると3つずつしかないので足りません。。。

ゾロ目に向かって進むようにしましょうかね。

あと、近くに人がたくさんいると誤作動するとか。。

 

ソロンの方もパラグラフトリックを仕掛けようとしましたが、どうにもうまくいきません。そもそも彼は最初の三叉路を左に入ればほぼゴールなので、この選択にヒントを与えるのは簡単すぎる気もします。結局、パラグラフトリックは消すことにしました。

 

パラグラフの繋がりを調整する作業は非常にマニュアルで感覚的なものです。

60→61みたいな繋がりは論外として、60→34または35とかもよろしくない。ただこれが、60→59なら直すけど、60→62はどうするか。全部直してたらキリがないし、100パラだとどんなに直してもどっかしら不自然な繋がりができてしまうんですよね。

あと、現在、パラグラフ75はカルバドールがイシスとマリーどちらを狙うかを選ぶシーンなんですが、次のパラグラフ76が「あなたはマリウス。帝国のエージェントだ」ってめっちゃネタバレしてる。これもこだわるとキリがないんですけどねえ。ゲームブックはすべての記述が見えるメディアなので、ばれたらばれたでそういうものだと割り切るのもありだとは思います。ばらしたくなければアプリで作ればいいんだし、偶然ばれちゃうのも味でしょう。ダミーパラグラフを使ったギミックも面白いですね。ただ、本編の場合は放置するのもどうかと思うので、ちょっと調整することにします。

 

……結局、最低限の校正だけで5時間くらいかかりましたが、遂に完成しました!

あとはもう、キンドル実機でバグと誤植チェックですね。。。