ちゃなのゲームブック

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「デレクの選んだ魔法」制作裏話 その5 テーマとギミック

どうも、ちゃなです。新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」の舞台裏を解説するコーナーもいよいよ最終回。今回は作品の底に流れるテーマについて解説します。

(ネタバレはありません。)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

以前私は本ブログで本作のテーマを「人生」そして「後悔」と書きました。

しかし、このテーマは実は制作過程も終盤に入ってからようやく見えてきたものです。

当初は、とにかく主人公が色んな魔術を習得して使いこなす話にしようというノリでいました。

その後で、「究極の魔術」というプロットを思いつきました。例えば、火炎の究極の魔術を習得すると、核爆発さえも起こすことができる、その代償として、手に触れるものは全て燃え尽きてしまう呪いに襲われる、それでもあなたは究極の魔術を手に入れたいですか?といった、ちょっと哲学的な話を考えていたのです。結局この話は私の中で煮詰めきれないまま立ち消えになりました。

 

代わって、デレクの成長を描くということになって、官僚や冒険者など様々なフィールドで活躍するデレクが思い浮かんできました。そして、やっぱり、デレクが魔術を学ぶきっかけとなったあの事件に対する決着をつけてみたくなったのです。それも、本作らしく、またゲームブックらしいやり方で。

本作には私の作品には珍しくパラグラフジャンプが出てきます。パラグラフジャンプは、各パラグラフに「隠された意味」を持たせるのに有効な手段です。本作におけるパラグラフジャンプの使い方は、魔術を学ぶときの心構えと密接に関係しています。本作は、パラグラフジャンプのギミックなしには成立しないのです。

そして私はデレクが魔術を学ぶ動機の一つを、人生と後悔から自由になるためと設定しました。この辺りの絡みは、是非本文を読んで感じ取っていただければ幸いです。

 

最終的に、デレクは私が思っていた以上に大きな人間になりました。ありがとう、デレク。そして本書を手に取ってデレクに命を吹き込んでくれたあなたに、あらためて深く感謝いたします。