ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

護国記リプレイ その15

どうも、ちゃなです。

「護国記」はいよいよ大詰め……?ようやくラスボス「魔神」を屠る可能性が見えてきました。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

主人公ライゼは王命を受けて「地縛りのイクサリス」に任命されます。世界に散らばった王のスパイを統括し、紛争の火種を消して回ることで、来たる魔神との戦いを少しでも有利に進めるのです。

これはもう、勝ったも同然の展開ですよね。だってライゼは何度でも輪廻できるんですから。勝ち筋が一つでもある限り、一つずつしらみつぶしに当たっていけばいいんです。

これはまるで、ゲームブックの攻略そのもののようですね。

 

話がずれますけど、映画「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」の中に、魔術師ドクター・ストレンジが何千万という未来を予見してその中で勝ち筋が一つしかないと呟くシーンがあります。その後物語は急展開を迎えるのですが、私はこの場面を見て「アベンジャーズ、勝ったな!」と思いました。あの作品には「ここでもし〜だったら」というシーンが目白押しで、ゲームブックにしたらすごく面白いんじゃないかなあ。多分、次回作ではif展開になるでしょうしね。。

 

閑話休題

王はライゼの旅立ちにあたり色々を準備と助言をしてくれます。曰く、第二王子だった国王は若い頃世界を旅して回ったのだとか。邪大剣モラルサカを収納する鞘やら、旅の路銀やら、長旅用の馬やら、必要十分な装備を周到に準備してくれます。ドラクエの王様とは一味違いますね。。。

いよいよ旅立ちの時です!

 

……さて、私はここでちょっと怖い想像をしています。

もしかして……護国記って、ここでようやくプロローグが終わった、なんてことは……ないですよね……?

護国記リプレイ その14

どうも、ちゃなです。

護国記のリプレイはこれで14回目。でも、そんなに時間がかかっているわけでもありません。毎日ちょっとずつ読み進めています。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

ゆっくり読んでいると、過去のエピソードを忘れてしまうというのはよくあることですよね。でも本書はそんな心配も不要。何しろ物語内では一日さえ経っていないのですから。。。

 

唐突に森を訪れた主人公。そこで出会ったのは、一か月後に城壁を破壊し、主人公とボードゲームに興じた、あの翼竜でした。なんと、ここでは翼竜との会話が成立します。

彼(?)によると、残穢石はもともと翼竜のものであったとか。あれを取り戻すために翼竜は三英雄に手を貸したようです。しかし石がライゼの体内に入った今となっては、ライゼの後悔が消えるまで石は戻りません。もともとライゼに敵意は持っていなかった翼竜は、ここで時の超越者として重要なヒントをくれます。

それは、国王が魔神を復活させた動機について。

確かに、名君がいきなり魔神の復活だなんておかしいなあ……とは思っていたのですよね。

 

主人公は王に真意を問うために、「剣の審判」に訴えます。これは、命を賭して国王の真意を問い質すための儀式のようなものです。もちろん、会話の選択肢を間違えると首が飛ぶことになります。

 

どうやら、王は、力を溜め込む前に自ら魔神を復活させ、被害を最小限に食い止めようとしていたようです。ところが、最後の一か月で未曽有の災害が各地で起きたため、魔神は力を増し、想定以上に強大になってしまい、三英雄の全滅という悲劇を招くことになりました。

うーん、これはどうなんでしょうか。

確かに、よくある「復活した魔神を倒しに行く」設定の冒険譚を読むにつけ、「黒幕って、魔神復活を急ぎすぎたんじゃないの?むしろ復活させずしばらく力を溜め込んでおいた方が勇者にとって厄介な展開になったのでは……」と思うことがしばしばありました。

でも、私だったらまずは封印の祭壇を郊外に移すところから始めたいかなあ。封印を動かせないならば、せめて適当な理由をつけて住民を退避させておいてほしかったな。。

なお、このことを知っていたのは、どうやら王の直属のスパイ集団「ダンデライオン」だけだったご様子。儀仗兵たちはうすうす気づいていたようですが。。。

 

目論みが外れて魔神の復活が世界の破滅を招いてしまうことを知った王は、一計を案じます。それはライゼをスパイの長に任命して、各地で起きる騒乱の芽を事前に摘み取ること。そうすることにより、復活した魔神の戦力をそぎ落とすことができます。

