ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックの書き出し

どうも、ちゃなです。

 

小説では、書き出しの一行に一番時間がかかるって、よく言われますよね。

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」とか、「ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変わってしまっているのに気づいた。」とか、なかなか唸らされる名フレーズです。

 

ライトノベルでは、いかに早く女の子のハダカを出すかが大事、という不文律(?!)があって、そんな冗談みたい話から私の「ネイキッドウォリアー」は生まれました。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

ゲームブックの書き出しはどうでしょうか?

 

 

初期のファイティングファンタジー作品では、まず物語調のプロローグが2ページほどあって、それから「さあ、ページをめくりたまえ」となるのが様式美となっています。

 

「火吹き山の魔法使い」では、冒頭に「噂」と称して、こんな感じでプロローグが始まります。

 

 

「よほどむこうみずな冒険者でない限り、これほど危険きわまる探索に乗り出すにあたっては、山とそこに秘められた宝について、まずなるべく多くのことを探り出そうとするものだ。」

 

なかなか詩的な出だしですよね。記念すべき第一作ということで、物語感を大事にしたのかもしれません。

そして、パラグラフ1はこう始まります。

 

「二日間の歩きもやっと終わった。」

 

いよいよ目的の洞窟に着いた、ということを示しているわけですね。すぐ後にイラストもあるので、主人公の状況が一目でわかります。

 

同じファイティングファンタジーシリーズでも、スティーブ・ジャクソン氏の最後の作品「モンスター誕生」は、ものすごいことになっています。

モンスター誕生?ファイティング・ファンタジー (24)
 

 

「背景 ―トロール峠の伝説―」と称して、なんとプロローグが20ページ!

まんま小説ではありませんか。

しかも、その内容が、本文で登場する主人公とは一見何の関係もない!

おまけに、ご丁寧にも、プロローグの最後で、この情報の大半はたいして役に立たないだろうと、作者が断り書きを入れています。

キツネにつままれた気持ちで読者がページをめくると、パラグラフ1はこうなっています。

 

「身体の痛みは耐えがたいほどひどかった」

 

主人公の心情から始まり、そしてあなたがどんな姿をしているのかが徐々に明かされていきます。

 

背景に記載された、ザラダン・マーやらガレーキープやらが何のことなのかがわかるのは、プレイも終盤、幾多の罠を潜り抜け、おそらく何度もバッドエンドをかいくぐった後になることでしょう。

 

本作を最後にジャクソン氏は小説家への転向を図っています。氏の決意の重さが垣間見える作品構成と言えます。

 

和製ゲームブックの雄、「スーパーブラックオニキス」はどうでしょうか。

ブラックオニキス・リビルド (幻想迷宮ゲームブック)

ブラックオニキス・リビルド (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

やはりパラグラフ1の前にプロローグがあります。

 

「燃えるように紅い髪を持った一人の兵士が、砂漠を大股で歩いている。」

 

これが、主人公テンペスト、つまりあなたのことです。真っ赤な髪の毛がトレードマークだという印象を最初に植え付けています。

 

そして、パラグラフ1の冒頭はこうです。

 

「町の南西の橋に大きな城門があり、あなたはその前にたたずんでいる。」

 

おや、ちょっと味気ないですか?

実は、本作は双方向作品で、このパラグラフ1はオープニングではなく、単に町の一区画の描写なんです。読者はたびたびパラグラフ1に戻ってくることになるので、ここであまりユニークな記述をするわけにいかないんですね。

 

このように、ゲームブックの冒頭には、各々の作者の知恵と発想が結集されているんですね。。。

 

私はというと、今のところ、プロローグという章立ては設けておりません。

ちゃな的には、やはり一刻も早く、読者を主人公にシンクロさせることが大事なのかなあ、と思っています。

緻密な描写にこだわった情感たっぷりなプロローグもいいのですが、やっぱり手っ取り早く冒険に出たいですよね。

 

なので、拙著「デレクの選んだ魔法」のパラグラフ1はぐっとシンプルに。

 

「あなたはデレク。魔術師だ。

とはいえ、はじめからそうだったわけではない。」

 

テクニカルな話をすると、この二行で私は次のようなメッセージを読者に送っています。

・本作の主人公にはデレクという名前と人格が与えられていること。

(ネイキッドシリーズの主人公が名もなき女戦士で読者の想像に委ねられていたのとは一線を画しています)

・本作のテーマが魔法であること。

(これはタイトルからすでに明らかですが。。。)

・本作の主人公が成長すること。

つまり、魔術師として完成された状態から始まるわけではないことを明示しています。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

とはいえ、結局は作風次第なところもあります。

純文学風のゲームブックなら、もっと研ぎ澄まされた書き出しを。

チャット風のイージーリーディングな作品なら、スピード感あふれるオープニングを。 

 

「悪夢のマンダラ郷」のプロローグなんか、こうですよ。

悪夢のマンダラ郷 悪夢シリーズ (幻想迷宮ゲームブック)

悪夢のマンダラ郷 悪夢シリーズ (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

「振られちゃった。」

 

一度読んだら忘れられません。。。

 

いかがだったでしょうか?

