ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックと叙述トリック

こんにちわ、ちゃなです。

叙述トリックってわかりますか?

(※本稿では、いくつかの有名作品と自作品の若干のネタバレを含みます。)

 

端的に言えば、小説などのメディアで、語り手が読者にウソや隠し事をすることです。

例えば、「俺はXXした。」と一人称で書かれているけど、実はその主人公が女性だった、とかですね。

ミステリ小説では、かの有名な「アクロイド殺し」を皮切りに、様々な叙述トリックが開発され、そのたびに絶賛されたり物議を醸したりしました。

 

では、ゲームブックでは叙述トリックは成立するのでしょうか?

ゲームブックでは、殆どの場合、読者が主人公です。

なので、語り手である主人公が読者にウソをついてしまうと、「自分で自分にウソをついている」ないし「自分で自分のことがわかっていない」状態になります。

なので、ゲームブック叙述トリックは基本的に相性が悪いといえます。

 

マーダーミステリーではどうでしょうか?

マーダーミステリーはもともとミステリ小説から派生したエンタメと見ることもできるので、叙述トリックを使ってみたいと考えるのも自然な流れです。

しかし、各プレイヤーが担当するキャラクターの背景などが記載されたハンドアウトは、各キャラの「記憶」ですので、そこにウソが交じるとやはり「自分で自分を騙している」ことになります。

やはり叙述トリックを使うには注意が必要です。

 

ゲームブックもマーダーミステリーのハンドアウトも、読み手が語り手が同化する、いわば二人称メディアです。

では二人称メディアで叙述トリックを使うことはできないのでしょうか?

 

ここで叙述トリックを二つに分類してみましょう。

それは、語り手が偽る内容が、自分自身か、それともそれ以外かです。

 

後者の場合は話が簡単で、二人称メディアでも容易に成立します。

というか、マーダーミステリー作品の多くが実際に叙述トリックを導入しています。

例えば、「この時間帯、怪しい訪問客は一人も来なかった。」と記載されていて、実は郵便配達員が来ていた場合。配達員は語り手にとって怪しい人物と認識されなかったのですから、そのように記憶しているわけです。この点、読者も主人公の気持ちになってみればいちいち郵便配達員のことを憶えていないというのはありうる話です。

つまり、この例では、作者はプレイヤーを騙そうとしてこうした記載をしていますが、語り手が読者を騙してはいないわけで、「自分に騙された!」という違和感は生じません。

 

その一方、語り手が自分自身についてウソや隠し事をしている場合は厄介です。

本当は語り手が殺人を犯しているのに、そのことが「ちょっと用事を済ませてきた」と書いてあった場合。種明かしされたら、主人公と一体化していた読者としては「おい、ちょっと用事じゃないだろ!」と突っ込みたくなりますよね。その後でみんなで殺人事件の捜査をしていたらなおさらです。

こういう叙述トリックは、語り手と読者が明らかに別人である通常のミステリ小説では成立しても、ゲームブックやマーダーミステリーのような二人称メディアでは、納得度が低くなりがちです。

 

さらに、叙述トリックが使われる理由や合理性が作中に存在するか否かも論点になります。

最初の例では、語り手が重視していなかった事柄が結果的に叙述トリックを形成したもので、叙述トリックの発生に合理的な説明が可能です。

他方、二番目の例で、語り手が読者に正確な情報を与えなかった理由はなんでしょうか?例えば語り手が職業殺人者で、殺人というものがちょっとした用事に過ぎないような心の持ち主だという説明が事前にあれば、少しは納得度が上がるでしょう。それがなければ、まさに作者の都合で読者を騙しにいったとしかいいようがないわけです。ちょっと不誠実ですよね。

 

私は、ゲームブック叙述トリックの相性についてのいくつかの論考を読んでから、色々自分で考えて、いくつか自作品で叙述トリックを扱うようになりました。

やはり、相性が悪いと言われると挑戦欲を掻き立てられるものです。

その結果、拙著「魔皇を継ぐ者」「ファントムドミネーション」「豊穣の迷宮」では、いずれも叙述トリックを導入しました。

ネタバレを避けるため詳細は伏せますが、このうち「魔皇を継ぐ者」の叙述トリックは、語り手が自分自身を偽るもので、かつその動機が作中にはありません(つまり作者の都合です)。書いてみて、これは読者の納得度が低いものだったなあ、とちょっと反省しています。まあ、この叙述トリックはおまけのようなものですので、ご容赦いただけると幸いです。

