ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックとトラップアイテム

どうも、ちゃなです。

(今回は紹介作品のいくつかに重大なネタバレを含みます)

 

アイテム。素敵な響きですよね。伝説の武器とか、太陽の石とか。

人間を操るゲームのほとんどで、何らかのアイテムが登場します。とりわけRPGやそれを模したゲームブックの世界では、主人公がアイテムを手に入れるというのは、成長の証だったり、ゲームクリアのためのフラグだったりと、重要な意味を持っていることが多いものです。アイテムコンプリートのためにやり込みを行うゲーマーさんも多いですよね。

 

ところが、世の中には、持っていてはいけないアイテムというのも存在します。

有名どころでは、呪われた武具。装備したら取り外せなくなり、かえって攻撃力が弱くなったり、強いは強いけどとんでもない副作用が出たりします。

コンピュータRPGでは、ウィザードリーシリーズが有名でしょうか。「Long Sword -1」みたいな、鑑別してしまえば見るからにマイナス効果のアイテムもあります。シナリオ4「ワードナの逆襲」では、お金の代わりに使えるけれど一定確率でゲームオーバーになる「Mordor Charge」なんて皮肉の効いたアイテムもありましたっけ。極めつけは「ウィザードリー・外伝~五つの試練~」に収録されたシナリオ「欠けた大地」で、偽のラスボスを倒して不名誉の印をゲットしてしまうと、そのキャラ達ではクリア不可能になってしまいます。

ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~FIVEOrdeals

ウィザードリィ・外伝 ~五つの試練~FIVEOrdeals

  • 発売日: 2006/06/08
  • メディア: CD-ROM
 

 

さて、ゲームブックにも様々なアイテムが登場します。しかしテーブルトークRPGコンピュータRPGよりも容量が厳しいため、アイテムの属性はかなり絞り込まれています。

強いアイテムとしては、「バルサスの要塞」に出てくる人気武器「携帯用万能棒」とか、「ネバーランドのリンゴ」の最強武器「カレードウルフ」なんかが印象深いですね。グレイルクエストシリーズには、しゃべる剣「エクスカリバーJr」をはじめ強弱様々なアイテムが登場します。

魔獣王国の秘剣 (グレイルクエスト)

魔獣王国の秘剣 (グレイルクエスト)

 

 

一方、ゲームブックに登場するトラップアイテムは、ある意味RPGよりも豊富で悪質です。

 

古典的には、初期のファイティングファンタジーシリーズで何度か見た「氷の宝石」。ひんやり冷たい大粒のダイヤモンドのようで、背負い袋に入れておくといつの間にか解けて無価値になってしまう代物です。

消えるだけならまだしも、自ら背負い袋に穴を開けて他の携行品までロストさせてしまう銀貨なんてのもありましたっけ。

ダンジョンズ&ドラゴンズのデボアリングバッグを彷彿とされますね。

 

バルサスの要塞」の「クモ男の瓶」は、入手するのが面倒かつ何度も選択肢に出てくるのに、一切役に立たず、むしろデッドエンドにもつながるという最悪のアイテムです。

 

「竜の血を継ぐ者」では、ゴールデンドラゴンの墓から入手できるシミターとバルネオシールドがトラップアイテムになっています。一見強そうで、いざ戦いになると役立たずであることがわかるという、なかなか厄介な仕様になっています。

竜の血を継ぐ者

竜の血を継ぐ者

  • 作者:中河竜都
  • 発売日: 2004/03/31
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

アイテムを任意に捨てる選択が許されていない作品においては、アイテムを所持していることがすなわちフラグになっていることもあります。

白眉と言えるのがドルアーガ三部作の完結編「魔界の滅亡」に出てくる「タウルスの道具」。この物語のラストでは、塔の崩壊に巻き込まれて立ち往生する主人公を、最後の最後でタウルスが飛空船を修理して助けに来てくれるのですが、そのタウルスの道具を主人公が持ち去ってしまっていると……。

この展開、実は普通にプレイしただけでは真相がわからないようになっています。詳述は控えますが、ゲームブックならではの構造に唸らされました。

魔界の滅亡 (ゲームブック・ドルアーガの塔)

魔界の滅亡 (ゲームブック・ドルアーガの塔)

  • 作者:鈴木直人
  • 発売日: 2013/11/23
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

拙著「ネイキッドウォリアー」ではいくつかの武器防具が登場しますが、プレートメールやサンダルが時として不利に働きます。トライアスロンをテーマにしていることからお察しいただけますでしょうか?

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)
 

 

私は罠とか引っかけを作るのがあまり得意な方ではないので、先人たちの陰湿でユーモラスな仕掛けを見るたびに感心してしまいます。読者を惑わせ、怒らせ、笑わせ、楽しませるトラップアイテムを上手に使いこなしてみたいものですね。