 

結論。

やっぱりゲームブックも、書き出しの一行が勝負どころですね!

皆さんも、すてきな書き出しのゲームブックを見つけたら、教えてくださいね。

ゲームブックと相性の良い要素

どうも、ちゃなです。

 

メディアは、それぞれ独特の性質を持っています。

小説には小説の、映画には映画の、そしてゲームにはゲームの良さがあります。

そして、小説でなければ表現できないものや、その逆もあります。

 

例えば古典的名作、ブラウン神父シリーズの「見えない男」。ある人物が消失して、見張り達は「誰も通っていない」と証言するのですが、それが全く事実と異なっていたという、一種の心理的盲点をついたプロットです。映像にしてしまうと、件の人物が堂々と通路を横切っているのが見えてしまうので、「映像化不可能な作品」と称賛されました。 

ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)

ブラウン神父の童心【新版】 (創元推理文庫)

 

 

ゲームでしか表現できないことも多いですよね。「極限脱出 9時間9人9の扉」には、ニンテンドーDSでなければ表現できないトリックを、プロットの中核に据えています。のちに発売されたPS VITA版ではうまく工夫していたようですが、やはりDSには劣るようです。 

極限脱出 9時間9人9の扉

極限脱出 9時間9人9の扉

 

 

メディアにはそれぞれの特徴があるのであって、絶対的な優劣があるというわけではありません。

よく、ゲームブックはコンピュータゲームの隆盛によって衰退したと語られるのですが、確かに容量の問題や、ゲームブックがもともとテーブルトークRPGの代替として開発された(らしい)という経緯はあれど、ゲームブックにはゲームブックでしか表現できない要素があるのです。

 

では、ゲームブックでこそ表現できるものとは、いったい何でしょうか?

 

(1)スケジュール管理アドベンチャー

ゲームブックでは、よく同じパラグラフを使いまわします。

容量を節約するためもあるのですが、同じパラグラフに何度も読者を誘導することで、「あ、この選択肢は前に見たな」「外れだったな」と認識(あるいは誤解)させたりするという目的があります。

コンピュータのアドベンチャーゲームだと、テキストは同じでも、まったく同じ行程を繰り返しているかどうか、プレーヤーは判別できません。ゲームブックなら、パラグラフが同じなのではっきりとわかります。

スケジュール管理を主体とするアドベンチャー(「ときめきメモリアル」や「アトリエ」シリーズなど)の構造と、ゲームブックはよくなじみます。

拙著「デレクの選んだ魔法」では、前半で学園アドベンチャーの要素があります。春夏秋冬で主人公の行動を選択するのですが、いくつかのパラグラフを使いまわし、特定の選択肢を特定の時期に選ぶと特別な展開に入る、というギミックを用いています。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

 

同じ理由で、同じ時間軸を何度も繰り返すタイムリープものも、ゲームブックと非常に相性がいいです。

タイムリープを初めて導入したゲームブック作品は、おそらくかの有名なスティーブ・ジャクソン氏の「諸王の冠」でしょう。

諸王の冠―ソーサリー〈04〉 (Adventure game novel―ソーサリー)

諸王の冠―ソーサリー〈04〉 (Adventure game novel―ソーサリー)

 

 

近年では、山本弘氏の「長時間の檻」が白眉です。クトゥルフ神話の設定を活かして 全編タイムリープをふんだんに盛り込み、とても200パラグラフとは思えないほどの重厚感をもたらしています。

超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)

超時間の闇 (The Cthulhu Mythos Files)

 

 

おいしいたにしさんの「寄生木の夜」も傑作ですね。人物憑依と巻き戻しの能力を持つ主人公がいろいろな作中人物の視点を借りて事件の真相を探っていく展開は、なんだか空中ブランコを順番に乗り移っているような感覚と近いものがあります。

tanishi.org

 

例によって拙著「デレクの選んだ魔法」でも、タイムリープに真っ向から挑んでいます。

 

(2)推理もの

ゲームブックは読者が主人公の行動を決めるメディアです。

選択次第で謎が解けたり、重要人物が死んでしまったりと、展開が分岐していくのが、ゲームブックの醍醐味です。

推理小説を読んでいて、「自分だったらこんな行動はとらないのに」「自分が探偵なら、最初の殺人を防ぐこともできるのに」と思うことはありませんか?ゲームブックなら、その望みを叶えることができますよね。

 

ただ、推理ものは製作の難易度が高いためか、あまり数が多くありません。

ツァラトゥストラの翼」では、ミステリ作家である岡嶋二人氏がガチで読者に挑戦状を叩きつけています。

ツァラトゥストラの翼 (講談社文庫)

ツァラトゥストラの翼 (講談社文庫)

 

 

純粋なゲームブックというよりは、ゲームブックのギミックも使ったパズルブックという面持ちの「シャーロック・ホームズ 10の怪事件」。ロンドンの地図や新聞なんかも作り込まれた力作です。

シャーロック・ホームズ 10の怪事件

シャーロック・ホームズ 10の怪事件

 

 

 