「ファントムドミネーション」に出てくる叙述トリックは、語り手が意図的に自分自身を偽って読者を騙すものではありません。限界ギリギリを攻めていますが、読者に不誠実なことをしているつもりはありませんので、驚いていただければ幸いです。

「豊穣の迷宮」では、叙述トリックに気づいてからが本番です。本作は厳密には二人称メディアとはいいかねる構成ですので、ここでいう叙述トリックの良し悪しの議論にはなじまないかもしれません。

 

まとめると、

叙述トリックとは作者が読者を騙す構造である

・二人称メディアでは、本来一体化しているはずの語り手と読者の一体感を損なうので、叙述トリックとは相性が良くない

・特に、語り手自身の情報を偽る叙述トリックを用い、かつその動機が作中で説明されない場合、読者の納得が得づらい

ということになるでしょうか。

 

今回はこの辺で。

マーダーミステリー「どちらかが親父を殺した」公開しました!

どうも、ちゃなです。

ゲームブック作家の傍ら、マーダーミステリーゲームにはまった早1年弱。

先日は処女作「未完のエクシード」をマーダーミステリーアプリ「uzu」でも公開させていただきました!

uzu-app.com

そして今度は第2作、「どちらかが親父を殺した」のリリースです!

chanagame.booth.pm

さて、この「どち親」は2人用マダミスです。

2人用って意外と数は出てるんですが、どれもこれも個性的なんですよねー。

それもそのはず。マーダーミステリーは通常、プレイヤーキャラクターの誰かが犯人なのですが、プレイヤーが2人だと自分でなければ相手が犯人なのが自明ですから、面白くもおかしくもない。そこをどうするかがクリエイターの腕の見せ所です。

2人とも探偵役で、犯人探しや謎解きを協力して行うスタイルの作品も多いですね。

しかし、本作は「対立型(?)マダミス」です!

2人のどちらが殺人犯なのか?それとも……?

 

タイトルはもちろん東野圭吾さんの名作「どちらかが彼女を殺した」のオマージュです。

パクるつもりはなかったのですが、本作のテイストにこれほどしっくりくるタイトルが他に見つかりませんでした。。

 

本編40分の短編です。ハンドアウトも短く、議論はたったの15分。情報共有に汲々とすることもありません。その代わり、読み合いと駆け引きが大事になります。ちょっとパラトキシカルで意地悪なしかけもありますのでご用心。

そして、ちゃな作品の特徴であるエンディング。「どちらかが親父を殺した」にはなんと、256種類のエンディングがあります!

まあ、パターン分岐の積み重ねなので、コピペの部分も多いですけどね。。

個々のエンディングは短めですが、それでもエンディングブックは140ページに及びます。頑張って探してください(笑

GMなしでプレイ可能。定価200円です。セール予定はありませんので悪しからず。

 

新作ゲームブックも制作快調ですよー!ではまた。

ゲームブックにおける「正解」の取扱い

どうも、ちゃなです。

今回はちょっと抽象的なお話。

 

ゲームブックというのは有限の選択肢の中から読者が選び続けることでエンディングへと向かう物語です。

ほとんどのゲームブックには、多くのバッドエンドと一つもしくはごく少数のトゥルーエンドがあります。

どのエンドにたどり着くかは、読者の選択にかかっています(ランダム要素のある作品もありますが)。

ということは、ゲームブックというのは「著者の考える正解が明示されているメディア」と言えるわけです。

このことは、著者としては意識しておくべき事柄だと私は考えています。

 

バッドエンドに到達すると、読者としては多かれ少なかれ著者からダメ出しされた気分になります。

だからこそ多くの著者は、バッドエンドに意匠を凝らして「面白い死に様」を演出したり、巧みに誘導して「たぶんバッドエンドだけど、踏んでみたい」と思わせるように工夫したりします。あるいはバッドエンドだらけのフローチャートの場合、「この作品はしょせん運試しだから」と思わせて気持ちの負担を軽減するための演出が入っていたりします。

そういった細工が何もなく、単に「あなたの選択は不正解でした。バッドエンドです。」と言われたら、読者としては不快ですし、読む気をなくすでしょう。

 

