どうも、ちゃなです。
ちゃなの新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」お楽しみいただけていますでしょうか?販促エントリもこれで多分最終回です。
作品を執筆していると、筆が乗ってきて、新しい設定を入れたくなる、なんてことはよくあります。とびきりのアイデアになることもあれば、不発に終わることもあります。場合によっては、書き加えた後で矛盾が発覚して大変な目に遭うことだってあります。
登場人物のいでたちや所作をあらかじめ事細かに設定した上で執筆を始める先生もいらっしゃると思います。私は最低限の路線を決めておいて、あとは筆に任せてしまうことが多いです。なので、途中で書き直したり、何度も読み直して整合性を取る必要が出てきます。効率は下がりますが、執筆過程自体が驚きに満ちたものになるというメリットが大きいですね。
舞台設定も同様です。特にゲームブックでは、特定の読者しか読まない文章が多いので、小説に比べてお遊び的な設定を入れやすいんです。代表的なものがデッドエンドパラグラフですね。
そんなわけで、作品が完成してから改めて見返してみると、「これってこういうことだったんじゃ……?」という事実に、作者自ら気づかされることも、ときどきあることなのです。作者としても新鮮な驚きです。
「裏設定」ではなくて、あくまでも読者目線での深読み。
今回は、そんなトリビアをいくつかご紹介したいと思います。
(ネタバレというほどではありませんが、若干のヒントになり得ます。)
・メグは実は不器用?
本作ヒロインのメグ(マーガレット)・ミリオン。聡明で気立てが優しい、正統派のヒロインです。彼女はデレクより1歳年上ですが、休学していたため、デレクの同級生としてアカデミーで2年間をともに過ごします。
そんなメグのことですから、勉強はさぞできたのだろうと思いますが……。
実は彼女は、アカデミーで習得できる8種類の魔術のうち、「治療の術」しか習得していません。
もともと彼女は魔術師志望ではないので、あえて魔術の習得に時間を割かなかった、とか?
でも、本文中で、メグは「召喚の術」と「思念の術」の講座に参加しています。
結局習得できなかったのでしょうか。
勉強は得意で、成績もダミアンより上でしたが、意外に不器用だったのかもしれません。。。
・カストロ教授の銀ローブ
召喚の術者であるカストロ教授は、銀のローブを羽織っています。
銀ローブといえば、王立魔術アカデミーを首席で卒業した生徒に送られるもの。
カストロ先生がアカデミーの出身かどうか、本文に描写はありません。また、15歳のときにもらったローブをそのまま何十年も着続けているというのも無理のある話です。
だとすると、カストロはアカデミー首席卒業を今でも誇りに思っていて、自ら新調した銀ローブを好んで着るようになったのでは?
天才肌でプライドの高そうな彼のこと、そんな行動を取っていても、不思議ではない気がします。
・デレクがジェフ・ベゾス氏に?
本編には無数のバッドエンドがありますが、なかには正式なエンディングより幸せそうなものもあります。
「豪商エンド」もその一つ。魔術師を続けるのを諦めたデレクが商人に転向して巨万の富をつかむという展開です。
でも、このときデレクが思いついた内容をよく見ると……どこかで聞いたことがありませんか?書籍の配達、レストランのユーザーレビュー、労働者と仕事のマッチング、航海者への資金援助、出版社の買収……。
・本文に「?」が出てこない理由
本編を初めて読んだ方の中には、会話などの描写が若干抑えめに感じた方もいるかもしれません。
それは、本文中に「?(クエスチョンマーク)」がほとんど出てこないからです。
このことには特別な理由がある(本編を読んでいくと明示されます)のですが、そうでなくても、私は小説などを書く際に意図的に「?」「!」を禁じ手にすることがあります。
実際に書いてみるとわかりますが、こういった符号を使わないと、途端に会話が書きづらくなります。普段どれだけ符号に頼っていたかを思い知らされるんですよね。
文章力の鍛錬のために、あえて縛りを加えてみるのも良いかもしれません。
・サービスシーンはご想像にお任せします
本作はネイキッドシリーズとは異なり、残念ながら(?)お色気シーンはほとんど出てきません。
とはいえ、いくつかのパラグラフでは、女性キャラの(あと、デレクも!)ハダカが拝めます。
犠牲者は全部で3人です。そのうち1人が、ヒロインのマーガレット嬢ですね。
ここで彼女にとって受難なのは、脱がされた後ですぐに服を着る機会がないということです。
展開によっては、彼女はすっぽんぽんのままで道なき道を歩み続けることになるかも。。
後の描写はあえて省いています(し、脱がされる展開を経ない読者もいるので、後の共通パラグラフで具体的な描写をすることができません)ので、続きは想像してお楽しみください。
目の前に全裸のメグが現れたときの、黒幕の顔を想像すると、ちょっと笑ってしまいますね。。。
・アカデミーの成績評価の欠点
王立魔術アカデミーでは、卒業試験の成績がその後の人生に大きく影響します。学歴社会なんですね。
ところが、この成績はどうやって決まるかというと、ゲームの展開上は、主人公の「知力レベル」が影響します。
在学中によく勉強したり鍛錬したりして知力レベルを高めておけば、優秀な成績で卒業することができ、アカデミーの教員として就職することも可能になるのです。
ところが、この「知力レベル」を高めることと、様々な魔術を習得することは、両立できません。
魔術の中には一定の知力レベルが必要なものもありますが、逆に覚えやすい魔術ばかり覚えていると、魔術師としては有能になっても、頭の方はさっぱり、ということになりかねません。
逆に知力レベルの高い学生は、魔術の習得つまり実技はそっちのけで、紙の上の勉強ばかりしてきた人ばかりということもありえます。
そんな人たちによってアカデミーが運営されているとしたら……なんか、現実世界にも似た皮肉を感じませんか?
こんなところでしょうか。
皆さんも、トリビアを見つけたらこっそり教えてくださいね。