未訳ですが、シャーロックホームズもののゲームブックは結構出ています。

Murder at the Diogenes Club (Sherlock Holmes Solo Mysteries)

Murder at the Diogenes Club (Sherlock Holmes Solo Mysteries)

 

 

もちろん、コンピュータゲームでもインタラクティブ推理ゲームは可能です。むしろコンピュータゲーム作品の方がずっと多いでしょう。

でも、ゲームブックには、クリア後のお楽しみ「選択肢を無視して通読する」というやり方があります。推理もののゲームブックを通読すると、主人公の名推理や死に様などがアトランダムに出てきて、ちょっとしたオムニバス小説を読んでいるような独特の感覚が味わえます。(決してクリア前にやらないこと!)手軽に全シーンに目を通せるのも魅力と言えます。

 

(3)インストラクション

ここまでくると、「ゲームブック」の一般的なイメージから少しずれてきますが、インタラクティブメディアとしての性質を活用するならば、プレーヤーに遊び方の説明をするのにゲームブックはいい媒体になりえます。

トンネルズ&トロールズのソロアドベンチャーシリーズが有名ですね。ダンジョンズ&ドラゴンズや、ファンタジートリップなどでも、ルール理解の練習用ソロアドベンチャーが収載されていました。

 ゲーム以外でも、解説書にゲームブックを載せている作品って、探せば結構あるものです。ここでは本の体裁をとっていることが重要で、コンピュータと違って選択による画面遷移などが構造的に理解できますし、何度でも読み返すことができます。

 

他にも探せばいろいろとあると思います。

ゲームブックならではの要素やアイデアを盛り込んだ作品、これからもたくさん執筆したいものです。

ゲームブック攻略における「ずる」について

どうも、ちゃなです。

お久しぶりになってしまいました。皆さんゲームブックやってますか?

お陰様で発売後2年近くになる拙作はまだ売れています!

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

ところで、ゲームブックを読む際に、皆さんはルールを完全に守っていますか?

多分、そういう人ってむしろ少数派じゃないかなって思うんです。

ファイティングファンタジーシリーズなど、幾つかのゲームブック作品は、iPadのアプリなどでもリリースされています。しかし、ゲームブックを本のまま読むのと、アプリでプレイすることには、大きな違いがあります。

それが「ずる」ができるかどうかです。

アプリだと、途中でヒットポイントがゼロになれば強制的にゲームオーバーです。進めないパラグラフに進むこともできません。(無敵モードなどの仕様が搭載されている作品もありますが)

コンピュータゲームでは、いきなりエンディングを見ることはできませんが、ゲームブックならそれも可能です。

「ずる」ができるのは、本の形態を取っているゲームブックの専売特許であるわけです。

今回は、ゲームブック攻略における様々な「ずる」、もしくは裏技について、ちょっと考えてみます。

 

「ずる」と言っても、ちょっとしたショートカットから、ゲームの屋台骨を揺るがすレベルのものまで、様々です。どの手法を用いるかによって、楽しみ方が大きく変わってきます。

 

(1)指セーブ

これは、ゲームブックを読んだことのある方なら、誰でも経験したことがあるんじゃないでしょうか?

選択肢に迷った時、そのパラグラフに指を挟んでおいて、先に進んでみて、結果が思わしくなければ戻って別の選択肢を選ぶ、というものです。

指セーブは、「グラスに入ったワインを飲むか、飲まないか」といった、選択の結果がすぐにわかるような場合に向いています。

逆に、「右に行くか、左に行くか」という場面で指セーブして右に進んでも、飛び先で今度は「右に行くか、まっすぐか、左に行くか」みたいに分岐していると、困ってしまいますよね。

何度も指セーブをして、指が足りなくなってしまうのは、「ゲームブックあるある」といえます。

指セーブはお手軽な「ずる」の手法ですが、作者目線で見ると、指セーブが頻回に行われるようなゲームブックは、良くも悪くも底の浅い作品であるように思います。

選択の結果がすぐに判明するので、正しいルートを探し出すのが容易なのです。

短期間で楽しめる一方、リプレイアビリティは低くなります。

逆に、選択の結果がすぐには判明せず、フラグなどによって後々になって響いてくるような作り付けにすると、深みのある作品になります。一方プレイする側としては、指セーブが通用せず、自分の選択が正しかったか否かがすぐにわからないので、少ししんどい思いをすることになります。

 

(2)無敵モード

これもスラングになっているほどに有名な方法です。

ファイティングファンタジーなど、主に戦闘の結果をサイコロで決めるゲームブックの場合、すべて読者に有利な展開になったと仮定しながら進めることを言います。

要は、戦闘は全部無傷で勝利したことにしてしまうということです。

無敵モードを導入すると、正しい道のりを進んでいるのに運悪く死んでしまったという展開を避けることができます。

また、ヒットポイントを記録しなくて済むので、プレイアビリティが上がります。フラグやアイテムなどが少ない作品なら、鉛筆なしで読めるようになります。移動中に読みたい場合に有効ですね。

