ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

ゲームブックにおける魔法の扱い方

どうも、ちゃなです。

昨年は色々と立て込んでいて執筆が滞りがちでした。本年は頑張ります!

 

さて、ファンタジー世界に欠かせない要素である「魔法」。

この不可思議な現象、人間の想像力の産物をどうやって表現するか、様々なメディアが数知れぬ試みを繰り返してきました。

TRPGだと、マジックポイントを消費してレベルに応じた強さの魔法を使えるというのが一般的でしょうか。D&Dのようにあらかじめ使う呪文をセットしておかなければならないシステムもあれば、「ビヨンド・ローズ・トゥ・ローズ」では「マジックイメージ」なる摩訶不思議なカードを組み合わせるというユニークなシステムを採用していました。

 

さて、ゲームブックでは、基本的にすべての処理を各パラグラフに紐付けしなければならないので、魔法の処理にも制約がかかります。主人公が魔法使いで、好きな魔法を自分の思い通りに操れるようなシステムを作るには、それなりの工夫が必要になります。

具体的にはどのようなシステムが採用されているのでしょうか?

 

魔法使用の処理に当たって考慮する要素として、次の3点があります。

 

(1)すべての魔法を開始時から使えるか?(開始時から覚えている/道中で習得)

これはストーリーと密接に絡む区分です。

主人公が魔法使いの場合、冒頭のルール説明の段階で使える魔法の一覧が掲載されている作品が多いです。ずらりと並んだリストを眺めていると、いかにも自分が魔法使いになったような気分になれますね。

一方で、開始時には魔法が使えず、冒険の途中で魔法を習得する作品もあります。なかにいは習得してはじめて魔法の存在を知るようなものも。。。

 

(2)魔法を使うためのリソースは何か?(体力点等のポイント/魔法ストック/無制限)

これはシステム上の大きな分かれ目になります。

大別すると、何度でも魔法を使えるけれどもそのたびに体力や魔力を消耗する作品と、魔法自体をストックしておいて一度使うと回復しない仕組みになっている作品があります。

また、少数ですが、そもそも魔力というリソースを読者に管理させていない作品もあります。

 

(3)魔法を使うための選択手段は?(選択肢/特別なシステム)

これはゲームブックフローチャートに関与する部分です。

多くの作品では、魔法を使える局面が限られており、選択肢の中から使いたい(使用可能な)魔法を選ぶという形式を取っています。

対して、自由度を上げたい、意外なところで魔法を使う発見をさせたい、といった理由から、選択肢以外の方法で魔法を使えるようなシステムを導入した作品もあります。具体的には、巻末に魔法使用マトリクスをつけたり、特殊なパラグラフジャンプの仕組みを取り入れたりといった具合です。

 

さて、これらの3要素をマトリクスにしてみましょう。(要素が3つなので本当は三次元ですが。。)

習得時期 使用タイミング 魔法を使うためのリソース
体力点等 ストック 無制限
最初から 選択肢 ソーサリー!シリーズ
ブラッドソードシリーズ
バルサスの要塞
サソリ沼の迷路
AD&Dシリーズ
 
システム パンタクル
T&Tソロアドベンチャー
途中で習得 選択肢

スーパーブラックオニキス

ゼビウス

魔力の杖 デレクの選んだ魔法
システム ネバーランドのリンゴ ドラゴンスレイヤー エンチャンタ

 

さて、やはりメジャーなのは、最初から数多く示される魔法の中からいくつかをピックアップして、そのストックでエンディングまで乗り切る形式のゲームブックでしょうか。「バルサスの要塞」と「サソリ沼の迷路」が二大巨塔ですね。富士見ドラゴンブックで公刊されたAD&Dの作品も、元々のAD&Dに倣ってストック制を採用しています。

この形式のゲームブックの長所は、なんといってもキャラビルドが楽しいこと。先の展開を予想して自分の好みの魔法をセレクトする過程がたまりません。体力点が低めだから体力回復の術を多めにピックするなど、ゲーム開始前から戦いが始まっているのです。またリプレイ性が高いのもメリットですね。

