ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

「デレクの選んだ魔法」制作裏話 その4 キャラクター

どうも、ちゃなです。

「デレクが選んだ魔法」制作の舞台裏、今回はキャラクターについてです。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

なお、本稿に重大なネタバレはありませんが、まったく予備知識なしでプレイしてみたいという方は閲覧をお控えください。

 

主人公は、デレク。初登場時は12歳の少年で、ちょっと腕白で悪戯好きなところのある農家の息子です。それが時を経て魔術師として大成するのですから、その半生の間には多くの出会いと別れがあったはずです。

 

まずは、デレクの伯父であり、王立魔術アカデミーの教授であるラスター。若くしてアカデミーで上り詰め、デレクを魔術の道に引き込んだ張本人ですから、相当我が強い人物のはずです。自分の信念を果たすためなら周囲との摩擦も厭わない、端から見ると少々我が儘な人物にも映るでしょう。しかし、本作の陰の主人公とも言えるラスター、それだけでは収まりません。登場シーンも多いので、読者の皆さんは本作のそこかしこで、ラスターの色んな面を見ることでしょう。ラスターとのつきあい方をどうするかが、デレクの運命を分けることにもつながります。

 

では他の教授陣はどうでしょうか。

とにかく8人もいるのですから、読者が混乱しないように特徴付けしなければなりません。

私がまず心がけていることは、似たような名前を避けることです。具体的には、最初の文字を重複させないようにしています。アイリス、カストロ、サイフリート、ツルニコフ、ナンシー、パトリシア、ユーゲン、ラスター。見事に全員イニシャルが違うでしょう?

年齢的には、サイフリートとパトリシアを特に高齢に設定しました。ただ、この時代の平均寿命を考えると、30代のラスターでもそこそこ長生きの領域です。他の教授陣も大概年齢不詳ですね。

特にサイフリート学長は、重要なキャラなので、禿頭でテレパシー使いの人格者という「プロフェッサーX」風を裏切る意味も込めて、マッチョな武闘派、しかし口調はとぼけ老人というミスマッチを作りました。

ナンシーとアイリスのキャラが被ってしまったので、アイリスは男口調にしました。

カストロはラスターとの差別化のため、口調を丁寧語にしました。なんかフリーザみたいになってしまいましたが。。。

 

続いて、アカデミーの同級生です。

ヒロインはやっぱり必要ということで、メグというキャラを最初に作りました。あくまでも本作はデレクの成長譚なので、ヒロインに過剰な個性は要りません。正統派美少女で気立ても優しく、でもやるときはやる、そして出自には陰があって……と、割とお約束を守った設定になりました。

ちなみに彼女の父親、ミニッツ・ミリオン男爵の名前は語呂だけで決めました。

ダミアンは、よくあるいじめっ子的役回りなのですが、物語終盤では彼も立派な青年なので、その心の成長も描かれねばなりません。本編ではなかなか見せ場がなく、不遇な立場ですね。でも、活躍することだけが格好いいことではないと言うことを彼は教えてくれます。とあるシーンで主人公がダミアンに感謝を表するところがあるのですけど、それはちゃなからダミアンへの慰労の言葉でもあります。

 

前作とのつながりとして、「ネイキッドチェイサー」に登場したブレイガス伯爵を登場させようというのは早いうちに決断していました。「チェイサー」ではある理由で主人公の敵に回りますが、本作での伯爵はとにかく有能で畏れ多く、デレクにとっては厳しい世間の象徴的存在です。書いてる時は「スター・ウォーズ」シリーズのパルパティーンを想像していました。まあ、名前も同作のダース・プレイガスからいただいたのですが。。。

当初はコンギットのミザール公も名前だけ登場させる予定だったのですが、ミザール公はネイキッドシリーズの20年前には多分まだその地位に就いていなかったと思われるので、急遽レナード公に変更しました。この変更は推敲も終盤に入ってからのことです。

 

