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ソーサリアンTEXT「金竜の陰謀」 製作裏話

どうも、ちゃなです。

ソーサリアンTEXTのドラゴンモードシナリオ「金竜の陰謀」、お楽しみいただいているでしょうか?

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ちゃなは以前にもソーサリアンTEXTに「災厄の夜−テンペスト・ナイト−」を投稿しています。同作では「原作ソーサリアンの基本15シナリオすべてのネタを散りばめる」「原作ソーサリアンのシステムに則って七星の組み合わせで魔法を開発する」というコンセプトを採用しました。その分、フローチャートは極めてシンプルなものになりました。

 

対して今作は、パラグラフ数こそ64しかありませんが、双方向型シナリオ、職業によって開かれる選択肢、アイテムやフラグを限定した隠しテキストといったギミックを色々と取り入れています。

 

(ここからはネタバレを含みます)

 

砂漠王ルワン

 

実は「テンペスト」を執筆しているうちに、ちゃなのオヤジ趣味が顔を出して、砂漠王ルワンが大好きになってしまったんですよねー。ルワンは原作では一言も喋らずただ戦って倒すだけの敵なのですが、交易都市ヴァラージを長く治める領主なのですから、ただの小悪党であるはずがありません。

ゴールドドラゴンの幻影を出して戦うというのも、もしかしたら外敵の命を奪わず追い払うためだったのでは……?そして、そのゴールドドラゴンとは、ルワンが幼き日に見た巨大な竜の姿を再現したものだったのかもしれません。

 

というわけで、ちゃなのシナリオの中では、ルワンは尊大でいけ好かない嫌な奴ですが、根っからの悪人ではありません。原作「呪われたオアシス」でソーサリアンに敗れた後は、オアシスの呪いを解いてペンタウァの王様と和解し、ヴァラージの良き領主として君臨しているという設定になりました。砂漠の民はきっと反骨精神が盛んですから、ルワンのように傲岸不遜な男に憧れるところもあるでしょう。。。

 

さて、一方で本作のラスボス「金竜」です。

ルワンが作り出したのはあくまでも幻影。オリジナルは比べ物にならない強さのはず。

強くするためにはでかくすればいい!というわけで、全長100m以上(多分)もある巨大なドラゴンがペンタウァの王城を押しつぶそうとしているイメージが生まれました。

 

金竜の性格は、今思えば、コンピュータRPG「バルダーズゲート2」のファークラーグ卿に似てますねー。彼も主人公に逆ギレしてたぶらかし人間同士で殺し合いをさせて楽しむというなかなかなご趣味をお持ちです。

しかし同時に、金竜は世界の守護者としての理念をも持っています。なので、666年に一度の災厄が人間によって防がれたことや、一介の人間がドラゴンスレイヤーを手に自分達に挑むことなどは、まったくもって受け入れがたいことなのですよね。

プライドの高い金竜は、同じドラゴンに対しても時に軽蔑の目を向けています。作中ではレッドドラゴンブルードラゴン、シャドードラゴンをディスっていましたね。きっとヴァイデスとも仲が悪いでしょうね。

金竜が唯一認める存在は、「ザガ」すなわちキングドラゴンです。曲者揃いの竜族の中で、自分こそが唯一のキングドラゴンの理解者であるという自負を持っています。

(ちなみに「ザガ」とは「ザ・ガ○○○」の略です。ファルコムファンのあなたなら、わかりますよね?)

 

……というわけで、実は良い人だった砂漠王ルワンと、人間には決して理解できない存在である金竜のキャラが決まり、そんな金竜をブチギレさせたルワンの「大人になれよ」というセリフを思いついた瞬間に、このシナリオは完成したのでした。

 

職業システム

 

システム面では、せっかく実装された「職業システム」を使いこなそう、という思いが最初にありました。

ただ、ソーサリアンでは種族と年代によって就ける職業にかなりの格差があります。どんな主人公でもクリア可能にするため、様々な選択肢を用意して、行き当たりばったりでもなんとなくクリアルートが見えるよう工夫したのですが、ここのところはちゃなの中でまだ不完全燃焼かなあ。。。

ちなみに、ソーサリアンが一瞬で転職可能なのは、ありきたりですが、幻惑の霧の中にいるからですね。

 

金竜戦

 

ラスボス戦のコンセプトは、「歴代最強のラスボスを目指す」ことと、「デフォルトのソーサリアンTEXTの戦闘ルールをなるべく変えない」ことでした。

前作「災厄の夜−テンペスト・ナイト−」では、とにかく災厄の恐ろしさを表現したくてかなり無茶苦茶な強さにしてしまったので、今作はあくまでもルール内での強さを目指すことにしました。

ところが、ソーサリアンTEXTの戦闘システムはシンプルで、基本的にどの敵も一回殴れば死にます。その際主人公がどれだけダメージを受けるかによって敵の強さを表現しています。

なので、このダメージを1000とかにしてしまえば「強い敵」を表現できるのですが、それでは流石に味気ない。

コンピュータRPGとかでも、強敵というのは、「いくら殴っても死なない」「一撃で味方を壊滅寸前にする」の二つの要素を持っています。

そこで、前者に関しては金竜のパーツごとにパラグラフを分離して弱点を順番に突かなければ倒せないようにして、後者は必殺技「衝撃波のブレス」に委ねることにしました。

 

こんな感じで制作された「金竜の陰謀」。小品ですが、作っていてとても楽しい作品でした。このような制作環境を与えてくれたスタッフの皆様に、改めて感謝申し上げます。

実は、ソーサリアンのネタであと2つほど制作したいものがあるんですよねー。余裕があれば、いずれお披露目したいものです。。。