ちゃなのゲームブック

ゲームブック作家「ちゃな」のブログです。Amazonキンドルで「デレクの選んだ魔法」等販売中!

「ネイキッドウォリアー」のリプレイ、始まりました!

こんにちわ、ちゃなです。

 

私のキンドルゲームブック処女作「ネイキッドウォリアー」が、FT新聞で誌上リプレイされることになりました!

ネイキッドウォリアー (ちゃなのゲームブック)
 

 

本日配信号から、毎週水曜連載です。

ftnews-archive.blogspot.com

 

FT新聞とは、今や国内最大手のゲームブック出版社であるFT書房さんのメールマガジンです。これ、ゲームブックTRPGのネタを中心に毎日配信、無料、広告なしで本日2674号を迎えるという、化け物みたいな新聞なのです。

ftbooks.xyz

 

同誌で毎週水曜にゲームブックの誌上リプレイを執筆されているのは、ぜろ氏。これまで数え切れないほどのゲームブックを読破し、その多くを巧みな筆致でリプレイに起こしてきたベテランです。

open.mixi.jp

 

先週までは清水竜之介さんの大作「魔の国の王女」を半年にわたり攻略してきたぜろ氏。

 

 読んでみると分かりますが、氏のリプレイは単なるプレイ日記ではなく、主人公視点での思い入れや、メタ視点での考察、そしてバグや不具合に対する突っ込みや改善提案など、複層的で深い愛と洞察にあふれているんです。FT書房の作品だからといって宣伝に終始するものではなく、ときには滅多斬りにすることも。私も読破済みの作品についてぜろさんのリプレイを読んで改めて気づかされることが多々ありました。 

 

さて、拙作「ネイキッドウォリアー」。「魔の国の王女」とは比べものにならない小品ですが、いったいどのように評価されるのやら。

(実はゼロさんの原稿は既に拝読しているのですが、誌面掲載版では初稿からアップデートされた箇所もあり、私自身も目が離せません。)

 

素晴らしいリプレイを書いてくださったぜろさん、そして大事な誌面を拙作のために割いてくださったFT書房さんの皆様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。

パラグラフのないゲームブック

こんにちわ、ちゃなです。

 

ゲームブックと言えばパラグラフ。

ほとんどのゲームブックでは、1から順番にパラグラフが振ってあり、読者は文中の指示に従ってあちこちのパラグラフに飛びながらストーリーを読み進めていきます。

通常は最終パラグラフにエンディングがありますが、そうでない作品もあります。

パラグラフ数は作品の長さと規模を示す指標にもなっています。「ファイティングファンタジー」シリーズでは400パラグラフを基本としていました。これは小説でいったら中編程度に該当する文章量です。最近では100パラグラフ未満の気軽に読める短編が少し流行っています。100パラグラフだと一冊の本にするには短すぎますが、キンドルをはじめとする電子書籍では単行本として出版することが可能ですし、FT書房さんのようにいくつかまとめて「短編集」として公刊されることもあります。

逆に1000パラグラフを超えると大長編ということになりますね。商業作品では「ネバーランドのリンゴ」シリーズと「かえる沼を抜けて」など、数えるほどしかありません。

 

さて、そんなパラグラフ、またはパラグラフ番号という概念を廃したゲームブック作品をご存じでしょうか?

「パラグラフのない本をゲームブックとは言わない」というご意見もあるかもしれませんが、ここではそういったゲームブックの定義には踏み込まないことにします。

 

「シャーロックホームズ 10の怪事件」

ベーカー街の探偵をモチーフにした作品です。続編「呪われた館」「死者からの手紙」も出ています。

本作ではあなたは事件を捜査するために新聞と住所録(本物そっくりに作ってあります!)を読み解いて、手がかりのありそうな番地を探して、その番号に進むことができます。いくつ調べても構いませんが、無駄が多いと最終得点が下がってしまうことになります。そして、事件の真相を暴いたと思ったら解答編に進んで答え合わせ。