次回に続きます。

「デレクが選んだ魔法」制作裏話 その3 魔術

どうも、ちゃなです。

新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」の宣伝を兼ねて、その制作の舞台裏を紹介していきます。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

本作には、全部で12種類の魔術が登場します。

以前に書きましたが、一つのゲームブックで扱える魔術の数は、12種類が限界に近いと思っています。

バルサスの要塞」も「サソリ沼の迷路」も12種類、「ソーサリー!」は4部作で全48種類。奇妙な符合ですね。

 

そこで、12種類というのは決めておいて、あらゆる魔術的現象を12種類に分別するにはどうしたら良いかを考えていきました。

 

まず、すべての事象を操るとなると、「時間」と「空間」は外せません。なにしろ「ネイキッドチェイサー」ではサー・デレク自ら空間の術を操っています。

それから、物理法則へ干渉する魔術体系があります。攻撃呪文として絵的にも魅力のある「火炎」と「氷結」。もう一つ、「ネイキッドウォリアー」でサー・デレクが稲妻を放つシーンがあるので、「稲妻」もやっぱり入れないといけません。

あとは、人間の欲望を考えた場合、「治療」は必ず魔術のテーマになります。その反対属性として「衰弱」も採用しました。

それから、空を飛んだり、手に触れずにものを動かしたりと、色々楽しめるということで、「念動」も欲しいところです。

ネイキッドシリーズでは、異界の悪魔が召喚されて大騒動を引き起こすというテンプレートがあります。したがって、「召喚」も必要です。

残りは少々迷いました。「思念」はファンタジーのみならずサイキックものでも定番の超能力ですが、効果が強すぎるとこれ一つで何でもできてしまいます。「幻影」もファンタジーゲームでは採用率の高い魔法の一つです。

「召喚」の反対属性として「解除」を考えたのですが、カウンタースペルというのはゲームブックでは結構使いづらいんですよね。主人公が魔術の使い手と対峙する機会はそうそうありませんし、出たら出たで解除を使えないとデッドエンドになりがちです。本編の制作過程でも、解除の術を使えるシチュエーションをどう調整するかが大きな課題でした。

最後まで迷ったのは、予知とかお告げの類です。読者が判断に迷う局面でヒントを差し上げるという点で非常に使いやすいのは確かなのですが、現実に影響を及ぼさない魔術のために1枠を割くというのはちょっと勿体ない気がして、結局採用を見合わせました。

 

こんなわけで、12種類の魔術は、ちゃなの感性というよりはむしろ論理的に決めていったのです。

続いて、この魔術同士の関係性を考察する作業に入りました。この過程は、「デレクの選んだ魔法」のプロットの根幹に関わる部分です。ここが決まると同時に、魔術の習得方法やダンジョンの構造など、幾つかの大事な要素が連鎖的に決まっていきました。

 

さらに次回に続きます。

「デレクの選んだ魔法」制作裏話 その2 ストーリーライン

どうも、ちゃなです。

新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」制作裏話の続きです。

重大なネタバレはありませんのでご安心を。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

以前にもご紹介しましたが、本作は「魔法の王国」3部作の影響を強く受けています。

同作では「母を亡くした主人公カー・デリングが叔父の治める魔術学校に入る」など、「デレクの選んだ魔法」のプロットと相当の類似点が見られます。

chanagame.hateblo.jp

 

実際には、私は同作を随分前にプレイしたきりで、ほとんど内容は忘れていたので、特別オマージュとかパロディ的な考えで「デレクの選んだ魔法」を執筆していたわけではありません。プロットが確定して清書を開始した頃に、「魔法の王国」を古本で買い直して再読して、存外似てしまったのでちょっとビックリしました。どうやら、私の意識下には結構ストーリーラインが残ってしまっていたようです。

 