対して、このシステムだと基本的に道中に魔力が回復しないので、冒険が進むにつれてリソースが枯渇していき、終盤の盛り上がりに欠けるという欠点があります。キャラの成長要素とは相性が悪く、双方向作品には不向きと言えます。

 

続いて、最初から全ての魔法を使え、使用にあたり体力点等を必要とするシステム。こちらは「ソーサリー!」が金字塔ですね。ストック式と異なり、ゲーム開始時に魔法を取捨選択する必要はありませんが、同作では48種類もある呪文を把握しておく必要があり、別の意味で準備が必要です。回復手段を用意すればまた魔法が使えるようになるので、先細り感も少なくてすみます。さらに、消費体力点や必要アイテムなどを規定することで、魔法に多段階のレベルを設定することも可能です。

ただし、どの魔法が使えるかはあくまで選択肢次第なので、バリエーションが総パラグラフ数に依存します。魔法の数を増やしすぎると、使いたいのに使えない局面も出てくるでしょう。

「ブラッドソード」シリーズはその辺を割り切っていて、戦闘用の魔法は戦闘中に自由に使える(成功率は低いものの最強魔法も初戦から使用可能!)代わり、非戦闘時の魔法は特定されておらず、魔術師が行動宣言すると状況に合った魔法を勝手に選択する仕組みを採用しています。

 

主人公の魔法にフィーチャーするほど自由度が下がるというジレンマを克服したのが、「パンタクル」のシステムですね。本作では魔法の数を絞り、特殊なパラグラフジャンプ方式を採用することで、魔法を使える局面の自由度を極大化することに成功しています。

T&T のソロアドベンチャー作品には、魔法を使用した際の効果がマトリクス形式で記載されているものがあります。まあ、純粋なゲームブックというよりはTRPGサプリメントと考えれば、選択肢に載っていない魔法を使って読者が自分で処理を考えてもいいのでしょうけれどね。

 

一方、物語の途中で魔法を学ぶタイプの作品はどうでしょうか。こちらは2パターンあり、主人公が成長途上の魔術師か、ないしは魔法を専門にしていないかのいずれかが多いようです。

「エンチャンター」の主人公は魔法使いの見習いで、冒険中にいかに魔法を習得して次の道を切り開くかが大きなテーマとなっています。本作では独特なパラグラフジャンプを採用しており、どのタイミングで魔法を使うかのパズル性も重要な要素です。

拙著「デレクの選んだ魔法」もこのタイプに近いですね。ただし本作では、魔術を使うタイミングはパラグラフジャンプで隠してありますが、使える魔術の種類は選択式です。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

  • 作者:ちゃな
  • 出版社/メーカー: ちゃな
  • 発売日: 2017/10/13
  • メディア: Kindle
 

 

「スーパーブラックオニキス」では、主人公は専業戦士ですが、仲間の一人がアイテムを手に入れれば魔法を使えるようになります。基本的に戦闘補助のみで、魔法はどちらかというとオマケとして機能しています。 

魔法ではなく超能力ですが、「ゼビウス」もこのタイプ。ただし本作では開始時に1種類だけ超能力を習得でき、何を選んだかによって難易度が様変わりします。

 

ネバーランドのリンゴ」の主人公は猫妖精のティルトで、魔法の素質はあるものの素人です。その代わり道中にいくつかの魔法を学ぶチャンスがあり、さらに一度学んだ魔法はゲームオーバー時のリトライでも最初から使うことができるというコンピュータゲーム風のギミックを搭載しています。

 

ドラゴンスレイヤー」では魔法やアイテムの所持を、なんと本の該当ページを折ることで管理しています。主人公は序盤で手に入れたアイテムと交換にいくつかの魔法を授かり、戦闘中の攻撃手段として活かすことができます。

 

……いかがでしょうか?先人達は様々なシステムを開発してきたのですね。

さて、なんで私がこんなエントリを書いたかというと……それは、次回作「オクトシャードサーガ」の魔法システムをどうするかをまだ決めかねているからだったりします。

上の表中の★印が候補なのですが。。。どうぞお楽しみに!