さらに、サイコロを振る手間も省けます。とにかくお気楽にプレイしたい方向けの方法です。

途中まではフェアにプレイしていて、もしも死んでしまったらヒットポイントを全快してそのまま続けるというのも、変則的な無敵モードと言えるでしょう。格闘ゲームでいう「難易度を下げてコンティニュー」です。

無敵モードは、一部のコンピュータゲームでも公式チートとして導入されています。ストーリーやグラフィックに集中してエンディングを迎えることができるのは有り難いですよね。お金を払ったのに最後までプレイできないのは悔しいですから。

他方、一度使ってしまうと、全うに攻略する気が失せてしまうのが無敵モード。作品の寿命を短くするという大きな副作用があります。

私自身は、子供の頃は死ぬのが悔しくて常に無敵モードでプレイしていましたが、最近は逆にフェアにプレイすることが多いです。

 

個人的には、この指セーブと無敵モードは、「ずる」というよりは「変則的攻略」かなと思っています。やったことのない人はほとんどいないんじゃないかな?

続いて、特定の名称は思い当たらないものの、ごく軽いチートを二つ。

 

(3)パラメータチート

主人公の能力値をランダムに決める場合など、最高値が出たことにしてプレイすることです。

無敵モードよりも緩い「ずる」ですね。

ファイティングファンタジーシリーズの名作「死の罠の地下迷宮」などは、能力値の低い主人公では事実上攻略不可能になっていて、かの安田均氏もパラメータチートを推奨しているほどです。

 チートではありませんが、コンピュータRPG等で、初期値を何度も振り直して高い能力値が出るまでチャレンジするというのは、よくやることですよね。「バルダーズゲート」シリーズはゲームバランスが厳しくて、一キャラ作るのに一時間かけるなんて人もいます。ソーシャルゲームの所謂リセットマラソンもそれに近いかもしれません。

 

(4)予知夢

ゲームブックを読んでいると、つい隣の関係ないパラグラフを読んでしまうことがあります。

そのとき、重要な情報が目に入ってしまったら……。

例えば、銀の弓矢で敵を倒した、という描写を目にしてしまったら、次に入った店では銀の弓矢を買いたくなりますよね。

これは「ずる」と言えるかどうか、微妙なラインです。

予知夢とか、パラレルワールドからの干渉ということでオーケーではないでしょうか。

同じように、一度ゲームオーバーになって最初からプレイし直す時には、「前世の記憶がある」ということで、以前の失敗体験を活用して進んでいくことでしょう。

 

さて、ここからは少し「ずる」の次元が上がります。

 

(5)パラグラフサーチ

暗号などを解かないと先に進めず、飛び先が明示されていない場合に、頭から本を読み直して飛び先を調べるやり方です。

例えばソーサリー3「七匹の大蛇」では、終盤の強敵を倒すためのアイテムを手に入れても、そのアイテムに示される数字を見出さなければ使いこなすことができません。私はこのとき、1から順に全部読んで、正解のパラグラフを見つけ出しました。

 

拙著「デレクの選んだ魔法」でも、究極のエンディングにたどり着くために、とある座標を見出さねばなりません。パラグラフサーチで攻略が可能ですが、この謎解きには本作の世界観の本質が詰まっていると言っても過言ではありませんので、是非チャレンジしてみてください!(宣伝です)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

個人的には、このパラグラフサーチで強引な攻略が可能なところが、ゲームブックゲームブックたる所以であり、プレイアブルメディアとしての「優しさ」じゃないかな、と思っています。 

謎解き系のアドベンチャーゲームとかは、謎が解けないとそこで完全に行き詰まってしまうわけです。あるいは降参ボタンを押して作者に答えを教えてもらうしかありません。ゲームブックなら、自力で本を読むという作業を経て答えにたどり着き、もしかしたらなぜそれが正解なのかにも思いが至るかもしれません。これは、ゲームブック以外では味わえない感覚と言えるのではないでしょうか。

 

(6)フラグチート

 

必要なアイテムがないのに、ある振りをして進めることです。

こうなると完全に「ずる」ですよね。

戦闘で死ぬのでなく、アイテム不足でデッドエンドになるわけですから、それまで読者が通ってきた道筋に何らかの間違いがあったわけです。

店で買うアイテムを間違えたというならともかく、正規のプレイで見たこともないアイテムを実は持っていたことにするとなると、ストーリー的にも整合性が取れなくなることがあります。

まあ、これはあまりお勧めできない「ずる」になるかなあ。

とにかくどうしてもエンディングが見たい方向けです。

 

(7)ワープ

指示されていないパラグラフに飛ぶことです。

これはもはや攻略とは言えません。禁じ手です。

でも、長い作品の場合、ふとパラパラとめくっていて気になるパラグラフが見つかることってありますよね?ついそこからプレイしてみたくなることも。。。

ちょっとだけ、覗いてみるのは、ありかもしれませんね。

作品によっては、ワープ専用のパラグラフが用意されているものもあります。

大抵はチート対策のちょっとしたジョークになっていて、例えば「君は遂に財宝にたどり着いた!」→「引っかかったな。このパラグラフには絶対にたどり着けないはずだ。ずるはやめたまえ!」みたいな展開です。まあ、ずるをすることで初めて楽しめるパラグラフであるとも言えます。