本作には色んな事件が出てきます。デレクが自ら解決するものもあれば、傍観者的立場の展開もあり得ます。

当初の制作メモには、こんなエピソードのネタが書いてありました。

・究極の魔術:何かを得るためには、何かを失う

・「聖者の血」事件

アバドン復活作戦

……はい、完成作にはまったく採用されていませんね。

そんなわけで、ストーリーはかなり紆余曲折しました。

 

ただ、とにかく主人公が最初は12歳の少年である以上、その成長を描く必要がある。

このことだけはずっと意識していました。

前半は学園ものっぽい雰囲気がありますが、後半では一気に権謀術数渦巻くアダルトな展開になります。

王都を巡る複雑な人間関係の中で、デレクは自身と組織と社会、そして魔術との関係性について自分なりの答えを導き出すことになるのです。

 

次回に続きます。

「デレクの選んだ魔法」制作裏話 その1 着想

どうも、ちゃなです。

新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」お楽しみいただけていますでしょうか?

ネイキッドシリーズに比べて6倍以上のボリューム、お値段も5倍近くなってしまいましたが、是非お手に取っていただければこの上ない幸せです。

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

 

本作は、「ネイキッドウォリアー」と同じ世界観で、20年前の時代を描いた作品です。主人公はネイキッドシリーズ皆勤賞のサー・デレク……と言いたいところですが、実は作中で「デレク」と「サー・デレク」が同一人物だとはどこにも示されておりません。作品に明示されていないところは基本的に読者の想像にお任せなのがちゃなのポリシーです。(例えば、ネイキッドシリーズの主人公「名もなき女戦士」が全作同一人物かどうかも、読者の解釈次第です)是非脳内補完してお楽しみください。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

前作「ネイキッドチェイサー」では、あとがきにも書いた通り、シリーズ最終作とすることを決めていました。「主人公であるうら若き女戦士が素っ裸にされているシーンから始まる」というお約束を合理的に満たすシチュエーションは、実は他にもいくつか考えていたのです。でも、さすがにマンネリが過ぎるだろうと思ったのと、微エロ路線から少し離れて純粋なファンタジーゲームブックとしてがっつりした作品を作ってみたいと考えたのです。

ネイキッドチェイサー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドチェイサー (ちゃなのゲームブック)

 

 

次回作のテーマを「魔法」にするということは、当初から決めていました。3作品続けて戦士が主人公なので、次は当然魔術師でしょう!それに、私にとって、やっぱり魔法というのは特別な響きがあります。「バルサスの要塞」は最近でもリプレイしたほどの思い出の作品ですし、いつかは「ソーサリー!」を超える作品を作ってみたいという思いもありました。

 

しかし、一から世界観を作るのはやっぱり大変です。それに、ネイキッドシリーズでおぼろげながらオーランド王国の風土や地形、歴史も私の中で浮かんできたところで、この世界とお別れするのもちょっと寂しいな、という思いもありました。

そこで、世界観は同一で、ストーリー的なつながりは極力避けて、新作を作ってみようと考えたのです。当初のコードネームは「ネイキッドウォリアー外伝」でした。

 

ネイキッドシリーズで名前のある魔術師はサー・デレク一人しかいなかったので、このキャラをもう一度使ってみるのはどうだろうというアイデアがすぐに浮かびました。でも、宮廷魔術師のおじいさんでは読者がついてこられません。そこで、ありがちですが、デレクの少年時代を描いてみたら面白いんじゃないか、それにプロットを考える上でもシリーズとのつながりを想像したりして楽しめるのでは、と考えたわけです。

 

実際に作ってみると、過去を描くというのはとてもやりやすい作業でした。歴史が既に決まっているので、どんなエピソードを組み込んでも軸がぶれないんですよね。「スター・ウォーズ」シリーズはもちろん、「X-MEN:ファーストジェネレーション」とか、「猿の惑星:新世紀」とか、過去を描く作品がはやる理由がよくわかりました。

 

もっとも、本作はゲームブックなので、必ずしもすべてのエピソードがネイキッドシリーズの歴史につながるわけではありません。デレクが死んでしまうエンディングはもちろん、読者の選択によっては、オーランド王国の歴史がまったく違ったものになる可能性もあるでしょう。

 

次回に続きます。

「デレクの選んだ魔法」登場人物一覧

どうも、ちゃなです。

 

新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」お楽しみいただけていますでしょうか?