読者に正解を示すというゲームブックの性質にマッチするジャンルとして、「チュートリアル」があります。

たとえば代々木丈太郎さんの「YOUはドライブデートする」。

GameBook.xyz

本作はバッドエンドてんこ盛りですが、その多くが交通法規違反なので、読者は自分の選択が間違いであることを納得できますし、交通法規にちょっと詳しくなることもできます。

実際にゲームブック方式でチュートリアルを作成する試みはそこかしこで行われています。

そういえば昔「進学ガイド」に、受験勉強の仕方をテーマにしたゲームブックが載っていましたね。懐かしい。。

 

ちゃなは当面ゲームブックはエンタメと割り切って創作活動を続けるつもりですが、ゲームブックというメディアを他の方面に活用する試みはそれで素晴らしいものだと思います。

ただしここで大事なのは、ゲームブックチュートリアルが機能するのは、問題に対する正解が明確である場合に限られるということです。

 

これが社会問題など未解決の課題をテーマにしていて、選択肢の結果がはっきり正解と不正解に分かれていたら……読者がそこに見るのは開かれた未来ではなく、著者の思想です。単に自分の考えが著者のそれと合っているか違っているかがわかるだけ。著者の思想に共感できれば面白いでしょうし、できなければただただ不快になるだけです。

 

私は未クリアなので論評できませんが、未解決の課題をテーマに挑戦した意欲作もあります。

 

代々木丈太郎さんの「口裂け女ゲームブック」もこれに近いものを含んでいます。同作には氏の思想が色濃く出ていますが、物語構成がかっちり仕上がっていて登場人物の言動にリアリティがあるので押しつけがましさを感じさせないところが見事です。

 

いずれにせよ、生半可な覚悟で挑めるものではありません。 

わきまえずに執筆してしまうと、単なる著者の思想の押しつけになってしまうわけですね。

極限してしまえば、ゲームブックとは「著者の脳内当てクイズ」にすぎないわけで、そこにどうやって膨らみを持たせるかが作家としての力量になるわけです。

 

 

ゲームブック作家として、自作品は読者に自分の考える正解を提示しているのだという意識は、常に持っておきたいなと思います。

ゲームブック「くたばれパラドクス」レビュー

こんにちわ、ちゃなです。

ゲームブック界の鬼神、梧桐重吾氏の新作が届きました!

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くたばれパラドクス

氏はFT新聞に掲載された「農魔導士ほんとの冒険」で鮮烈なデビューを飾り、絶品「パラグラフジャンプを超えて」で一世を風靡した作家さんです。ツイッター上で仕掛けた脱出ゲーム「月の集え、哭け蒼く」も人気を博しました。

氏がBooth上に店舗を開いたことにより、いくつかの作品が今からでも入手できるようになりました。

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本作「くたばれパラドクス」はそんな梧桐重吾氏の最新作にして初めての紙本です。

限定100部なので、既に売り切れてるかも……?

買い逃した方もPDF版はBoothから購入できるのでご安心を。ただし後述のボーナストラックは入手できません。

 

さてこの「くたばれパラドクス」、54パラグラフの短編となっています。

しかし氏の作風を知る者なら、パラグラフ数だけで判断できるはずがないのはご存知ですよね。。

本が届いたので早速プレイしてみました。

そして……読了しました!

 

いやあすごかった!(作家のくせに語彙力w

 

まあ、ネタバレ禁止ということなので、深くは語りませんとも。

しかしエッセンスと言えば、次の三点。

 

(1)小説への挑戦

氏の既作品も、ギミックばかりが注目されますが、文学性が低かったわけではありません。

しかし、本作はとりわけ、氏が小説としての完成度にこだわった様子がうかがわれました。

主人公の心情、というよりは置かれている状況に対する分析が、細やかに、そして主人公らしいメタファーを使って描かれていて、読めば読むほどに特異な認知特性を持つ主人公にシンクロしていきます。

筆で勝負している作者の心意気が伝わってきました。

 

(2)パラドクスを超えて

「農魔導士」も「パラ超え」も、数学やらメタフィクションやら、様々なジャンル、とりわけ理数系のギミックを取り入れて深みを生み出していましたが、本作もその傾向は踏襲しています。テーマとして採用されたのは論理学。表題通りとあるパラドクスが出てきます。