細部まで作り込まれたベーカー街と、原作に勝るとも劣らぬホームズの推理の切れが味わえる名作です。

 

「Meanwhile」

本作は英語のマンガ本です。

読者はコマの指示に従って読み進めていき、主人公の少年の行動を決定します。

変わっているのが、選択肢を選ぶとき。ページの終わりでこれぞと思うタブを選んでめくると、ストーリーがつながっていきます。一見、迷路みたいに見えますね。

ストーリーはタイムマシンと量子力学を扱ったもので、子ども向けかと思いきや結構歯ごたえがあります。

 

「寄生木の夜」

tanishi.org

おいしいたにしさんの作品です。

本作は変わっていて、通常のパラグラフの代わりに、「作中人物名+時刻」という形でパラグラフが並んでいるのです。(通常パラグラフのセクションもあり)

主人公は、名前を知っている人物とすれ違ったら、相手に乗り移ることができます。例えば、Aに憑依していて「A:午前9時」の中にBとすれ違ったら、「B:午前9時」にジャンプするという感じです。

このやどりぎシステムが、世界観とストーリー、そしてメモ不要のパラグラフジャンプシステムと完全に噛み合っていて、唯一無二の作風を生み出しているのです。

 

「護国記」

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

このブログの読者さんにはおそらくおなじみ、波刀風賢治さんの超大作。

本作の構成自体はおそらく通常のゲームブックと同じです。ただし、選択肢にはパラグラフが書かれておらず、選択肢を直接タップした飛び先にもパラグラフ番号はありません。「ナンバーレスパラグラフシステム」ですね。つまり、意図的にパラグラフ番号を隠しているのです。電子書籍だからこその仕掛けです。

その目的はおそらく二つ。一つは、パラグラフ番号というメタ要素を隠すことにより読者の没入感を深めること。そしてもう一つは、どこで物語が分岐したかを明示しない「シームレスフラグシステム」の隠れ蓑としての効能です。

本作はとある要素をプロットに盛り込んでいるので、同じ(または類似した)内容のパラグラフの繰り返しが読者に気づかれないことが重要なんですね。もし本作にパラグラフ番号を付したら、せっかくの壮大な作風がむしろうざったく感じられてしまうかもしれません。

 

いかがだったでしょうか?

パラグラフのないゲームブック、もっともっとたくさんあるはず。。。

ただ、そういう一風変わった作品は紙媒体を上手に活用していることが多く、あまり即売会に行かない私はなかなか巡り会うことができません。

面白い作品があったら、是非教えてくださいね。

不思議のソーサリアン ~ヘクトマリスタワー~

こんばんわ、ちゃなです。

本日2020年5月2日、ソーサリアンTEXTの新作「不思議のソーサリアン ~ヘクトマリスタワー~」が公開されました!

www.web-deli.com

 

ソーサリアンTEXTについては以前にも紹介していますが、ファルコムの名作RPGソーサリアン」の世界観でゲームブック風のブラウザゲームを楽しめる有志サイトです。シナリオは既になんと20本以上公開されています。

私はゲストライターとして参戦。本作は3本めの投稿作になります。

 

さて、このシナリオ、その名の通り、チュンソフトさんの「不思議のダンジョン」シリーズを意識したつくりになっています。ランダムに生成されるダンジョンを延々と攻略していく中毒性の高いゲームですねー。

ソーサリアンTEXTでは、サイコロ機能のほかに、飛び先のパラグラフを候補の中からランダムに決定する機能がついています。普段私はキンドルでランダム要素を廃したゲームブックを作っているので、たまに無性にランダムを使った作品が作りたくなるんですよ。

 

そこでランダムダンジョン。本作では基本的には探索を続けて塔を上っていくしかありません。その先に敵がいるか宝があるか罠が仕掛けられているかは運次第。上り続けると次第にヒットポイントを削られ、敵を避けつつ進んでも食料に当たる「オーラ」が枯渇してもゲームオーバーです。