マップ作成ツール2種:InkarnateとFlowScape

どうも、ちゃなです。

 

拙著「ネイキッドウォリアー」をバージョンアップしました。既にお買い求めいただいた方は追加料金なしでアップデートが可能です。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

誤植を直したほか、はじめてマップをつけました。辺境都市コンギットの地図です。

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この地図はInkarnateというウェブアプリで作成したものです。

inkarnate.com

 

ファンタジー世界に地図はつきものですよね。しかし、実際にマップを制作しようとするとハードルが高いのも確か。そういうニーズは結構多いらしく、今では様々なマップ制作ツールが市販されています。

Inkarnateはそのうちのひとつで、比較的安価で手軽に地図を作ることができる優れものです。

ちなみにこちらの書籍に紹介されていました。 

 

Inkarnateは基本的にウェブブラウザ上で作動します。地形を描いて、あらかじめ用意されているオブジェクトを次々と配置していくだけの簡単仕様です。

無料版でもそこそこのものが作れますが、月5ドル、または年25ドル支払うと、使えるオブジェクト数が格段に増えて、商用利用も可能になります。

 

もうひとつ、正確にはマップ作成ツールではありませんが、最近リリースされて話題沸騰中なのがこのソフト。

store.steampowered.com

 

FlowScapeは3Dレンダリングされたオブジェクトを自由に配置できる箱庭作成ツールです。1500円くらい。商用利用も可と著作者が述べています。有り難いですねー。

さっそく、次回作で登場するシーンをいくつか作成してみました。

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キャプチャで静止画として使うよりも、起動させたまま木々のざわめきや動物の動きを楽しむのが本来の使い方のような気もしますが。。

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こういう想像の広がるツールが簡単に使えるようになったのはとても助かります。

あとはキャラクターメーカーが欲しいところですね。。。

The Naked Warrior English Edition released!

Hi, I am Chana, a gamebook writer.

 

I have released some gamebooks via Kindle Direct Publishing in Japanese. I believe many readers enjoy adventures with my works.

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

Recently, I translated my first work "The Naked Warrior" into English, to release it. And, it is on sale now!

The Naked Warrior English Edition

The Naked Warrior English Edition

 

 

You can read it with your Kindle, Kindle apps via iOS or Android, as well as Windows PC. It costs only 0.99 USD.

 

"The Naked Warrior"  is an interactive novel whose theme is fantasy. Despite its suggestive title, the story is quite serious. The plot is not a joke! You will understand why the protagonist had to expose her birth skin to the public.

 

This gamebook is composed of a total of 100 sections. You have to choose a way to proceed instead of the protagonist in each paragraph. Your choice will make the fate of the lady warrior!

 

The Naked Warrior has five good endings and several bad ends. Therefore, you can play it repeatedly pursuing more favorite endings.

 

So, welcome to Chana's world!

 

(This gamebook was constructed using The Gamebook Authoring Tool. The map included in this book was drawn with Inkarnate. Thanks!)

ゲームブックにおける選択肢あるある

どうも、ちゃなです。

 

ゲームブックには、「正解の選択肢」があります。となると、誰しもファーストプレイでのクリアを目指してみたいもの。正しい選択肢を選ぶためのコツを紹介します。

 

・「扉を開ける」か、「通路を進む」かの選択肢では、「扉を開ける」が正解。

単方向の作品でありがちです。扉を開けた先が袋小路の部屋だった場合、部屋を捜索してアイテムをゲットしたうえであらためて通路を進むことができます。

 

・行き止まりっぽい道を選ぶのが正解。

これも上と同様です。行き止まりで戻らされることにより、余計にアイテムを入手できます。当然ながら双方向作品には通用しません。

 

・一番最後の選択肢が正解。

作者としては、最後まで読んでほしいという思いがあるので、重要で突拍子もない選択肢は最後に配置しがちです。

 

・初めて会う相手に対しては、友好的な選択肢が正解。

8:2くらいかなー。大体の作品では主人公は善人なので、むやみに喧嘩を売ったりはしないものです。いきなり襲いかかるのが正解になる場合、作者は敢えて裏をかいて制作しているのでしょう。

 