私も以前FT新聞に投稿させていただいた「七百万人のFT」で帽子の問題を取り上げましたが、論理学とゲームブックって相性がいいんですよね。

もちろん本作はただ適当にパラドクスを詰め込んだわけではありません。

とある有名なテーマが、主人公の深い悩みのメタファーとなっていて、その苦悩に抗うさまがゲームブック内の謎解きで表現されているのです。

 

(3)悦ばしきパラグラフジャンプ

パラグラフジャンプが頻用されるのも氏の作品の特徴ですが、本作は特に顕著です。パラグラフ1からの飛び先すら明示されていません。

パラグラフジャンプって、要所でスパイス的に使うのが基本なんですよ。あまり頻用すると驚きが薄れて面倒くささが先に立ってしまう。

しかし氏はそんなデメリットをおそれることなく、がんがん読者に謎解きを求めてきます。

初見ではわからなかったのですが、これには二つの意味がありました。

一つは、各々のパラグラフジャンプに必要となる「数字」に、いちいち意味があること。

読者として、それらの数字を覚えて活用することが、主人公の心情や情景描写を理解することにつながっているのです。

この没入感はすごい。

本作は是非、メモを取らずに読み進めることをお勧めします。

数字を忘れてしまったら、その場にとどまりつつ、記憶(読んだページ)をまさぐって思い出してください。

飛び先が分かることには、より目の前の情景がビビットに浮かんでいることでしょう。

そしてもう一つの意味については……読めばわかります。

(この手法は私もよく使います……というのがヒントになるような人は、最初からわかってそうだなあ。。)

 

まだまだ語りたいギミックはありますが、この辺で止めておきましょう。「最後のウィザードリー」とも称されるシナリオ「欠けた大地」を彷彿とさせる展開……といってわかる人は……誰もいまい。。

 

本書には表題作のほかにボーナストラックとして「悦ばしき匣」も同時収録。上の写真ではみ出してるプラスチック板はそちらに使用するものだそうです。私は未読ですが、歯ごたえがありそうですよ……!

 

……というか、この本、装丁がめっちゃ美しいですね。

同人誌はもとより紙の本自体殆ど買わなくなっていた私としては、大きな衝撃を受けました。

 

「悦ばしき匣」はさすがにメモなしでは無理そうなので、後日マッピングして挑んでみます。

ソーサリアンTEXT新作「STカードバトル」

こんにちわ、ちゃなです。

ゲームブック作家をしています。最近はマーダーミステリーばかりですが。。

 

今回は、ソーサリアンTEXTの新作「STカードバトル」のお披露目です!

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そもそもソーサリアンとは?日本ファルコムさんの名作コンピュータRPGですね。

もともとは1987年にPC-8801で発売された作品ですが、ドリームキャストやウィンドウズに移植されたり、エミュレータで動くバージョンが販売されたり、なんと最近ではニンテンドーSWITCHでプレイ可能なバージョンも。この辺は深掘りするとキリがないので雑な紹介でご勘弁ください。

 

そしてソーサリアンTEXTというのは、ソーサリアンを復活させようという同人(エイプリルフール)企画「ソーサリアンNEXT」から派生した、ブラウザベースのインタラクティブノベルのウェブサービスです。もちろん非公式。

同人と侮ることなかれ。既にスタッフや寄稿者によるシナリオが30本も公開されています。当然完全無料。

ちゃなはそのうち5本を制作しています。

ちなみに前作「ソーサリアベンジャーズ」はアベンジャーズ風味のソーサリアン。全901パラグラフの大作です。まだクリア報告いただいてないんですよね。。

 

で、本作「STカードバトル」は、ソーサリアンTEXTのアルゴリズムでカードゲームをやっちゃおうという試みです。

ルールは簡単。

ゲームが始まると、「ファイター」「ウィザード」「ドワーフ」「エルフ」「ヒーロー」「ヴィラン」の6枚のカードのうち、3枚が配られます。残りの3枚は敵が持っていることになります。

3枚のうちから1枚を選んで場に出し、敵の出したカードと比べて勝敗をつけます。

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カードの強弱関係

2回戦は2枚のうちから選択。3回戦は残りのカードで戦います。

これを繰り返し、先にHPを削りきった方の勝利となります。

 