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

本作で主人公デレクは12種類の魔術を駆使して王国とアカデミーを襲う危機に立ち向かいます。前半はデレクのアカデミーの学生時代、後半は社会人としての活躍を描きます。

 

主人公の半生を描いているだけあって、本作にはたくさんの人物が登場します。主人公達に加えて8人の教授陣、ほかに王都の重要人物など、数えてみたら名前のついている人だけで総勢32名になりました。600パラグラフにしてもちょっと多いですよねー。

読んでいて混乱してしまうこともあるかと思いますので、ここに登場人物一覧を挙げておきますね。

 

アイリス 幻影の術者。 

サイフリート・アッシュ 王立魔術アカデミーの学長。思念の術者。

ネネ・アルバート男爵 メイガス帝国から亡命してきた女性。

ウルクハイ・アーレンベルク 歴史学者

医者 王立病院の勤務医。

ヴァルター 村の長者。

王 オーランド国王。

カーサ デレクの母。

カストロ 召喚の術者。

カーン 治安局第三部長。

サイアス サイアス教の教祖。

宰相 オーランド王国の宰相。

アレイスター・ジェビノフスキー 魔術師。

司書 王立魔術アカデミーの図書館の司書をしている女性。

舎監 王立魔術アカデミーで学生の世話をしている男性。

ジャナリス 聖者。

上官 為政局企画部の首席執行官。

カーライル・スピッツァー エクレルブルクジャーナルのの創立者

ダークムーン 酒場のマスター。

ダミアン デレクの学友。

ツルニコフ 衰弱の術者。

オーエン・ディゾルブ 王立魔術アカデミーの先々代学長。

デレク 主人公。

ナンシー 氷結の術者。

バズー 商人。

パトリシア 治療の術者。

ハロルド 山賊の首領。

ビル 盗賊団の首領。

フィリア デレクの妹。

フリードマン 王立魔術アカデミー創立メンバーの一人。

オバール・ブレイガス伯爵 王都に住む有力貴族。

メグ(マーガレット・ミリオン) デレクの学友。

ミニッツ・ミリオン男爵 メグの父親

ユーゲン 解除の術者。

ラスター 火炎の術者。デレクの伯父。

ルドルフ デレクの父。

レナード公 ラスミスティ自治州コンギットの公爵。

キャプテン・ワンダー 伝説の海賊。

 

上のリストでは、6名ほど、名前のない登場人物も挙げています。この人たちの名前を明かさなかったのにはちょっとした理由があるんですよ。

それでは、どうぞ「デレクの選んだ魔法」引き続きお楽しみください!

デレクの選んだ魔法

どうも、ちゃなです。

 

お待たせしました。ちゃなの新作ゲームブック「デレクの選んだ魔法」がアマゾンのキンドル版専売で刊行されました! 

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

デレクの選んだ魔法 (ちゃなのゲームブック)

 

お値段は480円となっています。(定価は4.68USDなので、ちょっと安くしています)

 

前作「ネイキッドチェイサー」を上梓してから実に9ヵ月かかりました。長かったですねー。

ネイキッドチェイサー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドチェイサー (ちゃなのゲームブック)

 

 

まあ、これまで100パラグラフのゲームブックを作るのに1ヵ月強かかっていたので、今回600パラグラフ、しかも一パラグラフあたりの文章量も遙かに多いことを考えると、制作期間としてはどうしてもこのくらいかかります。誤植や表記揺れのチェックに加え、パラグラフ間のつながりや世界観に関する矛盾の修正など、推敲にもかなり時間が掛かりました。制作記録を見ると、下書き(フローチャートの原型)は4月くらいには固まっていたので、構成に3ヵ月、執筆に5ヵ月、そして推敲に1ヵ月といったところでしょうか。