本作は一見単純なつくりながら、ヒットポイントとマジックポイント、魔法の原料になる七星の欠片といったソーサリアンTEXTの基本要素に加えて、食料に当たるオーラと、お金に当たる宝玉といったリソースがあり、それらをどのように管理していくかが攻略のカギになっているのです。 

 

とはいえ本作は、ソーサリアンTEXTの企画「プレグラ100祭」の一環として制作されたものでもあるので、全100パラグラフ限定のこじんまりとしたつくりになっています。プレイ時間は一回10~15分程度かしら。運が悪ければオーラに恵まれず序盤で倒れることも。。。

 

さて、システム面は実は半年以上前から構想していたので、制作は非常に簡単でした。なんとたった一日でフローチャートが完成。数日で実働可能なバージョンに仕上がり、バランス調整にたっぷり時間をかけました。折よくミュージックコンポーザーソフトが入手できたので、1曲オリジナルBGM(といっても原作ソーサリアンパスティーシュですが。。。)も下ろしています。

 

一方でストーリーですが、ボスの名が大神ユイターの妹「ヘクトマリス」というのは当初から決めていました。直訳すれば「100の悪意」で、いかにもボスっぽい名前ですよね?ただ、彼女がなぜソーサリアン達に敵対することになったのかは、シナリオを書きながら少しずつ考えていきました。

結果、本作には3つのマルチエンディングができました。いずれのエンドも私なりに「これしかありえない」という決着をつけるものになりました。

実はこの中で1つは、極めて達成が困難なものになっています。私自身、チートなしでは一度も見たことがないんですよね。。。ぜひ挑戦してみてください。

チャート解析「エンチャンター」 その2

どうも、ちゃなです。

チャート解析第11回「エンチャンター」の続きです。

 

本作では実に19種類の魔法が登場します。しかし有効な使い道は当然限られています。

ここで、前回お示ししたフローチャートから、無効もしくは即死につながる魔法の選択肢を外したものをお見せしましょう。

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ENC2

少しすっきりしましたね。

 

さて、クリアに必要な魔法は、全部で11種類。最短ルートでは13種類入手できますが、RFOTZとFILFREには有効な使い道がありません。

まず冒頭で、リードマジックといった基本呪文に加えて、REZORV(解錠)、NITFOL(会話)、RFOTZ(光明)の3つの魔法を教わります。

 

城とその周囲の森を一通り探索することで、攻略に必要な魔法を順に入手していきます。

モルタル塗りの小部屋のブロックを動かすと、秘密の小部屋に出ます。そこでEXEX(浮揚)の魔法が手に入ります。

プリシア城の姫の幽霊に話しかけると、VAXUM(友情)の魔法が手に入ります。

城の広間で本棚を調べるとGONDAR(消火)の魔法が見つかります。

森の中では檜のうろの中からKREBF(復元)の魔法が手に入ります。

 

続いて、魔法を適切な局面で使うことにより、さらに強力な魔法をゲットできます。

塔の頂上の小部屋には宝箱があります。REXROVで鍵を開け、中にあった紙束をKREBFで修復すると、ZIFMIA(精霊)の魔法が入手できます。

森の中、ヒキガエルの声が聞こえる場所で精霊を呼び出すZIFMIAを唱え、現れたヒキガエルに向かってNITFOLで会話すると、CLEESH(変身)の魔法をもらえます。

ハンマーの部屋を見た後で、浜辺の海亀にVAXUMの魔法をかけて協力を依頼し、さらにEXEXの術で亀をハンマーの部屋に連れて行くと、亀はKULCAD(解呪)の魔法を取ってきてくれます。