カードには様々な特徴があります。

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ファイター

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ウィザード

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ドワーフ

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エルフ

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ヒーロー

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ヴィラン

こんな感じです。

プレイヤーにはヒットポイントの他に能力値とMPが、敵には固有のヒットポイントと攻撃力があります。

MPがゼロになってしまっても敗北です。

 

いつどのカードを出すか。選択肢はあまり多くありません。運ゲーの要素が強いです。

ちょっとした時間潰しに良いかなあと思って作りました。

 

敵のレベル設定には、ゴブリン(チュートリアルレベル)、ヒドラ(簡単)、ヴァイデス(やや強い)、キングドラゴン(難しい)と4段階あり、すべての敵を順番に倒していくキャンペーンモードも実装されています。

 

ソーサリアンTEXTのシステムでこんなこともできるんだよ、ということで。

良かったら遊んでやってください。

マーダーミステリー50戦!

こんにちわ、ちゃなです。

遂にマーダーミステリーの戦歴が50に達しました。

短時間で別の人生を味わえて、謎解きと騙し合いがてんこ盛りの一度きりの体験。贅沢な趣味ですねー。

 

41.二度目の真相

唇のねじれた男」を原作とした短編。ホームズとワトソンの二人で事件を解決する協力型のシナリオです。短時間でたっぷり頭を使いますよ!


42.オペラ座殺人事件

かの「オペラ座の怪人」を原作とする8人シナリオ。被害者はなんとクリスティーヌ!プレイ中についつい歌い出したくなりました。


43.背徳の代紋

神戸の反社会勢力な一家で起きた事件。ロールプレイの強さがよく話題に上がりますが、シナリオとしての完成度にも舌を巻きました。


44.色彩スーヴェニール(パラレル)

色彩スーヴェニール(メイン)と同じ状況、登場人物ながらまったく別のストーリー。メインよりちょっと難易度が上がります。同チームでの連続プレイがお勧めですねー。


45.少年少女Aの独白

とある小学校で起きた事件。捜査するのは5人の同級生。そこに担任教師と担当刑事がやってくる。エンディングは全員で号泣しました。


46.少女はSに溺れる

女学院で起きた惨劇。お嬢様RP全開でプレイできます……が……溺れますよ?何にかって?もちろん「S」にです。。


47.四人の令嬢と執事たち

令嬢と執事のペアで挑むマーダーミステリー。仲の良い同士で組むも良し、信頼の中にも疑いを抱きつつ参戦するも良し。


48.UFO研究サークル殺人事件

突拍子もないシチュエーションですが、中身はなかなかに骨太です。今回GMさんに配役していただき、満足度MAXでした!


49.鱗は剥がれて禊がれる

名作を輩出しているなつさんの最新作。竜人の村で起きた惨劇。本作はちゃなの個人的に最高のマダミス体験となりました。詳しくはふせったーをどうぞ。


50.鬼哭館の殺人事件

名作中の名作です。今思い返しても涙が止まらない。。店舗でコスプレ公演を狙うのも良いでしょうけど、八神つかささんのオンラインGMは至高でした!

 

……キャラ的には男女比4対6、役どころは伏せておきますが、いずれ劣らぬ演じがいでした。推理と隠匿、ロールプレイのバランスもかなりできるようになってきたという自負があります。

特に最後のうろみそと鬼哭館は墓場まで持っていきたい感動。。

 

さすがに今後は少しペースを落とそうかなあ。評判の良いシナリオはまだまだたくさんありますが、ちゃなの趣味に完全一致したもの以外は当面スルーして、リザーバー募集とかでタイミングが合えば参戦する感じにしようかな。

テストプレイにはなるべく参加したいし、お誘いを受けたらほいほいついていきますけどね。

あと、これまでの恩返しの意味も込めて、マダミスGMの割合を少し増やそうと思います。自作品テストプレイ以外ではまだ一桁しかやってませんからね。。

 

拙作「未完のエクシード」も宜しくです。

chanagame.booth.pm

 

また、ソーサリアンTEXTでは最新作「STカードバトル」が公開されました!

www.web-deli.com

 

今後の創作については、まずはキンドルゲームブック「明日が見えない」を完成させたいと思います。それでもまだまだ道は長いのですが。。

その裏で戦記物とか「オクトシャードサーガ」を進めてきましょうね。

マダミス次回作「王立魔術アカデミーで繰り返される殺人」は、ちょっと換骨奪胎中。タイトルを「王立魔術アカデミーを覆う悪意」にして、よりカジュアルで重厚な(どっちだよ)シナリオに仕上げたいなと思っています。

今後とも宜しくお願いします!