・とりあえず試してみるのが正解。

まあ、主人公は冒険者なので、何でも手を突っ込んでみますよね。あと、ぶっちゃけ試してみて罠だったら結果がすぐわかるので選び直せば良いだけの話だったりします。そういう選択肢はちょっとしたアクセント付けのために作られることが多いです。

 

・2つのアイテムを選ぶ場合は、地味な方が正解。

「どちらか一つだけ持っていって良い」という展開がゲームブックではよくあります。でもこれ、現実的にはちょっとおかしいんですよね。なんで両方とも奪ってはいけないのか。。。作家目線だと、こういう選択肢を作るのは、読者を罠に掛けようとする場合が多いです。なのでここは裏をかいてみましょう。

 

・金貨を選んではいけない。

報酬として金貨かアイテムかを選択するような場合には、そこでしか入手できないアイテムを選ぶのが定石です。「真の道」を通れば、金貨は大抵余ります。

 

・魔法かアイテムを使う場合は、アイテムが正解。

バルサスの要塞」のような魔法使いが主人公の作品では、ゲーム開始時から習得できる魔法よりも、シナリオ中で入手したアイテムの方が強力というのが相場です。迷わずアイテムを選びましょう。ただしトラップアイテムにご用心。

 

・魔法やアイテムを選べるのに白兵戦を選択してはいけない。

白兵戦は最後の手段です。

作家目線では、作中で手に入れたアイテムを駆使して倒すのが本筋で、サイコロの出目が良ければ勝てるかもしれない白兵戦は、アイテムを入手できなかった読者への救済手段という意味合いなのです。

 

・正解の選択肢が見つからない場合、次のページを見落としている。

2つの選択肢でページが終わっていて、実は次のページに第3の選択肢があった、なんてことがありますよね。紙の書籍の場合、変なところでページが切れないように、小さなイラストを入れてあることもありました。リフロー型の電子書籍ではそれができないので、各パラグラフの最後に何かの記号を書いておくことが多いです。でも、気づかないんですよねー。

 

いかがでしょうか?

まあ、冗談半分にお読みいただければ。。。

ソーサリアンTEXTでキングドラゴン戦!

どうも、ちゃなです。

 

往年の名作コンピュータRPGソーサリアン」の世界観を電子ゲームブックで表現した有志サイト「ソーサリアンTEXT」。

現在、22作品がプレイ可能となっています。

ちゃなも2作品寄稿しています。

www.web-deli.com

 

実は今、原作のラスボス戦をモチーフにした連作「ドラゴンモード」がクライマックスを迎えているところなんです。2019年7月26日に最終ボス「キングドラゴン戦」の前編が公開されました!

ドラゴンモードの各シナリオに挑むにはいくつかの条件をクリアしなければならず、さらに最終シナリオの開放条件はドラゴンモードの全シナリオのクリアとなっています。つまり最終シナリオ「終末の双王」をクリアしたあなたこそ、ソーサリアンTEXTマスター!

ここでいち早く「終末の双王」前編をクリアした私が、あらためて各シナリオをざっくり紹介してみたいと思います。

 

シナリオ1「新・消えた王様の杖」(253シーン)

ソーサリアンTEXTのシステムを使った色んな仕掛けが施されている、チュートリアル的存在……なのですが、実はこのシナリオ、結構長い!本サイトの仕組みを理解しつつ、何回かに分けて挑んだ方が良いかもしれませんね。

 

シナリオ2「ゼロの創造」(160シーン)

オープンフィールド、シティ、ダンジョン、戦闘と基本要素を押さえ、日本ファルコムの名作「イース」につながる壮大なプロットを描いた作品です。完成度は本サイトで随一ですね。

 

シナリオ3「プレアオブ・ドールズ」(24シーン)

選択肢のほとんどない、実質ノベル作品です。人形のこころをテーマにした幻想的な世界観で、優しい気持ちになれます。

 

シナリオ4「災厄の夜-テンペスト・ナイト-」(125シーン)

拙作です。原作ソーサリアンの場面をちりばめて、原作における七星魔法のシステムをフローチャートに組み込みました。選択肢によるデッドエンドはほぼないので、クリアするだけなら非常に簡単です。