この辺り、協力型ボードゲームのネタにできそうですね。イメージとしては「ヴィーナスアンドブレイブス」みたいな感じで、各地を回って揉め事を解決しつつ最終決戦の準備をする、みたいな。預現者役のプレーヤーや限定的な手段で他のプレーヤーに今後起きるイベントの情報を伝えることができる、というギミックも面白そうです。

ヴィーナス&ブレイブス ~魔女と女神と滅びの予言~ - PSP

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なんてね。この先、本当にそういう展開になってるかもしれません。

護国記リプレイ その13

どうも、ちゃなです。ゲームブック作家しています。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

宣伝はさておき「護国記」リプレイもついに13回めにしていよいよラスボス(多分)、魔神の登場です! 

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

ラスボス(多分)だけあって、こいつは超弩級の迫力です。何しろ人の苦しみや世の乱れを喰らって大きくなるというのですから、単なるモンスターではなく、災厄の化身とでもいうべき存在です。

そして、主人公の輪廻を成立させている残穢石は、魔神の血肉。主人公の構える邪大剣モラルサカは、魔神の爪。

これでは勝ち目がありませんよね……。ライゼが三英雄やフォリュデリュック王を相手どって掴み取った奇跡的な勝利は、魔神のパーツに頼ってのものに過ぎなかったのです。

赤子の手をひねるように三英雄を屠っていく魔神。残穢石のありかを悟られる前に、ライゼは輪廻の渦に飛び込みます。

 

しかし、これでは何度挑んでも勝ち目はゼロですよね。あとは国王を説得して完全復活する前に魔神を封印するくらいしか。。。

と思って目を覚ました主人公ですが、これまでと様子が違うようです。

なんと、今回は1ヶ月も時間が戻っている!

 

これはちょっと唐突感がありますね。何か必然性があってのことなのでしょう。

 

ともあれ、時間の猶予ができました。久方ぶりの、いや、本編始まって以来の、まともな探索フェイズです。さて、どこへ行こうかしら。

 

……と思ったら、ほとんど選択の余地がありませんでした。やはり、一か月後の惨劇を目の当たりにした主人公は、どこに出かけても上の空。

あ。このくだり、惨劇が一か月後じゃなくて二日後って書いてあるところがありますね。誤植でしょうか?それとも何か意味があるのかしら。

 

結局、ライゼは王城を抜け出してふらふらと森に入っていきます。

そこで邂逅した相手とは……?

護国記リプレイ その12

ライゼことちゃなです。波刀風賢治さんの大作ゲームブック「護国記」も遂に第3章に入りました。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

しかし、前回はびっくりしましたね。ようやく王を救うことができたと思ったら、まさかその王が魔神復活を目論んでいたなんて……!

そう言えば、ずっと前に、「黒幕は王か近衛隊長だ」みたいなモノローグがありましたね。王のわけないから近衛隊長だと信じて、実際隊長はクロだったわけですが、王もまた別の意味で黒幕だったとは!

それと、何度か迎えた亡命エンドではいずれも国王は姿を消していました。ちょっと気になりますよね。亡国の責任を取って身を隠したのではなく、何か別の思惑があったのかもしれません。それか誰かに消されたのかも。。

 

そして、最も気になるのは「護国記」そのものです。このタイトルは本来、生き延びた王女ヴィルファンが後に主人公の活躍を讃えて執筆した手記に基づいている(と、ちゃなは解釈しています)のですが……その「護国記」に王女は父親の大罪をも記すことになるのでしょうか?そもそも、魔神復活を阻止するために王を弑してなお「護国」と言い張ることができるのか。。。

なかなか絶望的な状況ですが、あるいはさらなるどんでん返しが待っているのかもしれません。読み進めるとしましょう。

 

ここから先はさらに展開が加速します。主人公は今度は邪大剣を手に入れて王に直接挑みます……が、返り討ち。それもそのはず、王は主人公も使った無数の護符で身を守っているのですから。

 

ちなみに何周も繰り返すタイムリープものでは、西澤保彦さんの小説「七回死んだ男」が秀逸です。氏はSF的な設定を絡めた本格推理小説が持ち味で、本作の主人公は何度も死んでしまう祖父の運命を変えるべく奔走します。