 

さて、本編の主人公はデレク、ネイキッドシリーズにも登場した、あの「サー・デレク」です。

いやもちろん、デレクとサー・デレクが同一人物かどうかは読者の想像にお任せなんですけどね。一応、本編は「ネイキッドウォリアー」の約20年前という時代設定になっています。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

もちろん、シリーズを未プレイの方も問題なく楽しめます。

 

舞台はオーランド王国の首都エクレルブルク。ネイキッドシリーズの舞台だった地方都市コンギットと比べても大都会です。ここの王立魔術アカデミーとその周辺で、主人公デレクは大暴れすることになります。

 

本編は5章+終章(+α)という構成になっています。

第1章 伯父の誘い

第2章 王立魔術アカデミー

第3章 教授たちの思惑

第4章 王都に潜む闇

第5章 魔術師は野望を明かす

終章 決戦

 

第1章は導入部分で、12歳になったデレクがアカデミーに入るまでの顛末が描かれます。短い章ですが、分岐の幾つかには重要な伏線が仕込まれています。

第2章はアカデミーの1年生としての生活です。個性豊かな教授たちとクラスメートとの出会いがあります。ここで初めて魔術を習得する機会がありますが、油断しているとゲームオーバーの罠もあります。

第3章はアカデミーの2年生です。新たな魔術を覚えるほかにも、幾つかの重要なイベントが起こります。

第4章では卒業して社会人になったデレクの生き様を描きます。読者の選択により大幅にストーリー展開が変わってきます。

第5章では、いよいよ最終決戦に向けて盛り上がりを見せます。

 

大まかな構成としては、前半部分で身につけた魔術を用いて後半の難関をくぐり抜けていくという展開になっています。

当然、身につけた魔術が多ければ多いほど展開が有利になるでしょう。一方で、魔術を一切使わなくても、ノーマルエンディングに到達することができるようになっています。縛りプレイがお好みの方はどうぞ挑戦してみてください。

 

本編はマルチエンディングです。

パラグラフ600のノーマルエンドの他に、誰もが納得できる大団円たる真エンド、そして本編の全てを極めた読者だけがたどり着くことができる超エンドがあります。あと、ルール破りがお好きな方のために裏エンドもご用意していますよ。

このほか、体裁としてはバッドエンドになるものの、見方によっては幸せな結末に至るエンディングも多数ちりばめられています。「豪商エンド」「官僚エンド」「ウォーロックエンド」「飲んだくれエンド」などなど、皆さんお好みのエンディングを是非探してみてください。

 

このブログやツイッターでは、本編の楽しみ方や制作裏話などについて、適宜公開していきたいと思います。

 

ちなみに、偶然にも今日は処女作「ネイキッドウォリアー」を発表してからちょうど1年です!

感慨深いですね。。。

2年目もニッチなゲームブック作家として頑張ります!

Kindle Unlimitedはゲームブック作家にとって得なのか?

どうも、ちゃなです。

 

私はゲームブック作家として、今のところアマゾンさんのキンドル専売で作品を出しています。

そしてキンドル本の販売形態には、通常の電子書籍の単品購入のほかに、Kindle Unlimited(キンドル・アンリミテッド、KU)というサービスがあります。

 

KUは日本では2016年8月に始まったばかりのサービスで、月額980円で対象の電子書籍がダウンロードして読み放題になるというもの。アマゾンは数十万冊に及ぶ電子書籍を読み放題対象として開放しています(ちなみに百万冊以上の洋書も読み放題対象)。

このサービス、米国ではかなり定着した感がありますが、日本ではまだ普及までもう一歩というところでしょうか。サービス開始直後には想定外のロイヤリティがかかってしまい、アマゾンが人気の雑誌など一部のタイトルを無理矢理対象から外して、問題になったこともあるようです。