 

シナリオ5「少女は英雄を語りて」(339シーン)

本の世界を旅するお話。長編ですが、起承転結がはっきりしていてサクサク進みます。

 

シナリオ6「鉄腕の吸血姫」(39シーン)

ヴァンパイアをテーマにした短編。バッドエンドはありませんが、最後に究極の選択が……

 

シナリオ7「その名はドラゴンスレーヤー」(625シーン以上)

完全双方向の超大作。戦闘が主体で、大幅にルールが拡張されています。全5部構成で現在は第3部まで公開されています。

 

シナリオ8「ラミディアの魔法使い」(168シーン)

ロマンシアをモチーフにした短編。黎明期のアドベンチャーゲームを彷彿とさせますね。攻略は意外と手強いです。ラスボスの倒し方がまた面白い。。。

 

シナリオ9「わたしの猫を探して」(25シーン)

タイトル通りのコミカルなシナリオです。ボリュームは最小ですが、町の人の反応は意外にコロコロ変わりますよ。

 

シナリオ10「魂の選択」(30シーン)

謎の幼女とともに旅をするお話……なのですが、隠しフラグ(パラメータによる分岐?ランダム?)が仕込まれるようで、思わぬ展開に導かれることも。。。紙のゲームブックでは再現不能な気まぐれシナリオです。

 

シナリオ11「戦国ソーサリアン外伝・上杉謙信の章」(48シーン)

原作の戦国ソーサリアンの裏話とも言えるシナリオ。短編ですが、歴史背景はがっつり押さえられています。

 

シナリオ12「ソーサリアン性格診断占い」(30シーン)

種族、性別、年代を指定するとあなたの本性を言い当ててくれるという異色のシナリオ(?)。アイデアの勝利ですね。

 

シナリオ13「トラベラーズ☆イン」(30シーン)

原作ではシナリオ終了後に訪れる宿屋の幕間をモチーフにした作品。博打や暗号解読などのギミックが詰め込まれています。

 

シナリオ14「終焉のゼロ-ドラゴンモード0-」(51シーン)

味方勢力を引き連れてペンタウァまで逃げ延びるというタワーディフェンス系シナリオ。運と判断力が勝敗を分けます。

 

シナリオ15「常闇から来たる影」(70シーン)

原作シナリオ「盗賊たちの塔」の後日談的シナリオ。シャドードラゴンが立ち塞がります。NPCの活躍っぷりに目を見張ります。アナザーエンドもまた趣があります。

 

シナリオ16「裏切り者の流儀」(33シーン)

期限までに情報を集めないと真の裏切り者は見つかりません。初見でクリアするのは非常に難しいでしょう。でも、外れの選択肢にもそれぞれニヤリとさせられます。

 

シナリオ17「黄泉へ送るレクイエム」(68シーン)

原作「暗黒の魔道士」の後日談。NPCブルードラゴンの新解釈など、とても美しくまとまったシナリオです。反面、フローチャートはデッドエンドが多く結構ハードコアになっています。

 

シナリオ18「金竜の陰謀」(64シーン)

拙作。前半は転職を駆使して町を探索。後半はゴールドドラゴンとの決戦です。

 

シナリオ19「時を越えた協力者」(53シーン)

いわゆるループもので、何度も巻き戻されながらゴールを目指します。協力者のことを考えるとちょっと切ない気持ちになりますね。。。

 

シナリオ20「ドラゴンネゴシエーター」(39シーン)

ドラゴンを倒すのではなく和平を目的とする異色のシナリオ。短編ですが、手順を間違えると詰みます。エンディング後に明かされる真相は実にウイットが効いています。

 

シナリオ21「怪竜奇術のソーサリアン・アパート」(30シーン)

紹介文から察するにどうやら現代もののようですが、現在公開待ちになっています。

 

シナリオ22「終末の双王-ドラゴンモード-」(シーン数未定)

キングドラゴンとの最終決戦に赴くソーサリアン。前編ではこれまでのシナリオとのつながりが丁寧に描かれています。戦いはまだ始まったばかりです。

 

いかがでしょうか?