ちなみにパラグラフ138でHHにチェックをつけるよう指示されますが、これは多分誤りです。ここでチェックした場合、この機会を逃すと亀が出現しなくなり、詰んでしまいます。KULCADを入手した時点であらためてHHチェックの指示があります。

鋼鉄の扉をREZROVで開き、さらに先の扉に巣くう毒蛇をKULCADで消し去ります。先の小部屋にFILFRE(火炎)とTCATNOC(機能)の魔法があります。

城の魔法陣にTCATNOCの魔法をかけると魔法陣が回転を始めます。ここで謎解きがあるのですが、残念ながらちゃなには解けませんでした。。。正解すると最後の鍵となる魔法GUNCHO(送還)が手に入ります。

 

螺旋階段でKULCADを唱えて幻影を消すと、いよいよラスボス、クリルとご対面。

クリルの召喚したドラゴンにはGONDARを、トロールにはCLEESHで対処し、最後にクリル本体にGUNCHOを唱えれば、ゲームクリアです。

 

注意すべきなのは、道中で小人に捕まって闇の男のところに連れて行かれると死亡フラグが立ってしまうこと。OZMOO(蘇生)の魔法で難を逃れることができるのですが、なぜか後々クリルと対峙する際に有効な魔法が使えず殺されてしまいます。せっかく復活して敵の度肝を抜くことができたのに、残念ですね。しかもここだけはフラグ管理ではなく、「闇の男に会っていれば」という記憶頼りの分岐だったりします。。。

 

複雑な魔法システムだけに、本作にはいくつかのバグがあります。 単なる誤植のほか、使えるはずのない魔法が偶然にも使えてしまう(当然飛び先のパラグラフは意味が通じない)ところが数カ所見つかりました。

それでもなお、この時代にここまで自由度の高いシステムを構築したことは本当にすごいことです。

 

クリア行程だけを書いてしまうといささか味気ないものがありますが、城内には不思議なキャラクターがいっぱい出てきます。見るたびに情景の変わる絵とか、主人公の変わり果てた姿とか。。ヒロインのアイリーンも魅力たっぷり。

どこで使っても効果のない謎の魔法も存在します。一本道にクリアを目指さず、様々な寄り道をしながら不思議体験を重ねるのが、本作の正しい楽しみ方かもしれません。

 

今回は魔法ゲームブックの隠れた名作「エンチャンター」のチャート解析でした。

ではまた!

チャート解析「エンチャンター」 その1

こんにちわ、ちゃなです。

 

フローチャートリバースエンジニアリングしてゲームブックの構造を読み解く不定期シリーズ第11回。今回は「エンチャンター」を取り上げます。

本作はこれまでの中でも極めてレアもの。Amazon.co.jpでは在庫が出てきません。ヤフオクでも高値がついています。

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エンチャンタ

著者は白鳥洋一氏、パソコンゲームが原作のようですが残念ながらちゃなは見たことがありません。シリーズはEnchanter, Sorcerer, Spellbreaker, Wishbringerと続くゾークシリーズのようです。

www.thezorklibrary.com

 

さて、「エンチャンター」はそのうちの第一話。続編として「ソーサラー」と「スペルブレイカー」もゲームブック化されています。

 

本作は313パラグラフの双方向。主人公のカールは駆け出しの魔法使いです。しかし、序盤から父を殺した悪魔クリルと戦う羽目になるという怒濤の展開を迎えます。悪魔の巣くう不気味な城を探索し、様々な魔法の呪文を獲得して力をつけ、クリルを打ち倒すのが本作での最終目標です。

 

システムは簡素で、A~ZZの52種類のフラグをチェックするだけ。体力点などのパラメータやランダム要素はありません。

 

そして本作の根幹をなすのが魔法システム。本作には全部で19種類の魔法が出てきますが、主人公は開始時点では一つも知りません。冒険中に様々なところで新たな魔法を手に入れることで使うことができるようになります。