さらに、詳細は言えませんが、ワープを攻略に取り込んだゲームブック作品も存在します。

 

(8)チャート解析

頭からお尻まで読み解いて、フローチャートを作ることです。

もはや「ずる」ではなく、「ハッキング」ですね。

どうしても攻略できない高難度のゲームブックに対して行うこともありますが、どちらかというと「研究」目的の方が多いかと思います。

私もこのブログで幾つかお示ししていますが、チャート解析することによってゲームブックの構造が可視化され、作者の思惑や作品のキモがより明確になります。作品の寿命を使い尽くすことになりますが、ある意味究極の楽しみ方でもあります。

手軽に解析ができるのもゲームブックの良いところですね。コンピュータゲームでは困難ですし場合によっては法に触れるおそれがありますから。

 

 

いかがだったでしょうか?

あえて「ずる」という書き方をしましたが、私自身は、読者が「ずる」ができるのもゲームブックの醍醐味だと思っています。

ソーサリアンTEXTはネット上のゲームブックですが、パラメータチートや無敵モードを人力でできる仕様になっています。これにより読者は気楽に攻略ができ、作者もオリジナルのルールを導入しやすくなっています。

www.web-deli.com

 

各々が自分に合ったやり方で楽しむのが良いと思います。

Tunnels & Trolls Adventuresのソロアドベンチャー開発プログラムに参加しています

どうも、ちゃなです。

 

以前本ブログで紹介したTunnels & Trolls Adverntures、かのトンネルズ&トロールズのソロアドベンチャーをPCやスマホで楽しめるというアプリです。

chanagame.hateblo.jp

 

その後日本マーケットにも正式対応して、日本のアカウントでもダウンロードできるようになりました。(内容はすべて英語です)

f:id:chanagame:20180506221553p:plain

 

既にシナリオも10個以上出ています。

Naked Doom(運命の審判)をはじめ幾つかのシナリオは無料ですが、基本的にはアプリ内課金して購入する仕組みです。一本400円くらい。広告動画を見ることで一回だけプレイ可能なゲーム内通貨が手に入れられる仕組みもあるのですが、先日から広告が停止されています。

 

そのT&TAですが、先日、前のエントリで紹介した通り、シナリオを作る側に廻ることのできるクリエータープログラムの参加募集が始まりました。

www.metaarcade.com

 

そして、ちゃなも応募して数週間で承認通知が届きました!

少し時間が経っていたので、てっきり落ちたのだと思っていたのですが……感激です!

 

というわけで、ガイドラインを読みつつ、早速テスト制作を開始しました。

 

少し脱線しますが、このガイドラインがなかなか興味深いです。T&T世界に準拠していないストーリーは認められず、性的表現も基本的にNGとのことです。また、ガイドラインの他にT&Tスタイルガイドというのがあり、こちらにより細かい約束事が載っています。「文章は二人称現在形で」「選択肢はいずれも等価に」「結果の違わない選択肢を作らない」等、ゲームブック制作の基本が網羅されています。他にも「”saving throw"ではなく、"saving roll"です」とか、「10未満の数は書き下すこと("3"でなく"three"、とか)」とか、学術論文の投稿規定みたいなことまで書いてあります。T&Tの軸を保ちつつシナリオ制作者の裾野を広げようという、開発者の強い意志が伝わってきます。

 

さて、その開発ソフトであるMetaArcade Adventure Creatorですが、Steamを通してインストールします。

肝心の使い心地は他のゲームブック作成ソフトと大差ありません。一コマずつシーンをつくって、つないでいくだけです。

f:id:chanagame:20180506220635p:plain

 

各シーンの作成画面はこんな感じ。

f:id:chanagame:20180506220626p:plain

デフォルトで様々なグラフィックが用意されているのが良い感じですね。一枚一枚自分で描かなければいけないのかと思ってました。。。

まだ試していませんが、音楽や効果音などもあるようです。

 

ただし、ベータ版と言うことで、まだまだ開発環境はこれからみたいです。

戦闘とセービングロール、T&Tの醍醐味である能力値変化は可能ですが、アイテム入手はおろかフラグ立ても実装されていません。

 

T&TAは仕様上、自分のキャラでどのシナリオにも挑戦できますし、同じレベルでも能力値の格差が激しいので、バランス調整が難しいところですね。

 

開発者たちのフォーラムにも参加させていただいています。専用グループ以外に、Redditでの議論も活発なようです。

 

どんどん盛り上げていきたいですね!