 

いよいよ来月、ドラゴンモードも完結に向かいますね。22作品というとなんとあの「マーベル・シネマティック・ユニバース」の作品数にも匹敵するじゃありませんか!こんなプロジェクトに関わることができて、私もつくづく幸せです。

是非プレイしてみてくださいね!

感情を揺さぶるゲームブック

どうも、ちゃなです。

芸術って、人の心を揺さぶるものですよね。美しい写真を見て心をときめかせたり、悲しいドラマに涙したり、悪逆非道なヴィランの振る舞いに怒りを覚えたり。優れた作品であればあるほど、受け手は感情移入してしまうものではないでしょうか。

 

ゲームブックはエンターテインメントであると同時に芸術作品でもあります。そのうえ、ゲームブックでは読者が作中人物になるわけですから、没入感は普通の小説や映画以上のはず!

 

……と思ったら、ゲームブックで感情を揺さぶられたことって、いざ思い返してみると意外に少ないかなあ。映画とかだとすぐ泣いちゃうんですけどね。。

なんでなんだろうと考えたのですが、私の場合、主人公に感情移入するよりも、パズル性に注意が向いてしまうのかもしれません。「私だったらこうする!」という選択ではなく「きっとこの選択肢がベストエンドだ!」というメタ的視点が入ってしまうんですね。

皆さんはどうでしょうか?

 

さて、今回は私が体験したゲームブックの中から「喜怒哀楽」各々について、一番こころを揺さぶられた作品をご紹介します。

 

「喜」モンスターの逆襲

 グループSNE山本弘先生の名作。氏の作風はずばり「モンスター視点」と「エロ」。本作は人間のパーティに殺されたモンスター一家の生き残りの復習譚。なので前半は怒りにまかせて進んでいくのですが、終盤にどんでん返しが待っています。とあるルートを通ってエンディングに進むと、人間とモンスターが殺し合わずに済む未来を垣間見ることができるのです。このカタルシスはなかなかのものでした。もちろんサービスシーンもありますよ(笑

 

「怒」Eye of the Dragon

www.amazon.co.jp

イアン・リビングストン氏によるファイティングファンタジーシリーズの一冊で、以前リプレイを書きましたね。同名の作品をデイヴ・モーリス氏も書かれているのでお間違いなきよう。本作のラスボスには本当にむかついた!チンケな陰謀を企てていくつもの命を奪おうとする小悪党で、しかも弱い。。。倒した後の爽快感もひとしおでした。氏の作品の敵キャラは憎めないのが多い気がするので、ちょっと新鮮でしたね。

 

「哀」竜の血を継ぐ者

竜の血を継ぐ者

竜の血を継ぐ者

 

 以前もご紹介しましたが、本作は古川尚美先生がナムコアーケードゲームゲームブック化した「ドラゴンバスター」を中川竜都先生がさらに翻案したものです。主人公を女性に変更して、ロマンスあり裏切りありのドラマティックな展開が繰り広げられます。マルチエンディングの一つはとても切なくて、今でも涙なしには読めません。

 

「楽」ふたご島からの脱出

ふたご島からの脱出 少年は戻りたいと思った。少女は救いたいと願った。 (脱出ゲームブック)

ふたご島からの脱出 少年は戻りたいと思った。少女は救いたいと願った。 (脱出ゲームブック)

 

SCRAPさんの脱出ゲームものの中からこちらをチョイス。とにかく謎がいっぱいで、一つ解くたびにストーリーが進んでいくのが純粋に楽しくて、時間を忘れてしまいます。ただの謎解きではなく、クロスオーバーする二人の主人公の行動を見極めるのがまた楽しい!他作品と違ってホラー要素があまりなく、怖いのが苦手な人も安心です。

 

他にも感情を揺さぶられるゲームブックといえば、「展覧会の絵」と「送り雛は瑠璃色の」は外せません。喜怒哀楽に当てはめるのは難しいのですが……前者はとにかくエンディングに感動、後者は名状しがたき気持ちを引き起こされました。