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

新装版 七回死んだ男 (講談社文庫)

 

 突然なぜこんな話をするかというと、タイムリープを繰り返す主人公の「考え方」というのが、このギミックを取り入れる上で鍵になってくるからです。「七回死んだ男」の主人公は体質的にタイムリープを繰り返していて、高校生なのに老人並みの経験を積んでいます。その結果、達観して事なかれ主義になってしまっているんですね。何度もやり直せるのって、決して楽しいことじゃないですからねー。

 

一方、輪廻を繰り返すうちに「護国記」の主人公ライゼにも変化が現れます。一人称が「俺」になり、語調が荒っぽくなり、そして自ら「無味乾燥」と称するほど心が渇いていきます。

これは、崇拝していた国王の裏切りに打ちのめされたこともあるのでしょうが、何度も惨劇を繰り返して生の感覚が麻痺しつつあるのかもしれません。記憶と経験を引き継いでいるということは、死の瞬間に味わった痛みや怨嗟も忘れられないということです。生け捕りになるのを防ぐため自決したことだって一度や二度じゃなかったでしょう。本当、私だったらこんな人生、到底耐えられませんよ。。。

 

さて、国王を相手取って戦うにはもっと強力な味方が必要です。いるじゃないですか、強力な味方が目の前に……!

というわけで、ライゼは王城急襲直前の三英雄のもとに向かい、共闘を申し出ます。

本来なら相手にもされないのでしょうけど、主人公の持つ重大な情報と、携えた邪大剣モラルサカが、その決意の重さを雄弁に語ってくれました。

 

道中、防風壁室に立ち寄って王妃と近衛隊長を追っ払い、王と対峙する三銃士、じゃなかった三英雄。

ここから先は、まさに三銃士対ロシュフォールのような白熱のバトルが繰り広げられます。

とは言え、本作は特別な戦闘システムを搭載してはいないので、いつも通り選択肢を選んでいくだけですけどね。ヒントは随所に隠されていますので、是非一発クリアを目指してみるといいでしょう。ちゃなは10回ほど死にました(笑)。幸い、ここはボス戦直前からコンティニュー可能な親切仕様になっています。

 

そして、魔王が倒れたその先に、復活間近となった魔神がその異様な体躯を表わします。

いよいよクライマックス、と言いたいところですが……うーん、まだひと波乱もふた波乱もありそうですねえ。。。

次回に続きます。

護国記リプレイ その11

どうも、ちゃなです。

さんざん死にまくった「護国記」ですが、遂に突破への糸口が見えました。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

それは、死にまくって経験を積み、三英雄と渡り合える戦闘技術を身につけること。

もと重戦士の肉屋さんとか、序盤で惨殺されてしまう隊長さんとか、果ては前世で「預現者」のことを教えてくれた儀仗兵にまで力を借りて、毎回修練を積んでいきます。

実際には毎回のようにその途中で死んでしまうわけで、ライゼからしたら無間地獄以外の何物でもありませんが。。。

 

結果、主人公は邪大剣をなんとか使いこなせるようになり、調停戦士ブラクストンに勝利。

しかし、いくら輪廻を繰り返し、相手の攻撃を先読みできても、防げない一撃というものがあります。理論だけでは勝てないというのは現実のスポーツや格闘技でも常識ですが、ファンタスティックな展開の中にもそういうハードコアな一面が見え隠れするのが、本作の魅力の一つ。

 

続く神剣使いの勇者ドゥーエに対しては、絶対防御の護符を使って辛くも勝利を治めます。

その後、錬銀術士フィオレンティナに対しては奪った神剣で攻略することになります。

 (ここでもしかしたらちょっとバグがあるかも。私のライゼはドゥーエ戦ですべての護符を使い切っていましたが、フィオレンティナ戦でも1枚護符が残っていたみたいです。。。)

 

遂に、ようやく英雄たちに勝利した主人公。

しかし今際の際でフィオレンティナが語った一言は、主人公を驚愕させます。

壱の国の王、つまりライゼの仕える君主は、魔神復活をもくろんでいた。それを防ぐために三英雄は襲来したというのです……!