「デレクの選んだ魔法」公式トリビア集

どうも、ちゃなです。

 

ちゃなの新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」お楽しみいただけていますでしょうか?販促エントリもこれで多分最終回です。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

作品を執筆していると、筆が乗ってきて、新しい設定を入れたくなる、なんてことはよくあります。とびきりのアイデアになることもあれば、不発に終わることもあります。場合によっては、書き加えた後で矛盾が発覚して大変な目に遭うことだってあります。

登場人物のいでたちや所作をあらかじめ事細かに設定した上で執筆を始める先生もいらっしゃると思います。私は最低限の路線を決めておいて、あとは筆に任せてしまうことが多いです。なので、途中で書き直したり、何度も読み直して整合性を取る必要が出てきます。効率は下がりますが、執筆過程自体が驚きに満ちたものになるというメリットが大きいですね。

舞台設定も同様です。特にゲームブックでは、特定の読者しか読まない文章が多いので、小説に比べてお遊び的な設定を入れやすいんです。代表的なものがデッドエンドパラグラフですね。

 

そんなわけで、作品が完成してから改めて見返してみると、「これってこういうことだったんじゃ……?」という事実に、作者自ら気づかされることも、ときどきあることなのです。作者としても新鮮な驚きです。

 

「裏設定」ではなくて、あくまでも読者目線での深読み。

今回は、そんなトリビアをいくつかご紹介したいと思います。

 

(ネタバレというほどではありませんが、若干のヒントになり得ます。)

 

・メグは実は不器用?

 本作ヒロインのメグ(マーガレット)・ミリオン。聡明で気立てが優しい、正統派のヒロインです。彼女はデレクより1歳年上ですが、休学していたため、デレクの同級生としてアカデミーで2年間をともに過ごします。

そんなメグのことですから、勉強はさぞできたのだろうと思いますが……。

実は彼女は、アカデミーで習得できる8種類の魔術のうち、「治療の術」しか習得していません。

もともと彼女は魔術師志望ではないので、あえて魔術の習得に時間を割かなかった、とか?

でも、本文中で、メグは「召喚の術」と「思念の術」の講座に参加しています。

結局習得できなかったのでしょうか。

勉強は得意で、成績もダミアンより上でしたが、意外に不器用だったのかもしれません。。。

 

カストロ教授の銀ローブ

召喚の術者であるカストロ教授は、銀のローブを羽織っています。

銀ローブといえば、王立魔術アカデミーを首席で卒業した生徒に送られるもの。

カストロ先生がアカデミーの出身かどうか、本文に描写はありません。また、15歳のときにもらったローブをそのまま何十年も着続けているというのも無理のある話です。

だとすると、カストロはアカデミー首席卒業を今でも誇りに思っていて、自ら新調した銀ローブを好んで着るようになったのでは?

天才肌でプライドの高そうな彼のこと、そんな行動を取っていても、不思議ではない気がします。

 

・デレクがジェフ・ベゾス氏に?

本編には無数のバッドエンドがありますが、なかには正式なエンディングより幸せそうなものもあります。

「豪商エンド」もその一つ。魔術師を続けるのを諦めたデレクが商人に転向して巨万の富をつかむという展開です。

でも、このときデレクが思いついた内容をよく見ると……どこかで聞いたことがありませんか?書籍の配達、レストランのユーザーレビュー、労働者と仕事のマッチング、航海者への資金援助、出版社の買収……。

 

・本文に「?」が出てこない理由

本編を初めて読んだ方の中には、会話などの描写が若干抑えめに感じた方もいるかもしれません。

それは、本文中に「?(クエスチョンマーク)」がほとんど出てこないからです。

このことには特別な理由がある(本編を読んでいくと明示されます)のですが、そうでなくても、私は小説などを書く際に意図的に「?」「!」を禁じ手にすることがあります。

実際に書いてみるとわかりますが、こういった符号を使わないと、途端に会話が書きづらくなります。普段どれだけ符号に頼っていたかを思い知らされるんですよね。

文章力の鍛錬のために、あえて縛りを加えてみるのも良いかもしれません。

 

・サービスシーンはご想像にお任せします

本作はネイキッドシリーズとは異なり、残念ながら(?)お色気シーンはほとんど出てきません。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

とはいえ、いくつかのパラグラフでは、女性キャラの(あと、デレクも!)ハダカが拝めます。

犠牲者は全部で3人です。そのうち1人が、ヒロインのマーガレット嬢ですね。

ここで彼女にとって受難なのは、脱がされた後ですぐに服を着る機会がないということです。

展開によっては、彼女はすっぽんぽんのままで道なき道を歩み続けることになるかも。。

後の描写はあえて省いています(し、脱がされる展開を経ない読者もいるので、後の共通パラグラフで具体的な描写をすることができません)ので、続きは想像してお楽しみください。

目の前に全裸のメグが現れたときの、黒幕の顔を想像すると、ちょっと笑ってしまいますね。。。

 

・アカデミーの成績評価の欠点

王立魔術アカデミーでは、卒業試験の成績がその後の人生に大きく影響します。学歴社会なんですね。

ところが、この成績はどうやって決まるかというと、ゲームの展開上は、主人公の「知力レベル」が影響します。

在学中によく勉強したり鍛錬したりして知力レベルを高めておけば、優秀な成績で卒業することができ、アカデミーの教員として就職することも可能になるのです。

ところが、この「知力レベル」を高めることと、様々な魔術を習得することは、両立できません。

魔術の中には一定の知力レベルが必要なものもありますが、逆に覚えやすい魔術ばかり覚えていると、魔術師としては有能になっても、頭の方はさっぱり、ということになりかねません。

逆に知力レベルの高い学生は、魔術の習得つまり実技はそっちのけで、紙の上の勉強ばかりしてきた人ばかりということもありえます。

そんな人たちによってアカデミーが運営されているとしたら……なんか、現実世界にも似た皮肉を感じませんか?