その使い方が一風変わっています。魔法を使おうと思ったら、魔法の種類を選んで、そのパラグラフにページ右肩の数字を使って処理を加え、巻末の「呪術の書」を見ると、飛び先が書いてあるという仕組みです。

つまり、本作ではどのパラグラフでも魔法が使い放題。その代わり、適切な局面を選ばなければ無駄打ちになりますし、時にはデッドエンドにつながります。

逆に、魔法によってはデッドエンドのパラグラフからジャンプすることだって可能です。いわば、前回のブログで私が書いた「インタラプト型ゲームブック」になっているんですね。

そしてその魔法一つ一つも、「隠された力を引き出す」「ものを激しく動かす」「元の形に戻す」といった抽象的なものが多く、想像力をかき立てます。

このような自由度の高いシステムはちょっと他に例がありません。有名な鈴木直人氏の「パンタクル」の原型といえるかもしれませんね。

 

では、そんな「エンチャンター」のフローチャートはどうなっているのでしょうか?

ズバリお見せしましょう。

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ENC

細かいけど、分かるでしょうか?

画面の右上がスタートで、序盤は一本道、中盤から完全な双方向になっているイメージがつかめると良いのですけど。。

薄緑が魔法を使ったパラグラフ。水色が新たな魔法を手に入れるパラグラフ。そして黄色がバッドエンドです。

 あと、一番右上の離れ小島。これは「LIEWHITE」という本編に存在しない魔法を選んだときのパラグラフ。当然、全てバッドエンドになっています。こだわりですね。

 

よく目をこらしてみると、本作では、魔法を使ってジャンプしても元の選択肢に戻る展開が多いんです。つまり魔法の無駄打ちですね。読者としては、飛び先を見つけて「やった、ここで魔法が使えるんだ!」と喜んだのも束の間、効果なく戻されたり即死したりと、なかなか楽しませてもらえます。

本作は自由に魔法を使えるのがコンセプトですから、正解の場面でしか魔法が使えないというのはいかにも味気ないですよね。300パラグラフに19種類の魔法を盛り込むのはちゃな的には無謀に思いますが、その限られた容量の中にここまでダミーの選択肢を放り込んだ作者の矜持も感じます。

 

次回は攻略に踏み込みます。

インタラプト型ゲームブック雑感

こんにちわ、ちゃなです。

 

ゲームブックインタラクティブノベルとか分岐小説とか呼ばれます。その分岐の根幹をなしているのがパラグラフ。一つのストーリーをパラグラフで区切って細切れにして、分岐やループ、行き止まりを入れることによって、小説はゲームブックとして生まれ変わるわけです。

ゲームブックの先駆者の先生方は、このパラグラフをいかに扱うかに心を砕いてきました。ストレートにパラグラフ数を増やして大作を作る先生もいれば、少ないパラグラフを使い回して読み応えのある作品を作る先生もいました。パラグラフジャンプという手法を用いて、読者の挑戦欲を掻き立てたり物語の奥行きを増したりする作家も生まれました。

 

そのパラグラフですが、近年ではあえてパラグラフ、ないしパラグラフ番号を廃した作品も出てきています。

記憶に新しいところでは、波刀風賢治先生の「護国記」。パラグラフ番号が存在せず、各段落の末尾で選択肢を直接選ぶことでどんどん物語が展開していきます。

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

護国記 (幻想迷宮ゲームブック)

 

 

おいしいたにし先生の「寄生木の夜」では、基本的には主人公視点の時系列で読み進めていき、条件を満たしたターゲットのページにジャンプすることができます。

tanishi.org

 

"Meanwhile"はなんと絵本!漫画のように読み進め、ページ終わりのタグを選んで開くとストーリーが分岐します。

 

私はゲームブック制作ツールとしてThe Gamebook Authoring Toolを用いていることもあり、パラグラフ管理型のゲームブックしか作ったことがありません。

でも、ゲームブックの可能性を模索するためには、そろそろ別の形態にチャレンジしてみるべきかなあ、とも思います。

 