「口裂け少女のゲームブック」レビュー

こんにちわ、ちゃなです。

ゲームブック作家を名乗っていながら、実は最近あまりゲームブックを読んでいない(積ん読はいっぱいある)のですが。。

代々木丈太郎さんの新刊、「口裂け少女のゲームブック」をプレイしました!

口裂け少女のゲームブック (GameBook.xyz)

口裂け少女のゲームブック (GameBook.xyz)

 

代々木さんは以前にもご紹介したことのある、長らくゲームブックの普及活動に努めていらっしゃる方です。

gamebook.xyz

本作は100パラグラフ余の単方向作品です。サイコロ・筆記具不要。フラグ管理なし。つまり、ただ読み進めて選択肢をタップしていくだけの簡単仕様。

主人公は小学生の男の子。ある日、マスクをした可愛い少女に会うところからお話はスタートします。しかしその少女は……!

 

この作品、正直に言うと、前半はかったるいです。

選択肢を一つ間違えるとゲームオーバー。理不尽なエンドも多い。ストーリーはなかなか進まない。どんな風に面白くなるのかさっぱりわからない。

私はたまたま電車内で手持ち無沙汰だったので読み進めましたが、もう少しでそっ閉じするところでした。

 

ただ、そんな前半でも、少し引っかかるところがありました。

それは、怪奇ものを臭わせながら、設定が妙に現実的なところ。

法律の話とか出てきます。

代々木さん、以前に交通法規をテーマにしたゲームブックを執筆されています。(私は運転できないので実は読んでないのですが。。)

ご都合主義でない、徹底的に現実に即した設定が氏の真骨頂なんですよね。

そうすると、この口裂け少女の正体が、気になってきます。

ただホラーにわーきゃーする作品ではありません。というか、ホラーとしては描写があっさりしすぎてて旨味がありません。

 

わかるようでわからないゲームオーバーの山を越えると、ようやく主人公と少女の交流が始まります。

そして舞台が展開。

小田急線とか出てくるのは代々木さんらしいなあ、とか勝手に思いつつ。

登場人物が少し増え、怪奇もの一発ギャグは、児童文学のような広がりを見せ始めます。

 

白状してしまうと、この辺からちゃなは選択肢を選ばずただ通読を始めてます。相変わらずよくわからないゲームオーバーが多いんですもの。気短な方には、ゲームブック作家にあるまじきことですが、ちゃなはズルを推奨します。

 

そしてクライマックス。

何度か、目頭が熱くなりました。

いわばネタバレ、そして解決編に当たるパート。

甘さがまったくないんです。作者自ら、難題に対する実現可能性のある回答を示しています。

 

ゲームブックのシステム論的にはここまで特に見るべきものはなかったのですが、ここで初めて二つのギミックが出てきます。

一つは、ちゃなもよく使う技。賛否は分かれますが、本作ではこれがゲームブックたる所以というところで投入されています。

そしてもう一つは、ちょっとびっくりしました。初見というわけではないのですが、他のどの作品で出てきたか、ちょっと思い出せない。「読者が決める」という、ゲームブックのテーゼを前面に押し出したギミックです。

 

そしてエンディングへ……。

堪能しました。

代々木さんがゲームブックという媒体で何を表現したかったのか、そしてなぜゲームブックでそれを表現したかったのか、ようやくここで思いが伝わりました。

 

本作はキンドルアンリミテッドの対象なので、契約者はタダ読みできるのですが、序盤のたるさで力尽きてしまうのは勿体ないです。

パラグラフがあまりシャッフルされてないので、試し読みで読める範囲はたるい部分だけだと思います。

ここ、惜しいなあ。。

 

いわゆる「面白い作品」とは大分異なります。

ちゃなは大人ですが、果たしてこの少年のグッドエンドのように行動できるだろうか、とちょっと自分が恥ずかしくなりました。

そんな作品です。