 

こんなところでしょうか。

皆さんも、トリビアを見つけたらこっそり教えてくださいね。

「盗賊狩りの財宝迷宮」レビュー

 どうも、ちゃなです。

 

ソーサリアンTEXTに投稿してから、ブログはすっかりご無沙汰していました。

ゲームブック制作は続けていますが、ちょっと方向性を模索中です。

 

今日は神崎マコトさんの新作ゲームブック「盗賊狩りの財宝迷宮」を紹介します。 

盗賊狩りの財宝迷宮

盗賊狩りの財宝迷宮

 

 

構成は107パラグラフ、半双方向。システムはファイティングファンタジーシリーズ(技術点、体力点、運点の3パラメータ)を使用しています。戦闘システムも同様です。

 

主人公は若き盗賊。ある日、盗賊仲間である「早スリのベック」から不吉な話を聞かされます。そして、そして彼から聞いた見世物小屋で主人公が見たのは、大商人ウップルハックの財宝迷宮に忍び込んで囚われた、なじみの女盗賊「猫足のロミーナ」の変わり果てた姿でした……。主人公は復讐のため、財宝迷宮に挑むことになります。

この辺りのプロローグ部分はパラグラフが序盤に固めてあって、無料サンプル版でも楽しめるようになっている辺り、芸が細かいですね。

 

迷宮の中は双方向。つまり、行ったり来たりしながら様々な罠をくぐり抜けてアイテムを集めていくことになります。

 

主人公は序盤で盗賊「シロップ」と出会い、二人で攻略を続けます。迷宮に店を構える魔女から食料を購入したり、ロープを頼りに穴の中に降りて隠された宝箱を引き上げたり、といったシチュエーションは、往年のファイティングファンタジーを彷彿とさせます。

 

しかし本作はそれだけではありません。出てくる敵は「マダムスライム」「影斬り」「引きずり顔」など、一筋縄ではいかない強敵ばかり。罠にかかれば内臓を焼かれたりどろどろに溶かされたりと悲惨な最期を迎えることになります。

 

迷宮の構造はさほど複雑ではないのですが、踏破するためには、くまなく情報を集めた上で、正しいアイテムを順序よく使いこなす必要があります。

暗号や謎解きも登場します。

 

終盤に登場する、ロミーナを破滅させた元凶たる最強のモンスターは強敵です。

さらには、満身創痍となった主人公を嘲笑う、ウップルハックのどす黒い思惑。迷宮内で周到な準備を重ねていなければ、最後の最後で絶望の淵にたたき落とされるでしょう。

 

また、本作ではクリアルートが巧妙なミスディレクションで隠されています。例えば、選択肢を総当たりして本物の宝を手に入れたと思っていても、正しい情報がなければその先にあるもっと大切な宝を取り逃がしてしまったりします。ネタばらしになるので詳述は避けますが、この辺はゲームブック作成の王道を行っています。

また、作者が一番力を入れたという数々のバッドエンドも見どころです。死ぬより悲惨な目に遭うことも多いですが、シロップの意味深なコメントをはじめ、ちょっとした手がかりが得られることもあります。コンティニューシステムも実装されています。

 

私はひとしきり遊んだ後、全パラグラフのフローチャートを作ってみました。公開は控えますが、無駄のないすっきりしたパラグラフ構成で、チャートを見ると起承転結がはっきりと見て取れます。

 

文章は読みやすいですが、残虐描写が多いので、人を選びます。

ちょっと引っかかったのが、主人公の台詞です。シロップと口調が被るので、誰が喋っているのがわかりづらいところがところどころありました。

 

グロテスクな独特の世界観、107パラグラフを使い切った緻密な設計、一筋縄ではいかない登場人物達。とても完成度の高い作品でした。

制作したゲームブックをキンドルで読めるようにする方法

どうも、ちゃなです。

ゲームブック作家を始めて1年強。これまで短編3本、長編1本をキンドル個人出版しています。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

ソーサリアンTEXTに投稿した「災厄の夜 -テンペスト・ナイト-」もよろしくです。

www.web-deli.com

 

キンドルゲームブックとの相性については色々と言われています。

 

メリットはなんと言っても、パラグラフリンクが貼ってあれば、ワンタップで次の飛び先に移れることですね。

専用端末やスマホキンドルアプリを使って、電車の中でも片手で読めるのも嬉しいところです。

 

他方、冒険記録紙やサイコロといった、多くのゲームブックで必須のデバイスキンドルには標準装備されていないのが辛いところです。

また、パラグラフジャンプ(本文中に指示されていないパラグラフへの遷移)を行う際には、電子書籍でページを検索するよりも、紙媒体でのパラパラめくりの方が早かったりします。

 

私の作品では、これらの点を考慮して、パラグラフジャンプは極力避け、サイコロや筆記用具無しで楽しめる作品を上梓してきました。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

ところで、ゲームブックを作った後でキンドルで読めるようにする方法、ご存じですか?