一つ考えているのは、インタラプト型ノベル。

通常のゲームブックではパラグラフを最後まで読み終えてから末尾の選択肢を選ぶのですが、読んでいる途中で次のパラグラフに飛んでしまうという形式です。

上に紹介した「寄生木の夜」はそういう作りになっていますね。

 

コンピュータゲームでは、TRICK×LOGICを思い出します。ほかにもテキストアドベンチャーにはいっぱいありそうですね。

TRICK×LOGIC Season1 - PSP

TRICK×LOGIC Season1 - PSP

  • 発売日: 2010/07/22
  • メディア: Video Game
 

 

キンドル電子書籍では、任意の文字列にページ内リンクを貼れるので、気になった単語をクリックすると別のシーンに飛ぶという形態の作品はすぐ作れそうです。

ただ、「すぐ」とはいっても、このリンクをひとつひとつ貼る作業は非常に面倒です。手作業では必ず間違いが起こりますから、ここは使い勝手のいいソフトが欲しいところです。

 

もう一つの問題は、「パラグラフの途中で読むのをやめる」という行動を読者が取るかどうか。私だったら、最後まで読み進めてから戻って選んじゃいそうだなあ。。

ただ読み進めることに歯止めをかけるための仕掛けが何かあった方がいいかも。例えば、あっという間にバッドエンドになるとか、インタラプトしないと主人公がどんどんつらい状況に追い込まれていくとか……(我ながら悪趣味ですね)

逆転裁判」みたいに、早めに「待った!」をかけないと負けてしまう筋書きが、いかにもインタラプト型って感じでいいかもしれませんね。

 

拙著「ファントムドミネーション」の続編になじみそうなシステムではありますね。

 少し、温めてみます。

新作ゲームブック「ファントムドミネーション」販売開始です!

どうも、ちゃなです。

 

前作「魔皇を継ぐ者」の発刊は一昨年の12月なので、1年もお待たせしてしまいましたが。。

 

新作「ファントムドミネーション」が、いよいよお目見えです!

 

本作は100パラグラフ単方向のオーソドックスなスタイルで、販売価格は99円。処女作「ネイキッドウォリアー」と同じですね。

 

世界観もネイキッドシリーズと共通です。本作は「デレクの選んだ魔法」の数年後という設定です。魔術師デレクは王立魔術アカデミーの教授となってオーランド王国の魔術振興のため辣腕を振るっています。

 

そのアカデミーから「ファントムドミネーションの書」が盗まれた、というのが物語の始まりです。犯人は魔術師グリムバルド。かつてはアカデミーの教授であり、学長サイフリート・アッシュのライバルでした。グリムバルドは他人を意のままに操るというドミネーションの秘術を用いて王国の転覆を企んでいます。

デレクはグリムバルドの野望を阻止するために女戦士カザリナを送り込みます。果たしてカザリナはグリムバルドを止めることができるでしょうか……?

 

このように書くと、オーソドックスな冒険ファンタジーにように見えますよね?

ご安心ください(?)

本書は一筋縄ではいきません。

たった100パラグラフの小品ですが、これまでのゲームブックとは一線を画した仕掛けをこらしています。

キャッチコピーは「全てのパラグラフに罠がある!」

この言葉、映画とかでもよく使われる煽り文句ですが、本作においては嘘でも誇張でもありません!ちゃんと作者自ら、全てのパラグラフに罠があることを確認済みです。。。

 

ストーリーラインとしては、「デレクの選んだ魔法」と「ネイキッドウォリアー」をつなぐ物語になっています。もちろん、新たな魔神も登場します。

 

一気に読める作品ですが、読後は結構疲れるかもしれませんね。

エンディングは一つなのでリプレイ性は低いですが、読み終えた方はきっと最初から読み直してみたくなるんじゃないかな、と期待しています。

是非、ご笑覧ください!