 

俄に信じられぬ話ですが、実際に国王その人から肯定されてはどうしようもありません。絶望した主人公は、王に挑みかかってあえなく憤死。

 

うーん、この展開。。私が「アポカリプスバトル」でやろうと思っていた展開に似てる……。先を越されましたね。。。

 

信ずるものを失って、主人公は血の涙を流しながら輪廻の旅に出るのでした。

護国記リプレイ その10

どうも、ちゃなです。

早いもので「護国記」のリプレイももう10回目。

以前FFシリーズのEye of the Dragonの誌上リプレイをやったときはちょうど10回で完結したのですが、本作はまだまだ序盤っぽいですよねー。この調子で全100回とかになってしまうと顰蹙だし、どうしたものやら。。。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

ともあれ、 何度も輪廻を繰り返して主人公は王城脱出の道を探します。

隠し部屋での近衛隊長との対決にはいくつかパターンがありましたが、結果的には前回のルートがほぼ最善でした。王女がなぜあの場所に現れたかわかる展開もあって、「おっ?」と思ったのですが、結末は同じでしたね。でも、エンディングの一つで、ヒントらしきものが垣間見えたのは僥倖でした。やはりみんなを救うには三英雄を何とかするしかない……!

 

というわけで、今回はクラインに敵を退ける方法を相談します。

とは言っても敵は当代の三英雄。レベル1で竜王ゾーマダークドレアムを相手にするようなものです。せめて何か武器があれば……

 

となると気になるのは武器庫にこれ見よがしに封印されていた武器です。これまでのルートでは、封印が破れなかったり闇公子に見つかってしまったりでしたが、先に儀仗兵に面会しておくと、クリスナイフをもらえます。これは某ゲームブックでは地獄魔神に対して技術点+6の効果があるという最強の武器!(ただし刃が曲がっていてすごく使いづらい)

儀仗兵には以前にもあったことがありましたが、こんなものくれませんでした。どうやら主人公が敵と戦う決意を新たにしたことが伝わったようです。

 

このように、A→B→CのルートとA→D→C’のルートとで展開を変えるというのは、コンピュータゲームでは定番ですが、ゲームブックではパラグラフ番号とフラグ分岐という動かぬ証拠があるので、なかなか処理が難しいです。従来作では、重要な局面ではパラグラフジャンプ(本文には指示されていないパラグラフへの遷移)を用いて隠したり、いっそヒントとしてフラグを見せてしまったりと、色々な手法が用いられてきました。本作はシームレスフラグシステムによってコンピュータゲームに近いプレイ感覚になっていて、読者としては「同じシーンぽいけど……もしかしたら違うかも……」というゾクゾク感を味わうことになります。

 

しかし、クリスナイフを闇公子に突き立てるというのはいかにもベタですよねえ。そんなことしなくても彼は火に弱いのでどうとでもなるのですが。。。

やっぱり武器庫の魔剣らしいものが欲しいなあ、と思って再び(というか10回めくらい)武器庫を訪れると、これがビンゴでした。クリスナイフは魔剣の封印をかち割る力を秘めていたのです。かくして主人公は邪大剣モラルサカを手に入れました。

 

しかしこの剣、案の定重い重い。ライゼはドラクエの主人公とは違います。剣に振り回されるのがオチですよね。この辺りは本当、甘さのない重厚な作りつけです。

そこで主人公が取った手段は……死んで学ぶこと。

クラインと悲痛な誓いを交わし、何度も何度も三英雄に挑み、少しでも立ち回りと戦闘技術を身につける。肉体は毎回リセットされますが、記憶と戦闘経験は少しずつ上積みされていきます。

このくだりもループものでは結構目にするものですが、言ってみればシューティングゲームを攻略するようなものですよね。

少しでも先に進むとともに、無駄死にをせず何かを掴み取ること。絶対勝てないとわかっている相手に対して無謀な戦いを挑み続ける主人公。

並大抵の根性では身が保たなかったでしょう。ちゃなには到底無理です。これがゲームブックで良かったなあ。。。

晴れて、次に死んだ後の飛び先は、何十回と目にした「無限回廊」ではなく、新たな「無限回廊」でした。

おそらく後にヴィルファン王女が記したと思われる「護国記」は、第2章第13節まで進みました。

 