リエーター目線では、これ、結構重大な問題だったりします。

 

キンドルの標準フォーマットはMobiファイルです。

このMobiファイルを作るには、アマゾンさんが無償提供している「Kindle Gen」「Kindle Previewer」を使うのが一般的です。

kdp.amazon.co.jp

 (※2018/9/22 リンク先を変更しました。)

 

ファイルをドラッグ&ドロップするだけで、Modiファイルに変換し、プレビューもできるという、シンプルなツールです。

 

一方、ゲームブック本体を作る際には、The GameBook Authoring Toolなどの専用ソフトを使って、フローチャートを確認しながら執筆するのが、やはりやりやすいです。

www.crumblyheadgames.co.uk

GBATは非常にシンプルで使いやすいのですが、以前紹介した通り、幾つかの欠点もあります。

chanagame.hateblo.jp

 

GBATは作品をパラグラフリンク付きのHTMLで出力してくれます。

ですから、これをそのままKindle Previewerで変換すれば、取りあえず出版の準備は整います。

ただ、正直ちょっと見栄えが悪いんですよねー。こんな感じです。

f:id:chanagame:20180118080152j:plain

上の画像は、拙作「ネイキッドサバイバー」の制作途上のファイルをそのまま変換してみたものです。

ネイキッドサバイバー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドサバイバー (ちゃなのゲームブック)

 

 

個人的に一番気になるのは、パラグラフ番号が算用数字であること。

 

そもそも、多くのゲームブック作品は、縦書きで提供されています。

これは既存作からの刷り込みかもしれませんが、数字がたくさん出てくる作品でなければ、縦書きの方がしっくりくるように思います。

そうすると、パラグラフはやっぱり算用数字でなくて漢数字の方がそれらしいですよね。

 

ところが、漢数字でパラグラフリンクを自動生成してくれるゲームブック作成ツールはほとんどありません。

私の知る限りでは、「GameBookCompiler」だけです。

www.vector.co.jp

(※2018/9/22現在、ダウンロードできなくなっています。)

 

こちらは日本発のゲームブック作成ソフトで、テキストデータを入れると、自動でパラグラフリンクを貼ってくれます。その際にパラグラフ番号を複数の書式から選択できるのが特長です。

 

ただ、このアプリは極めてシンプルな作りで、扱えるのはテキストファイルのみ、出力は原則としてHTMLです。

 

なので、私の場合、GBATで作ったパラグラフリンク付きHTMLファイルをわざわざメモ帳にペーストして、すべてのパラグラフを手作業で【】で囲み、それをGameBookCompilerでもう一度HTMLに直すという、ちょっと面倒くさい作業をやっています。

また、GemeBookCompilerはパラグラフシャッフル機能を標準装備しているのですが、この段階でシャッフルしてしまうと、GBATのファイルと内容がずれてしまい、後で内容を修正することが困難になりますので、この機能は無効にしておきます。(パラグラフシャッフルはGBATでも可能です。)

 

そうすることで、漢数字パラグラフのリンク付きHTMLファイルが完成します。

 

ここでもう一工夫。縦書きにしたり、イラストを入れたりする作業を行います。

さらに、最終的にKindle PreviewerでMobiに変換するには、電子書籍の標準フォーマットであるEpubを用いるのが一番相性が良いようです。

この作業を、私は一太郎で行っています。

一太郎2017 通常版

一太郎2017 通常版

 

特に一太郎でなければダメというわけではないのですが、最近の一太郎Epub関連の機能がかなり充実してきています。Kindle Direct Publishingでは目次の生成を推奨していますので、私はまだ試したことがありませんが、その点でも一太郎は使いやすそうです。 

sites.google.com

 

というわけで、ちゃな流のキンドルゲームブックができるまで。

(1)The GameBook Authoring Toolでゲームブックを制作し、HTMLで出力する。

(2)テキストデータに直して各パラグラフに【】を付し、GameBookCompilerでもう一度HTMLに置換する。

(3)一太郎で編集してイラストを付け、Epubで出力する。

(4)Kindle PreviewerでMobiファイルに変換して完成!

 

うーん、かなり非効率ですよね。。。

どこかの工程を飛ばせても良さそうなものですが。。

 

問題なのは、いざ出版した後で誤植などが発覚した場合です。

オリジナル原稿はGBATなのですが、GBATファイルをGameBookCompilier用のテキストに変える時に、かなり手を入れていますので、改訂のたびにその作業をするのはあまりにも大変です。なので、私は改訂のたびに、GBATファイルとGameBookCompiler用テキストファイル、そして一太郎Epubファイルのすべてを別個に修正するようにしています。

修正内容が軽微なものであれば、一太郎からの作業だけで改訂が可能ですが、リンクミスなどがあれば、GameBookCompilerでの変換作業からやり直しになります。

ちなみに、総パラグラフ数600の「デレクの選んだ魔法」では、この変換作業に3時間くらいかかります。パソコンがフリーズしたかと心配になるレベルです。

 

というわけで、編集者さんって大変なんだなあ、という話でした。