 

私はサービス開始当初から継続してKUに加入していますが、読んでいるのは一部の雑誌の新刊やゲームブックなどが中心で、他に調べたいテーマがあれば検索して読んでみるくらいです。リストを見ていると、やはり個人作家さんの本が中心で、いわゆるベストセラー本やまとめ読みしたい人気マンガなどが読み放題になることはなかなかありません。中には「3巻まで読み放題対象」といった、まるでお試し版みたいな使われ方をしていることもあります。

 

そんな、まだまだ発展途上のKUですが、この仕組みは作家にとってはどうなのでしょうか?

結論から言うと、私のようなニッチな作家にとっては、結構嬉しいものだったりします。

 

まず、読者側から考えると、興味のある本がKUの読み放題対象になっていれば、購入(入手)のハードルが非常に低い、ほぼゼロに近くなります。なので、「ちょっと興味はあるけど、買うほどではない」という本に手が届くのです。

実を言うと、私はゲームブック電子書籍を読者として購入したことはほとんどありません。ほぼKUで読んでいます。FT書房さんや幻想迷宮書店さんは、今ではほぼすべての作品をKU対象にしてくださっているので、片っ端から読ませてもらっています。

モンスター変貌

モンスター変貌

 

 

これが定価購入だったら、さすがにお財布の口が固くなってしまいますよね。特に、昔読んだけどとっくに捨ててしまった作品なんかをもう一度購入するのは、紙でも電子書籍でも、なかなか勇気が要るものです。KUならさくっとダウンロードして読み始め、飽きたらすぐ次に移るということができます。むしろそうしないと会費がもったいない!

 

つまり、KUは、黙っていてもみんな買うような定番のベストセラーや、じっくり時間を掛けて何度も読み直すような名著よりもむしろ、ニッチな作品でこそ真価を発揮すると言えるのです。

 

では作家目線ではどうでしょうか。KUで自署を読んでもらうことは、収益につながるのでしょうか?

 

KUでは、アマゾンが読者が読んだページ数をカウントして、歩合制で作家にロイヤリティを払っています。このページ数というのはキンドル独自の仕様で、紙のページ数とは一致しません。また1ページあたり単価も公開されていません。どうやら、アマゾンがあらかじめ積み立てた資金から支払われているようで、将来変更の可能性も大いにあります。

 

この点については、既に他の作家さんが色々と分析されています。

umikappa1960.blog.fc2.com

海河童さんによると、KUによる作家の収益は、1ページビュー毎に0.8円。結果として、長編小説ならKUの方が得、短編でもトントン、ということでした。

KU、作家にとっても結構おいしいかもしれませんね。

 

さて、私の場合はどうでしょうか。

アマゾンからは毎月ロイヤリティレポートが送られてきます。そこでは購入分とKUとが分かれていますので、どちらが儲かってるのか一目瞭然です。思い切って収益のグラフを出しちゃいましょう。

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こちらです。

恥ずかしいのでスケールは消していますが、ご覧いただければわかる通り、毎月、購入による収益よりKUのロイヤリティの方が高いんですね。

 

私の本は今のところ3冊とも99円で、単価が安いというのも影響しているかもしれません。

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)

 

 

一方で、ゲームブックはその性質上、しょっちゅうページがめくられます。アマゾンがページビューをどのようにカウントしているのかわからないのですが、読者の方が何度もページをめくることで収益が伸びている可能性があります。

実はKUスタート初期の頃は、この仕様を悪用して、見かけ上何千ページもあるようなすっかすかの電子書籍がいくつも出版されたという話もありました。

 

そんなわけで、結論です。

Kindle Unlimited、素晴らしいサービスです。私の本は、買っていただくよりもただ読みしていただく方がお互いお得かもしれません。

是非よろしくお願いいたします!