最後に宣伝を。章立てのあるゲームブック作品は結構珍しいかと思います。拙著「デレクの選んだ魔法」は、第1章からストーリーに沿って章立てで進み、第5章の後で終章を迎えるのですが、ここに一つトリックがあります。興味を持っていただければ幸いです。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

次回に続きます。

護国記リプレイ その9

どうも、ライゼことちゃなです。

波刀風賢治さんの大作ファンタジーゲームブック「護国記」。これまで古手梨花ちゃんばりにループを繰り返し、そこそこ幸せな結末も迎えましたが、なんのその。まだまだお話は序盤のようです。 

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

その後も何十回と死を迎えつつ、ライゼとともにちゃなの方もこの惨劇の裏が少しずつ読めてきました。少なくとも、三英雄をこの城に呼び寄せた裏切者の正体は、ほぼ特定できています。

(ここから先、ネタバレバレですからね!)

 

多くの単方向型ゲームブックは、リプレイを前提としています。つまり一発ではクリアできないよう難易度を調整してあるのです。

そのため、「前回はこのボタンを押したら死んだから、今回はスルーしよう」と読者は考えたりするわけですが、物語内の主人公はそんなこと知らないわけで、第三者視点では主人公がスーパー第六感を駆使して進んでいく感じになります。

つまり、プレイを繰り返せば繰り返すほど、読者と主人公の経験に乖離が生じることになり、ときにはプレイが作業的になったり、主人公との一体感を阻害してしまったりすることもあります。

本作は、このゲームブックならではのジレンマを、ループものというギミックを用いることで解消しています。ライゼは物語内でちゃなと一緒に何度も死にながら学んでいくわけです。

実に巧みな仕掛けですよね。

 

さて、ほとんどのルートは行き尽くしてしまい、ちょっと手詰まり感を感じていた何十回めかのトライでしたが、主人公はやはりクラインを頼ります。事件の真相を知るために協力を仰ぐと、何人か相談相手を紹介してもらえます。

その中に、「毒草師」という、見慣れない職業がありました。

さっそく訪ねに行ってみましょう。

 

王宮付の毒草師は、意外にも重要な情報を教えてくれました。王妃がお忍びで誰かと面会するというのです。この王妃、ヴィルファン王女の実の母ではありません。前世の記憶を思い起こす限りでは王女との仲もあまりよろしくない様子。単純に考えると悪役ですよねー。どうもきな臭い。

他にも毒草師は重要なキーワード「預現者」について話してくれます。

 

クラインとともに上階の「防風壁室」へと向かいます。なるほどここは内緒話にはうってつけの場所ですね。扉を開けると、果たしてそこには王妃と近衛兵長の姿がありました。

主人公は前世で、近衛兵長が王城の建築資料を盗んで調べていたという証拠を掴んでいます。あの時は部屋を捜索するだけで時間切れでしたが、今回は裏切りの現場を押さえました!

近衛兵長、いきなり王城のバリアを破壊してしまいました。裏切りの証拠がないと居直られたらどうしようかと思いましたが、馬脚を露わしてくれてラッキーです。

 

ここで三択です。攻撃するか、挑発するか、言葉で戦うか。当然、力では敵わないでしょう。これから起きることを言い当てて、相手の動揺を誘うことにします。もちろん、王妃も隊長と結託しているに違いありません。

 

……とそこに、なぜか入ってきたヴィルファン。ええっ?

王女は確か中庭の方に向かっていたはずですが……もしかして王妃から何か指示されていたのかな?それで様子がおかしいと思って……?

混乱しつつも、王女の安全が最優先。隊長は捨て置いて王と合流します。

ここから先は早いです。次のページではもうみんなで史の国に亡命しています。まあ、何度も繰り返した逃亡劇ですから、委細を語るのは野暮ってものでしょう。

 

というわけで、主人公と王女は史の国の離宮を与えられ、仲睦まじく暮らしましたとさ。

でもやっぱり、王様はどこかに消えてしまいます……。

 

ああ、残念ながら、この程度の結末に満足する主人公ではないのです。

なんだかバッドエンドレポートみたくなってしまいましたが、基本リアルタイムで執筆していますので、ご容赦ください。

いや、もしかしたら、このバッドエンドを踏んだことで、どこかのフラグが立ったかも、ね?

次回に続きます。