どうも、ちゃなです。
ゲームブックというのは、読者が主人公になって、自分で次の行動を決めながら読み進めていく物語です。
当然、選択を間違えて意に沿わない結果に終わることもあります。
そのとき、あなただったらどうしますか?
私は、こっそり前のパラグラフに戻って、やり直しちゃいます(笑
前回まで連載していた、ゲームブック実況中継でも、唐突なデッドエンドでは、見なかったことにして、別の選択肢を選んでしまうことがありました。
まあ、ズルをしてるわけですけど、これって結構みんなやってることなんじゃないかなあ、と思うわけです。
(意地でも選び直さない、必ずキャラクターメイクからやり直す、と言っている人もいます。本気でゲームブックを愛してくださっている方なのでしょう。
とはいえ、楽しみ方は読者それぞれです。私なんか、選択肢なんか無視してパラグラフ1から順に最後まで通して読むのが結構好きですしね。。。)
それでは、選択を誤ったことによるデッドエンド、いわゆる「即詰み」を、どのように用いるのが良いのか、考えてみます。
ゲームブックが選択によるドキドキをもたらすものである以上、スパイスとしてのデッドエンドは、ゲームを通じてある程度必要かな、と私は思います。
特に序盤では、無鉄砲な選択肢を選ぶとすぐデッドエンドになってしまうようにしておくと、読者に対して「この物語はガチですよ」という警告というかメッセージを送ることになります。
一方で、真面目な読者からすると、終盤で理不尽なデッドエンドにぶつかると、ちょっとむかついてしまうかもしれませんよね。
なので、こういうデッドエンドは、序盤ほど数を多めにするのがひとつのセオリーになるのではないかと思います。
次に、ゲームブックのテイストによって、デッドエンドの質や量は変わってきます。
ナンセンスな死に様を楽しむような作風であれば、デッドエンドだらけでも笑って許されるでしょう。むしろいかに変わった死に際をみせるか、作者の表現力が試されるものがあります。
他方で、推理ものなど、読者と作者の知恵比べの要素が強い作品では、唐突なデッドエンドは興を削ぐものがあります。
私の作品だと、「ネイキッドウォリアー」なんかは、マルチエンディングで複数回プレイを前提としているので、がんがんデッドエンドを入れています。
一方、「ネイキッドチェイサー」の方は、同じ100パラグラフでも、前半は館の探索、後半は敵地への侵入と、プロットが長く、また後半は主人公が十分に準備して冒険に挑んでいる前提なので、安易なデッドエンドは避けています。バッドエンドにおいては詰まるべくして詰まるようになっています。
主人公がパラグラフ間を行ったり来たりできる双方向作品では、原則としてデッドエンドを入れるべきではありません。コンピュータRPGで、主人公がある程度成長したのに、デッドエンドになって最初からやり直しになってしまったら、納得いかないでしょう?
そんなわけで拙著「ネイキッドサバイバー」は、いわゆるバッドエンドを廃しています。
以前、ゲームブックの難易度について、バッドエンドの数に触れたことがあります。当然、バッドエンドが多いほどクリアが難しいことになるのですが、実は誤選択によるデッドエンドは、体感的な難易度にはあまり影響しません。多くの読者は単に選択肢を選び直すので、してやられた感はあっても、悩まされた感は出ないんですよね。
他方で、アイテム不足による詰みの場合は、ちょっと前からやり直すだけでは解決しませんので、難易度はぐっと上がります。
目に見えないデッドエンドが多いほど、攻略は難しくなるのです。
あ、上記の例外として、「最終選択」としてのデッドエンドもありますね。
最後に二択又は三択を迫り、正解すればエンディング、間違えたらバッドエンドという展開です。
言わばラスボス的な緊張感を味わわせるためのものです。
リビングストン氏の「盗賊都市」なんかが印象に残っています。ザンバー・ボーンを倒した後、とどめを刺すためにどのアイテムを組み合わせるかを選ばされるのです。ノーヒントなので、ちょっとアンフェアな感じがしますけどね。。。
City of Thieves (Fighting Fantasy)
- 作者: Ian Livingstone,Professor Stuart Sim
- 出版社/メーカー: Wizard Books
- 発売日: 2002/09/02
- メディア: ペーパーバック
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まとめると、私の考え方は次のようになります。
(1)デッドエンドは難易度を上げる仕組みというよりスパイスとして考える
(2)デッドエンドを楽しめる作風か否かを考える
(3)デッドエンドは序盤に多く、終盤に少なくする
(4)双方向作品では、安易なデッドエンドは控える
(5)最終選択としてのデッドエンドもあり?
以上、ゲームブックにおけるデッドエンドの考え方でした。