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

展覧会の絵 (アドベンチャーゲームノベル)

 
送り雛は瑠璃色の

送り雛は瑠璃色の

 

 

今回は感情を揺さぶられるゲームブックでした。ではまた。

「サイボーグを倒せ」チャート解析 その4

どうも、ちゃなです。

 

フローチャートを解析してゲームブックを丸裸にしてしまうシリーズ第10回、スティーブ・ジャクソン先生の「サイボーグを倒せ」。今回で最終回です。エンディングまで攻略しますのでネタバレご免ください。

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 「電撃」が得意な主人公であれば、虐殺鬼と戦って、恐怖結社の会議が始まる時刻についての情報を得ておきましょう。「思念力」は虐殺鬼には効きません。ちなみにこいつは技術点が12もあるので、「超技術」でも勝利は覚束ないところですし、たとえ勝てても後で詰むことになります。

 

では「超技術」の使い手はどうしたら良いかというと、難敵「大頭脳」との戦いが待っています。こいつは主人公と同じく遺伝子操作で生まれた怪物で、強力なテレパシー能力を持っています。「思念力」で戦いを挑もうものなら、主人公と違ってたっぷり休養を取っているという理由で制圧されてしまいます!また、「電撃」や「超体力」で挑んでもバッドエンド。「超技術」しか大頭脳を倒せる道はないのです。テレパシーは電撃や物理攻撃を圧倒するけれど、ジャマーに弱い。なかなかよくできた展開ですね。。。

 

そして最後のイベント、大統領暗殺事件です。あらかじめ犯人の狙撃場所を知っていなければ食い止めることはできません。またここでポイントなのは、犯人に電撃を浴びせてはいけないということ。被害が拡大してしまいます。

なおこの事件、作中で最悪の事件の割には、ゲームクリアにはまったく関係ありません。

 

そしてなんとここで初めてすべてのルートが一つに収束します。

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最後は、恐怖結社の会議に乗り込んで敵の首領ウラジミール・ユトシュスキーを打ち倒さねばなりません。しかし、主人公はいつどこで会議が行われるかを知っているでしょうか?主人公の超能力によって、会議の行われる場所も時間も異なります。ジェット機の中だったり、場末のクリーニング店だったりと様々です。展開によって今日の日付も変わってしまうのが面白いですね。。。

 

首尾良く会議場に乗り込んでも、敵はチタニウム・サイボーグ。技術点18、体力点20という、バルサス・ダイアも真っ青な豪腕を誇る上に、ダイス目をズルしても結局ひねり潰されてしまいます。

それを防ぐために必要なのが、「回路妨害器」。これ、もうちょっとかっこいい名前はなかったんでしょうか……?原文ではCircuit Jammerで、まあ直訳なんですけどね。。

 

弱体化したボスを見事打ち倒すことができれば、英雄点10点をもらってエンディングです。

ちなみにこの最終決戦をし損じると、ペンタゴン保有する衛星「スター・ウォーズ」を乗っ取られてタイタンシティは灰燼に帰すことになります。アメリカ、ヤバすぎです。。。

 

はい、お疲れ様でした。

細切れにしてしまうとわかりづらいですが、ゲームクリアのためにはいくつかの手がかりと「回路妨害器」を入手することが必須となっている本作は、行き当たりばったりでプレイしてもまずクリアできません。見た目に反して不自由な作りになっているのは賛否が分かれそうですね。ファイティングファンタジー初のスーパーヒーローものということで、もっとおおらかな構成にしても良かったのではないかと当時は感じたものです。でもまあ、ジャクソン氏は、ただ並み居る敵を倒して終わりではなく、攻略しがいのある作品に仕上げたかったのでしょうね。

 

その後、ヒーローもののゲームブックもちらほら見かけるようになりました。

魔人竜生誕 (幻想迷宮ゲームブック)

魔人竜生誕 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

あと、個人的には「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」なんかは、すごくゲームブック向きの作品だと思います。衝撃のエンディングに至るまでには数多の選択があり、どこで誰が違う道を選んでも、未来は大きく変わっていたでしょう。。 

 

お付き合いいただきありがとうございました!